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第16話
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受付嬢も目を丸くして、殴った姉さんと殴られた僕を見つめている。
「随分とアグレッシブな聖女様です……」
「ですが、聖女としての力は本物です。その手に宿る聖なる光は、これまで出会った聖職者はもちろん、勇者ですら持ち合わせない、素晴らしい才能です」
「そ、そう?」
姉さんも褒められて満更でもない様子だけど、
「私はあなたのような方を待っていました……」
「ふ~ん、そりゃどーも。それで、あんた何者よ?」
人見知りの姉さんにしては、珍しく最初から強気だった。
「これは失礼いたしました。私の名はコレット・ロゼ・ネフライト。詳しくは明かせませんが『おバカな王子と彼を捨てた令嬢の物語』の令嬢とは深い関わり合いがあり、そのクエスト票の依頼主でもあります」
ミドルネームを持つのは、ほとんどが貴族だ。
さらに、令嬢と関係があるとすれば、ほぼ間違いなく、
「貴族様っ!?」
「怪しいわね」
「姉さん、貴族ともなれば、色々と事情もあることだろうし、あまり詮索しない方がいいよ」
しかも令嬢側。
アンサルドの街では、どちらかというとおバカな王子の方に同情する声が多いと聞いている。
令嬢は悪役扱いなのだ。
大っぴらに素性を話すのは難しい。
「でも彼女……まあいいわ。続けなさいよ」
「はい。あの物語には続きがあって、ずっと後に、令嬢は残してきた王子が気になり、調べたのです。ところが、王子はすでに亡くなっており、アンサルディ城内をゴーストの姿でさまよっている――ということがわかりました」
「ふ~ん、勝手な話よね。知るチャンスなんていくらでもあったでしょうに。ずっとほっといたんでしょ」
「姉さん!」
「はい。本当に、おっしゃる通りです。そこで令嬢は、当時からあった冒険者協会や光明神ルクスベルの神殿に依頼しました。魔物と化した王子の魂は、魔界に行くのが定め。ですが、王子のゴーストを討伐するのではなく、浄化し、本来の正しい形に戻すことで、天界に住むルクスベルの御許へ導いて欲しいと願ったのです」
なるほど。
「ところが、王子の浄化は失敗に終わりました。神官たちがどれほど浄化しようとも、王子のゴーストは決して城から離れようとしなかったそうです」
「それはしつこい地縛霊ってやつね」
レイスやスペクターの類だ。
「業を煮やした冒険者の一団が、強引に討伐しようと試みたこともあったそうですが、逆に返り討ちにあったとか。そのせいで、幾度か協会から討伐隊が派遣されたそうですが、ことごとく殲滅したそうです」
「そりゃ強いわね……」
「つまり、こちらから乱暴な手段を取らなければ無害だけど、それではちっとも浄化できない。かといって強引に討伐なんてしようものなら、悪霊的なパワーで返り討ちにあうということですか?」
「はい。なので、こちらから手を出さなければ被害はないため、いつしか協会も討伐することを諦めてしまいました。放っておけばいいと」
「それはまた……」
受付嬢も知らなかったのか「はぁ、そんなことが」と驚いている。
「随分とアグレッシブな聖女様です……」
「ですが、聖女としての力は本物です。その手に宿る聖なる光は、これまで出会った聖職者はもちろん、勇者ですら持ち合わせない、素晴らしい才能です」
「そ、そう?」
姉さんも褒められて満更でもない様子だけど、
「私はあなたのような方を待っていました……」
「ふ~ん、そりゃどーも。それで、あんた何者よ?」
人見知りの姉さんにしては、珍しく最初から強気だった。
「これは失礼いたしました。私の名はコレット・ロゼ・ネフライト。詳しくは明かせませんが『おバカな王子と彼を捨てた令嬢の物語』の令嬢とは深い関わり合いがあり、そのクエスト票の依頼主でもあります」
ミドルネームを持つのは、ほとんどが貴族だ。
さらに、令嬢と関係があるとすれば、ほぼ間違いなく、
「貴族様っ!?」
「怪しいわね」
「姉さん、貴族ともなれば、色々と事情もあることだろうし、あまり詮索しない方がいいよ」
しかも令嬢側。
アンサルドの街では、どちらかというとおバカな王子の方に同情する声が多いと聞いている。
令嬢は悪役扱いなのだ。
大っぴらに素性を話すのは難しい。
「でも彼女……まあいいわ。続けなさいよ」
「はい。あの物語には続きがあって、ずっと後に、令嬢は残してきた王子が気になり、調べたのです。ところが、王子はすでに亡くなっており、アンサルディ城内をゴーストの姿でさまよっている――ということがわかりました」
「ふ~ん、勝手な話よね。知るチャンスなんていくらでもあったでしょうに。ずっとほっといたんでしょ」
「姉さん!」
「はい。本当に、おっしゃる通りです。そこで令嬢は、当時からあった冒険者協会や光明神ルクスベルの神殿に依頼しました。魔物と化した王子の魂は、魔界に行くのが定め。ですが、王子のゴーストを討伐するのではなく、浄化し、本来の正しい形に戻すことで、天界に住むルクスベルの御許へ導いて欲しいと願ったのです」
なるほど。
「ところが、王子の浄化は失敗に終わりました。神官たちがどれほど浄化しようとも、王子のゴーストは決して城から離れようとしなかったそうです」
「それはしつこい地縛霊ってやつね」
レイスやスペクターの類だ。
「業を煮やした冒険者の一団が、強引に討伐しようと試みたこともあったそうですが、逆に返り討ちにあったとか。そのせいで、幾度か協会から討伐隊が派遣されたそうですが、ことごとく殲滅したそうです」
「そりゃ強いわね……」
「つまり、こちらから乱暴な手段を取らなければ無害だけど、それではちっとも浄化できない。かといって強引に討伐なんてしようものなら、悪霊的なパワーで返り討ちにあうということですか?」
「はい。なので、こちらから手を出さなければ被害はないため、いつしか協会も討伐することを諦めてしまいました。放っておけばいいと」
「それはまた……」
受付嬢も知らなかったのか「はぁ、そんなことが」と驚いている。
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