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27 突然の訪問者
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魔術塔の地下には定められた魔術団員しか通る事は出来ない通路があった。その一つの通路の先には魔術団保管の資料庫がある。イーライは見つけた記録を眺めながら固まっていた。
隙間風のない空間でランプの炎は真っ直ぐに燃えている。イーライは開いていた書物をより照らそうと、ランプを更に引き寄せた。
「嘘だろ……あいつは魔廻を集めていたってのか?」
カタンと後ろで何かの音がする。とっさに振り返ったが、その時魔術が使われた気配と共にみぞおち近くに硬い何かが押し付けられた。
『魔廻は頂いた』
がくりと膝を着いたイーライの視線の端でランプが倒れている。火が一気に机の上の書物に燃え広がっていく。イーライはとっさに何事かを呟くとそのまま意識を失った。
メリベルは家に帰ってからというもの、食事をしている時もお風呂に入っている時も母親の事を考え、とうとう時刻は真夜中になろうとしていた。
「夜に考え事なんてよくないわよね」
散々迷走していて今更な気もするがさすがに眠くなり、ようやくベッドに入ろうとした所だった。その時バルコニーの方で物音がし、持ち上げていた毛布をそっと戻す。風のせいかとも思ったが、耳を澄ましてみるとやはり硝子を掻くような音がした。
「少し開いていたかしら」
風が入り込んでいるのかカーテンを開いた時、再びキィィという嫌な音がしてとっさに下を見ると、目下には軽く抱えられそうな程の小型犬が物寂しそうにお座りをしていた。
「……犬?」
「クゥゥン」
子犬の横には何故か土がこんもりとある。
「ワンちゃんどこから来たの? というかここ二階よ!?」
とっさに硝子扉を開けると、座り込んでいた子犬は待ってましたと言わんばかりにさっきまでのしおらしさはどこへやら、部屋の中に入って行ってしまった。
「ちょっと待ちなさい! 足が汚れているんじゃないの? メラニーぬるま湯を持って来て!」
子犬はベッド目掛けて飛び乗ると、満足したように毛布の上で丸くなった。何事かと飛び込んできたメラニーは主のベッドの上にいる子犬を見つけるなり、悲鳴を上げた。
「降りなさいこら! ベッドが汚れるじゃない!」
そんなメラニーをあざ笑うかのようにひょっと降りてはまた反対側に上り、また躱してはベッドに上るを繰り返している。とうとう息切れし始めたメラニーに手を振って追い掛けるのを止めさせた。
「足を洗ってあげたいからぬるま湯を持ってきてくれる?」
「わざわざお湯を使うんですか?」
「だってもう寒いじゃない。この子いつからか分からないけれど外にいたのよ。本当はお風呂に入れてあげたいけれど……」
その時、子犬は信じられない程の速さでベッドの下に隠れてしまった。
「おや、もしかしたらこのワンちゃんは言葉が分かるのかな? お風呂でキレイキレイになりたいわよね?」
急に勝ち誇ったようなメラニーはベッドの下に潜っていく。その瞬間、ベッドの下からメラニーのくぐもった声が聞こえて子犬が逃げ出しきた。
「引っ掻かれましたぁ! 野犬でしょうか、病気を持っていたらどうしましょう」
「そうやって意地悪をするからよ。明日一番でお医者様に診てもらいなさい」
そう言いながら、ベッドの端に戻ってきた子犬から少し離れて座った。
「メラニーよく見て。この子とても綺麗よ。綺麗な銀色の毛だし、ほら、綺麗な緑色の瞳よ。まるで宝石みたいね。どこかの飼い犬かしら。ワンちゃん、全身とは言わないから足だけ洗ってくれる? だってあなた裸足で外から来たでしょう」
すると子犬は渋々、本当に渋々と言ったようにベッドから降りた。毛はどちらかというと長い。園芸室で会った大きな犬も確かこんな毛色と瞳の色だった気がする。
「もしかしたらこの子、先生の所の子かもしれないわ。明日連れて行ってみようかしら」
「あの先生犬を飼っていたいたんですか?」
「ああ見えて世話好きのようだし、独り身で寂しいんじゃないかしら」
そう言うと、子犬は一気に不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「あ、そうだ。バルコニーに土があったから明日掃除をしておいてくれる?」
「何故土なんか……、もしかしたら先生の使いかもしれませんよ」
「先生の? どういう事?」
「お嬢様が先生に送られて帰られた日、門で待つ私達の元に土魔法の人形が現れたんです。先生の使いのようで、砂が文字になってお嬢様が一足先に帰られたと知りました。ですからお嬢様の仰る通り、この子子犬も先生の所の子なのかもしれないですね」
「あなた先生の所の子なの? まあ良いわ。行きましょう」
もちろん子犬は答える訳もなく、メリベルが手を差し出すと一瞬びくりと体を強張らせたものの、足だけを洗う事は了承したようだった。
翌日早くに学園に送ってもらっている間中、子犬はメリベルの腕の中でとても大人しくしていた。
「お嬢様以外には懐かないようですね。今朝もずっとお嬢様にべったりでしたし」
朝、メラニーが抱こうとしても逃げ回り、結局メリベルが子犬を抱いたまま朝食を取りに行った時、父親は目を点にしてしばらく固まっていた。子犬は何故か俯いたまま。しかし父親は迷子ならちゃんと飼い主を見つけてあげなさいと言ったきり、特に何かを言う事はなかった。子犬は用意された食事には口を付けず、ずっとメリベルの膝の上でスヤスヤと眠っているだけ。お腹が空いていないか心配になったが、子犬自体は全く気にしていない様子だった。
「先生に会ったらご飯を食べてくれたらいいんだけど」
「環境が変わったせいかもしれませんね。心配ならさなくてもお腹が空いたらその内食べますよ。もしかしたら大魔術師のお犬様なので特別なご飯しか食べないのかもしれません」
「うちのご飯だって悪くはないと思うわよ?」
そうこうしている間にも馬車は学園に到着した。
「いいわね、あなたはこのままお医者様の所に行くのよ」
メラニーが昨日子犬に引っ掻かれた所を一応診てもらう為に、今から診療所へ向かう。メリベルは子犬を抱いたまま誰もいない学園の門を通った。その瞬間、いつもと違う感覚がして周囲を見渡した。特に変わった様子は見て取れないが、それでも言葉に出来ない違和感が襲ってくる。一刻も早く先生の元に行こうとして走り校舎を周り、温室が目に入って固まった。
正確には温室が“あった場所”を見て固まってしまった。
大きく高くあったはずの温室は跡形もなく消え去り、そこにはただ広い敷地があるだけ。急いで園芸室に向かう。鍵は掛かっておらず、中はただの部室の一室。散らばっているのは先生の見慣れた白衣が数枚と、なんて事ない薬草についての本が数冊机の上にあるだけ。大魔道師の部屋まで続いていた階段は消えていた。子犬はメリベルの腕の中からもがいて飛び降りると、ガシガシと白衣を掻き始めた。そして薄汚れたポケットからメリベルが渡していた鍵が数本出てきた。
「ワンちゃん駄目よ触れちゃ!」
鍵は魔素を含んでいる。魔廻がない生き物が触れればたちまち魔獣と化してしまう。メリベルは腕を延ばし鍵を遠くへやろうとした。しかし子犬が鍵を加えた方が早かった。
「やだ……」
鍵は子犬に吸収され、跡形もなく消えてしまっている。そして子犬の体はメキメキと大きくなり、中型犬程の大きさに変化していた。
「そんな、駄目駄目駄目!」
あんなに可愛かった子犬を倒すなんて出来ない。まだ間に合うかもしれない。メリベルは浄化の魔術を放とうと手を上げた。
「ワンッ! ワウゥ」
「え……」
魔獣がこんな風に可愛らしい声を出すなんて聞いた事がない。戸惑いながら一瞬手を止めると、子犬から中型犬程に体は大きくなっているものの毛並みは美しい銀毛のまま、宝石のように美しい緑色の瞳が見上げてきていた。
「ヘッヘッヘッ」
舌を出して笑っているようにさえ見えるその姿に、メリベルはヘナヘナとその場に座り込むと、中型犬になった犬がそっとそばに近づいて来る。
「良かったぁ」
メリベルはその首にしがみつくと、空気に漂うフワフワの毛並みに顔を埋めた。犬は驚いたのか全身を硬直させていたが、メリベルにされるがまま大人しくしていた。
隙間風のない空間でランプの炎は真っ直ぐに燃えている。イーライは開いていた書物をより照らそうと、ランプを更に引き寄せた。
「嘘だろ……あいつは魔廻を集めていたってのか?」
カタンと後ろで何かの音がする。とっさに振り返ったが、その時魔術が使われた気配と共にみぞおち近くに硬い何かが押し付けられた。
『魔廻は頂いた』
がくりと膝を着いたイーライの視線の端でランプが倒れている。火が一気に机の上の書物に燃え広がっていく。イーライはとっさに何事かを呟くとそのまま意識を失った。
メリベルは家に帰ってからというもの、食事をしている時もお風呂に入っている時も母親の事を考え、とうとう時刻は真夜中になろうとしていた。
「夜に考え事なんてよくないわよね」
散々迷走していて今更な気もするがさすがに眠くなり、ようやくベッドに入ろうとした所だった。その時バルコニーの方で物音がし、持ち上げていた毛布をそっと戻す。風のせいかとも思ったが、耳を澄ましてみるとやはり硝子を掻くような音がした。
「少し開いていたかしら」
風が入り込んでいるのかカーテンを開いた時、再びキィィという嫌な音がしてとっさに下を見ると、目下には軽く抱えられそうな程の小型犬が物寂しそうにお座りをしていた。
「……犬?」
「クゥゥン」
子犬の横には何故か土がこんもりとある。
「ワンちゃんどこから来たの? というかここ二階よ!?」
とっさに硝子扉を開けると、座り込んでいた子犬は待ってましたと言わんばかりにさっきまでのしおらしさはどこへやら、部屋の中に入って行ってしまった。
「ちょっと待ちなさい! 足が汚れているんじゃないの? メラニーぬるま湯を持って来て!」
子犬はベッド目掛けて飛び乗ると、満足したように毛布の上で丸くなった。何事かと飛び込んできたメラニーは主のベッドの上にいる子犬を見つけるなり、悲鳴を上げた。
「降りなさいこら! ベッドが汚れるじゃない!」
そんなメラニーをあざ笑うかのようにひょっと降りてはまた反対側に上り、また躱してはベッドに上るを繰り返している。とうとう息切れし始めたメラニーに手を振って追い掛けるのを止めさせた。
「足を洗ってあげたいからぬるま湯を持ってきてくれる?」
「わざわざお湯を使うんですか?」
「だってもう寒いじゃない。この子いつからか分からないけれど外にいたのよ。本当はお風呂に入れてあげたいけれど……」
その時、子犬は信じられない程の速さでベッドの下に隠れてしまった。
「おや、もしかしたらこのワンちゃんは言葉が分かるのかな? お風呂でキレイキレイになりたいわよね?」
急に勝ち誇ったようなメラニーはベッドの下に潜っていく。その瞬間、ベッドの下からメラニーのくぐもった声が聞こえて子犬が逃げ出しきた。
「引っ掻かれましたぁ! 野犬でしょうか、病気を持っていたらどうしましょう」
「そうやって意地悪をするからよ。明日一番でお医者様に診てもらいなさい」
そう言いながら、ベッドの端に戻ってきた子犬から少し離れて座った。
「メラニーよく見て。この子とても綺麗よ。綺麗な銀色の毛だし、ほら、綺麗な緑色の瞳よ。まるで宝石みたいね。どこかの飼い犬かしら。ワンちゃん、全身とは言わないから足だけ洗ってくれる? だってあなた裸足で外から来たでしょう」
すると子犬は渋々、本当に渋々と言ったようにベッドから降りた。毛はどちらかというと長い。園芸室で会った大きな犬も確かこんな毛色と瞳の色だった気がする。
「もしかしたらこの子、先生の所の子かもしれないわ。明日連れて行ってみようかしら」
「あの先生犬を飼っていたいたんですか?」
「ああ見えて世話好きのようだし、独り身で寂しいんじゃないかしら」
そう言うと、子犬は一気に不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「あ、そうだ。バルコニーに土があったから明日掃除をしておいてくれる?」
「何故土なんか……、もしかしたら先生の使いかもしれませんよ」
「先生の? どういう事?」
「お嬢様が先生に送られて帰られた日、門で待つ私達の元に土魔法の人形が現れたんです。先生の使いのようで、砂が文字になってお嬢様が一足先に帰られたと知りました。ですからお嬢様の仰る通り、この子子犬も先生の所の子なのかもしれないですね」
「あなた先生の所の子なの? まあ良いわ。行きましょう」
もちろん子犬は答える訳もなく、メリベルが手を差し出すと一瞬びくりと体を強張らせたものの、足だけを洗う事は了承したようだった。
翌日早くに学園に送ってもらっている間中、子犬はメリベルの腕の中でとても大人しくしていた。
「お嬢様以外には懐かないようですね。今朝もずっとお嬢様にべったりでしたし」
朝、メラニーが抱こうとしても逃げ回り、結局メリベルが子犬を抱いたまま朝食を取りに行った時、父親は目を点にしてしばらく固まっていた。子犬は何故か俯いたまま。しかし父親は迷子ならちゃんと飼い主を見つけてあげなさいと言ったきり、特に何かを言う事はなかった。子犬は用意された食事には口を付けず、ずっとメリベルの膝の上でスヤスヤと眠っているだけ。お腹が空いていないか心配になったが、子犬自体は全く気にしていない様子だった。
「先生に会ったらご飯を食べてくれたらいいんだけど」
「環境が変わったせいかもしれませんね。心配ならさなくてもお腹が空いたらその内食べますよ。もしかしたら大魔術師のお犬様なので特別なご飯しか食べないのかもしれません」
「うちのご飯だって悪くはないと思うわよ?」
そうこうしている間にも馬車は学園に到着した。
「いいわね、あなたはこのままお医者様の所に行くのよ」
メラニーが昨日子犬に引っ掻かれた所を一応診てもらう為に、今から診療所へ向かう。メリベルは子犬を抱いたまま誰もいない学園の門を通った。その瞬間、いつもと違う感覚がして周囲を見渡した。特に変わった様子は見て取れないが、それでも言葉に出来ない違和感が襲ってくる。一刻も早く先生の元に行こうとして走り校舎を周り、温室が目に入って固まった。
正確には温室が“あった場所”を見て固まってしまった。
大きく高くあったはずの温室は跡形もなく消え去り、そこにはただ広い敷地があるだけ。急いで園芸室に向かう。鍵は掛かっておらず、中はただの部室の一室。散らばっているのは先生の見慣れた白衣が数枚と、なんて事ない薬草についての本が数冊机の上にあるだけ。大魔道師の部屋まで続いていた階段は消えていた。子犬はメリベルの腕の中からもがいて飛び降りると、ガシガシと白衣を掻き始めた。そして薄汚れたポケットからメリベルが渡していた鍵が数本出てきた。
「ワンちゃん駄目よ触れちゃ!」
鍵は魔素を含んでいる。魔廻がない生き物が触れればたちまち魔獣と化してしまう。メリベルは腕を延ばし鍵を遠くへやろうとした。しかし子犬が鍵を加えた方が早かった。
「やだ……」
鍵は子犬に吸収され、跡形もなく消えてしまっている。そして子犬の体はメキメキと大きくなり、中型犬程の大きさに変化していた。
「そんな、駄目駄目駄目!」
あんなに可愛かった子犬を倒すなんて出来ない。まだ間に合うかもしれない。メリベルは浄化の魔術を放とうと手を上げた。
「ワンッ! ワウゥ」
「え……」
魔獣がこんな風に可愛らしい声を出すなんて聞いた事がない。戸惑いながら一瞬手を止めると、子犬から中型犬程に体は大きくなっているものの毛並みは美しい銀毛のまま、宝石のように美しい緑色の瞳が見上げてきていた。
「ヘッヘッヘッ」
舌を出して笑っているようにさえ見えるその姿に、メリベルはヘナヘナとその場に座り込むと、中型犬になった犬がそっとそばに近づいて来る。
「良かったぁ」
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