26 / 48
26 期待する気持ち
しおりを挟む
医官の診察を終えたジャスパーが一息ついた所で扉が叩かれた。
「ジャスパー殿下にお客様がいらしておりますがいかが致しましょうか。学園のご友人だそうで……」
バンッと勢いよく扉を開け、侍女の言葉も途中に歩き出した。
「どこに通した?」
歩きながら侍女に問うと、侍女は慌てて答えた。
「一階の応接室でございます!」
城の入り口に一番近い応接室へ一目散に向かうと、扉の前で一旦呼吸を整えてから勢いよく押し開いた。
「待たせた、な……」
中にいたのはクレイシーだった。
「突然の訪問をお許し下さい。どうしてもご体調が気になってしまい、直接お顔を拝見しに参りました。ご迷惑でしたでしょうか?」
「いや、大丈夫だ。一人で来たのか?」
「アビゲイルも誘おうかと思ったのですが、あの一件の時もかなり怯えていたので思い出さない方がいいかと思い、一人で参りました。……あの、ジャスパー様?」
返事をしないジャスパーに、クレイシーは困惑したように首を傾げた。
「なんでもない。怪我はもうこの通り順調に回復している。医官によるとメリベルの治療のお陰だそうだ」
「それは何よりです。それでメリベルさんはお見舞いにいらしたのでしょうか?」
「見舞いは不要だと言っておいたから来ていないな」
「そうでしたか。でもメリベルさんもお忙しいですもの、冬休み中も園芸員のお仕事はあるみたいですし、ほとんど毎日学園に行ってらっしゃるみたいですから」
「ほぼ毎日? そんなに行く必要があるのか?」
「さあ、私も園芸には詳しくありませんので何とも。でも少し心配ですよね、あの園芸員も男性ですから。良からぬ噂が立たなければいいのですが」
じろりとジャスパーの金色の瞳がクレイシーを捉えた。
「メリベルは学生として与えられた仕事に懸命に取り組んでいるだけだ。実際俺もそんなメリベルに助けられた。今後はそういう軽はずみな言動をするな。お前に免じて今のは聞かなかった事にしてやる」
「申し訳ございません。失言でした」
「俺達も生徒会の仕事があれば集まるだろう。メリベルもそれと一緒だ」
「そうですね。私もそう思います」
その時、応接室の扉が開いた。
「ジャスパー、こんな所で何をしているんだ? そちらのご令嬢は?」
「父上! どうしてここに?」
「お前こそ視察に向かうというのにまだそんな格好をしているのか?」
国王はジャスパーと同じ金色の瞳でクレイシーを見た。ジャスパーよりもやや背が高く、がっしりとした体格の国王は自然を見下ろすような格好になっている。礼に則ってクレイシーは視線を下げて少し体をずらした。
「そなたは確か、クレリック侯爵の娘か?」
するとクレイシーは綺麗な所作で頭を下げた。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません陛下。今日はジャスパー様のご容態をどうしても知りたく、お約束をしていないにも関わらずこうして押しかけてしまいました」
「ジャスパーの容態を知りたいとは何故だ? 王族の容態はおいそれと口にしてよいものではないぞ」
「誤解です父上! クレイシーは学友として心配して来てくれたのです。それ以上に深い意味はありません」
国王は小さく唸ってから頷いた。
「息子を気に掛けてくれた事は感謝する。だがジャスパーは婚約者がいる身、今後会いに来る時は信用出来る友人か、ノアを同席させよ」
扉の後ろにはいつの間にかノアが息を潜めるようにして立っていた。普段の学園の制服ではないからだろうか、どことなく近づき難い雰囲気をか持ち出しているノアは、友人としてではない探るような視線をクレイシーに向けていた。これが本来のノアなのかもしれない。騎士団ではなく、ただ一人の騎士となる事を選んだ男。クレイシーはノアに頭を下げると、ジャスパーに向き直った。
「ご多忙にも関わらずお時間を割いて下さりありがとうございました。お元気そうなお姿に勝手ながら安心致しました」
「せっかく来てくれたのにすまないが、公務があるのでこれで失礼する」
クレイシーは国王とジャスパーの姿が見えなくなるまで頭を下げて見送った。
ノアが持ってきていた上着に袖を通すと、次の物を受け取ろうとしてに首を振られた。
「まだいけません。剣は医官の承認が出てからお渡し致します」
「剣がないと落ち着かないんだ。ただ持っているだけだ」
「なりません。私が殿下をお守りしますので剣は不要です。体調が優れない中で剣を持てば回復の妨げになってしまいます」
「だからそばに置いておくだけと言っているだろ」
「諦めろジャスパー。ノアは私やお母様よりお前に厳しいぞ」
ノアの表情は変わらなかったが、ジャスパーは渋々眉間を掻きながら返事をした。
「それじゃあお前が常に俺の剣も持っていろ。そして緊急事態には必ず寄越すように」
「この身に代えても殿下の剣はお守り致します」
「……命掛けで剣を守る必要はない。命の危険なら剣は捨て置け」
「殿下の剣を捨て置く事など死んでも出来ません」
すると前を歩いていた国王は耐えきれずに大声で笑った。
「お前達は相変わらずのようだな。ワード騎士団長もノアの頑固さには早々に諦めていたが、ジャスパー至上主義は今だ健在のようだ」
「父は私の意思を尊重して下さっております。今はまだ従騎士ですが卒業したら必ずや殿下の騎士になってみせます」
「あれは尊重というよりも諦めたのだろう。良い機会だから今一度問うが、お前は本当に騎士団には入らず、ジャスパー専属の騎士になるのが希望なのだな?」
「もちろんでございます。殿下はもちろん私などがいなくても十分にお強いですが、今度剣を携帯する事が難しい場面もあるでしょうから、私を剣と盾としてお使い下さい」
「お前の事を盾にする気は毛頭ない。ですが父上、俺もノアがそばにいてくれるのは心強いです」
準備されていた馬車に二人乗り込み、ノアは馬車の隣りを並走する為、馬に騎乗した。
二人きりの空間に、ジャスパーは緊張気味に背筋を伸ばすと、馬車がゆっくりと走り出す。国王がカーテンの隙間からノアを見つめて呟いた。
「あれのように忠誠を誓う家臣を持つ事は良い事だ。心粋させるのは国を治める者にとって必要な素質だが、人は理由はどうであれ裏切るものだ。それに心を動かされてはならん」
「父上はそのようなご経験がお有りで?」
「さあどうだったかな。裏切り者はその都度ねじ伏せてきたから記憶になど残っておらんな」
そうニッと笑うと、そこで話は終了したのだと分かった。
「ジャスパー殿下にお客様がいらしておりますがいかが致しましょうか。学園のご友人だそうで……」
バンッと勢いよく扉を開け、侍女の言葉も途中に歩き出した。
「どこに通した?」
歩きながら侍女に問うと、侍女は慌てて答えた。
「一階の応接室でございます!」
城の入り口に一番近い応接室へ一目散に向かうと、扉の前で一旦呼吸を整えてから勢いよく押し開いた。
「待たせた、な……」
中にいたのはクレイシーだった。
「突然の訪問をお許し下さい。どうしてもご体調が気になってしまい、直接お顔を拝見しに参りました。ご迷惑でしたでしょうか?」
「いや、大丈夫だ。一人で来たのか?」
「アビゲイルも誘おうかと思ったのですが、あの一件の時もかなり怯えていたので思い出さない方がいいかと思い、一人で参りました。……あの、ジャスパー様?」
返事をしないジャスパーに、クレイシーは困惑したように首を傾げた。
「なんでもない。怪我はもうこの通り順調に回復している。医官によるとメリベルの治療のお陰だそうだ」
「それは何よりです。それでメリベルさんはお見舞いにいらしたのでしょうか?」
「見舞いは不要だと言っておいたから来ていないな」
「そうでしたか。でもメリベルさんもお忙しいですもの、冬休み中も園芸員のお仕事はあるみたいですし、ほとんど毎日学園に行ってらっしゃるみたいですから」
「ほぼ毎日? そんなに行く必要があるのか?」
「さあ、私も園芸には詳しくありませんので何とも。でも少し心配ですよね、あの園芸員も男性ですから。良からぬ噂が立たなければいいのですが」
じろりとジャスパーの金色の瞳がクレイシーを捉えた。
「メリベルは学生として与えられた仕事に懸命に取り組んでいるだけだ。実際俺もそんなメリベルに助けられた。今後はそういう軽はずみな言動をするな。お前に免じて今のは聞かなかった事にしてやる」
「申し訳ございません。失言でした」
「俺達も生徒会の仕事があれば集まるだろう。メリベルもそれと一緒だ」
「そうですね。私もそう思います」
その時、応接室の扉が開いた。
「ジャスパー、こんな所で何をしているんだ? そちらのご令嬢は?」
「父上! どうしてここに?」
「お前こそ視察に向かうというのにまだそんな格好をしているのか?」
国王はジャスパーと同じ金色の瞳でクレイシーを見た。ジャスパーよりもやや背が高く、がっしりとした体格の国王は自然を見下ろすような格好になっている。礼に則ってクレイシーは視線を下げて少し体をずらした。
「そなたは確か、クレリック侯爵の娘か?」
するとクレイシーは綺麗な所作で頭を下げた。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ございません陛下。今日はジャスパー様のご容態をどうしても知りたく、お約束をしていないにも関わらずこうして押しかけてしまいました」
「ジャスパーの容態を知りたいとは何故だ? 王族の容態はおいそれと口にしてよいものではないぞ」
「誤解です父上! クレイシーは学友として心配して来てくれたのです。それ以上に深い意味はありません」
国王は小さく唸ってから頷いた。
「息子を気に掛けてくれた事は感謝する。だがジャスパーは婚約者がいる身、今後会いに来る時は信用出来る友人か、ノアを同席させよ」
扉の後ろにはいつの間にかノアが息を潜めるようにして立っていた。普段の学園の制服ではないからだろうか、どことなく近づき難い雰囲気をか持ち出しているノアは、友人としてではない探るような視線をクレイシーに向けていた。これが本来のノアなのかもしれない。騎士団ではなく、ただ一人の騎士となる事を選んだ男。クレイシーはノアに頭を下げると、ジャスパーに向き直った。
「ご多忙にも関わらずお時間を割いて下さりありがとうございました。お元気そうなお姿に勝手ながら安心致しました」
「せっかく来てくれたのにすまないが、公務があるのでこれで失礼する」
クレイシーは国王とジャスパーの姿が見えなくなるまで頭を下げて見送った。
ノアが持ってきていた上着に袖を通すと、次の物を受け取ろうとしてに首を振られた。
「まだいけません。剣は医官の承認が出てからお渡し致します」
「剣がないと落ち着かないんだ。ただ持っているだけだ」
「なりません。私が殿下をお守りしますので剣は不要です。体調が優れない中で剣を持てば回復の妨げになってしまいます」
「だからそばに置いておくだけと言っているだろ」
「諦めろジャスパー。ノアは私やお母様よりお前に厳しいぞ」
ノアの表情は変わらなかったが、ジャスパーは渋々眉間を掻きながら返事をした。
「それじゃあお前が常に俺の剣も持っていろ。そして緊急事態には必ず寄越すように」
「この身に代えても殿下の剣はお守り致します」
「……命掛けで剣を守る必要はない。命の危険なら剣は捨て置け」
「殿下の剣を捨て置く事など死んでも出来ません」
すると前を歩いていた国王は耐えきれずに大声で笑った。
「お前達は相変わらずのようだな。ワード騎士団長もノアの頑固さには早々に諦めていたが、ジャスパー至上主義は今だ健在のようだ」
「父は私の意思を尊重して下さっております。今はまだ従騎士ですが卒業したら必ずや殿下の騎士になってみせます」
「あれは尊重というよりも諦めたのだろう。良い機会だから今一度問うが、お前は本当に騎士団には入らず、ジャスパー専属の騎士になるのが希望なのだな?」
「もちろんでございます。殿下はもちろん私などがいなくても十分にお強いですが、今度剣を携帯する事が難しい場面もあるでしょうから、私を剣と盾としてお使い下さい」
「お前の事を盾にする気は毛頭ない。ですが父上、俺もノアがそばにいてくれるのは心強いです」
準備されていた馬車に二人乗り込み、ノアは馬車の隣りを並走する為、馬に騎乗した。
二人きりの空間に、ジャスパーは緊張気味に背筋を伸ばすと、馬車がゆっくりと走り出す。国王がカーテンの隙間からノアを見つめて呟いた。
「あれのように忠誠を誓う家臣を持つ事は良い事だ。心粋させるのは国を治める者にとって必要な素質だが、人は理由はどうであれ裏切るものだ。それに心を動かされてはならん」
「父上はそのようなご経験がお有りで?」
「さあどうだったかな。裏切り者はその都度ねじ伏せてきたから記憶になど残っておらんな」
そうニッと笑うと、そこで話は終了したのだと分かった。
469
あなたにおすすめの小説
誰も愛してくれないと言ったのは、あなたでしょう?〜冷徹家臣と偽りの妻契約〜
山田空
恋愛
王国有数の名家に生まれたエルナは、
幼い頃から“家の役目”を果たすためだけに生きてきた。
父に褒められたことは一度もなく、
婚約者には「君に愛情などない」と言われ、
社交界では「冷たい令嬢」と噂され続けた。
——ある夜。
唯一の味方だった侍女が「あなたのせいで」と呟いて去っていく。
心が折れかけていたその時、
父の側近であり冷徹で有名な青年・レオンが
淡々と告げた。
「エルナ様、家を出ましょう。
あなたはもう、これ以上傷つく必要がない」
突然の“駆け落ち”に見える提案。
だがその実態は——
『他家からの縁談に対抗するための“偽装夫婦契約”。
期間は一年、互いに干渉しないこと』
はずだった。
しかし共に暮らし始めてすぐ、
レオンの態度は“契約の冷たさ”とは程遠くなる。
「……触れていいですか」
「無理をしないで。泣きたいなら泣きなさい」
「あなたを愛さないなど、できるはずがない」
彼の優しさは偽りか、それとも——。
一年後、契約の終わりが迫る頃、
エルナの前に姿を見せたのは
かつて彼女を切り捨てた婚約者だった。
「戻ってきてくれ。
本当に愛していたのは……君だ」
愛を知らずに生きてきた令嬢が人生で初めて“選ぶ”物語。
【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜
桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」
私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。
私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。
王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした…
そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。
平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか?
なので離縁させていただけませんか?
旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。
*小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
2度目の結婚は貴方と
朧霧
恋愛
前世では冷たい夫と結婚してしまい子供を幸せにしたい一心で結婚生活を耐えていた私。気がついたときには異世界で「リオナ」という女性に生まれ変わっていた。6歳で記憶が蘇り悲惨な結婚生活を思い出すと今世では結婚願望すらなくなってしまうが騎士団長のレオナードに出会うことで運命が変わっていく。過去のトラウマを乗り越えて無事にリオナは前世から数えて2度目の結婚をすることになるのか?
魔法、魔術、妖精など全くありません。基本的に日常感溢れるほのぼの系作品になります。
重複投稿作品です。(小説家になろう)
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
結婚5年目の仮面夫婦ですが、そろそろ限界のようです!?
宮永レン
恋愛
没落したアルブレヒト伯爵家を援助すると声をかけてきたのは、成り上がり貴族と呼ばれるヴィルジール・シリングス子爵。援助の条件とは一人娘のミネットを妻にすること。
ミネットは形だけの結婚を申し出るが、ヴィルジールからは仕事に支障が出ると困るので外では仲の良い夫婦を演じてほしいと告げられる。
仮面夫婦としての生活を続けるうちに二人の心には変化が生まれるが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる