大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ

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33 騒動の終焉①

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 菓子店での騒動の前日。メリベルは父親とイーライにマントの隙間から見えた髪の毛の色を伝えていた。でもそれはよくある髪の色。それだけで犯人だと決める訳にはいかない。そもそも、証拠もなく貴族の屋敷に乗り込めば侯爵家同士の内戦に発展してしまう。それだけの危険を冒す事は出来る訳がない。そして決めたのが、ジャスパーを巻き込んでのこの作戦だった。

「今日ここでジャスパー様と密会すると情報を流しておけば、あなたなら来ると思ったわ」

 色の白い肌はより一層青白く見える。ぐっと何かを耐えるような様子で立ち尽くすクレイシーからは魔廻を奪いに来た時の俊敏さは消え失せていた。

「大魔術師の魔廻を奪ったのもあなたね?」
「クレイシー、これは一体なんの真似だ?」

 剣に手を掛けたまま置いてけぼりをくらっていたジャスパーは、襲ってきた者がクレイシーだという事が飲み込めていないようだった。一階では戦闘の音が聞こえている。それでも二階は切り離されたように打って変わって静かだった。

「ジャスパー様ご覧の通りです。クレイシーさんが少し前に魔術塔で大魔術師を襲って魔廻を奪い、先日私も魔廻を奪われそうになりました」
「魔廻を奪う? そんな事が可能なのか? 君がどうして……」

 その瞬間、クレイシーは手に持っていた器具を振り上げた。しかし戸惑いながらも抜いた剣がクレイシーの袖に引っ掛かる。切っ先に引っ張られて体制を崩したクレイシーは階段を一気に落ちて行ってしまった。

「クレイシー!」
「クレイシーさん!」

 とっさに覗いた一階で、かつらを剥ぎ捨てたイーライは横たわるクレイシーの頭上に立ち、落ちた衝撃で転がった器具を奪っていた。

「お前には聞きたい事が山程あるんだ。殺しはしないが覚悟しておけよ」

 そう言うと土魔術を唱えた。床の一部が割れて植物の蔦が伸びてくる。そしてみるみる内にクレイシーの手と足に絡まり付いていく。

「イーライ殿まで……一体何が起こっているんだ」

 階段を駆け下りたジャスパーは、植物に動きを拘束されたまま倒れているクレイシーを悲痛そうな顔で見下ろした。

「どうか殺して下さい。このまま捕らえられても私は何も話しません」

 床に横たわったままのクレイシーがそう言うと、イーライは一気に力を開放させた。植物の蔦は菓子店の中にいた他の敵にも絡み付き、万が一にも魔術を使う事が出来ないように口元にも巻き付いていた。

「なんで僕がお前の言う事を聞かなくちゃいけないんだ。店主、この損害は全てノルン大公に請求してくれ!」
「は、はい! 承知致しました……」

 訳が分かっていない菓子店の店主と従業員達は、従業員用の部屋の窓に張り付きながらとっさにそう答えた。避難していた侍女達は騒ぎが収まった頃合いを見て中から飛び出すと、騎士達の元へ走って行く。その姿を確認しながらメリベルも階段を降りた。

「メリベル! 茶番は終わりだ。この罪人共を侯爵邸に運ぶぞ!」

 立ち尽くすジャスパーとノアの横で一礼すると先生の後を付いて行く。怪我人は複数名、店の破損は一階に集中していたが、それでも犯人を捕らえる事が出来た。そして何より重傷者が出なかっただけ大成功と言えた。

「待てメリベル! 説明をしてくれ! 今日は俺達の婚約についての話し合いだったんじゃないのか?」

 戸惑う声に振り向く事が出来なかった。結果としてジャスパーを利用した事に変わりはない。それでも今は話をしている時間はなかった。

「申し訳ありませんジャスパー様。必ずお詫びに参りますので本日はご容赦下さいませ。行きましょう、先生」
「待て!」

 思い切り腕を掴まれる。思わず振り見たその顔は、冷たく見下されていた。

「お離し下さいジャスパー様」
「……このまま帰る事は許さない」
「え?」
「ジャスパー殿下! 後でちゃんと説明しますから! 行くぞメリベル!」
「駄目だ! この者達は王族に刃を向けたのだから反逆罪に値する。それをなんの権利があって侯爵家ごときが連行して行くんだ? 拒めばお前達も同罪とするぞ!」

 ここまで言われれば従うしかない。アークトゥラス侯爵家の馬車一行は、行き先を変えて王城へと走り出した。
 馬車の中、ジャスパーは一言も発さず、メリベルもまた、顔を背けているジャスパーに声を掛ける事が出来なかった。




「……ッつ!」

 薄闇の中で目を覚ましたクレイシーはとっさに首元を探った。

「探し物はこれか?」

 とっさに声の方を向くと、壁に背を預けていた大魔術師が立っていた。
 イーライは指で紐をぐるりと回し、その小瓶を掴んで見せた。

「まさか毒を持ち歩いていたとはな。今そこにあったら飲み干す気だったのか? ……おい返事しろ。どのみちお前に生きる道はないんだぞ。でも知っている事を話せば助けてやらない事もない。って、これじゃあ僕の方が悪者みたいじゃないか!」

「……結局死刑になるのだから話す訳がないじゃない」
「へえ、捕らえられても仲間を守るってか」

 返事はない。クレイシーはそっと周囲を確認するように視線を動かした。

「今ジャスパー殿下はいないぞ。お前が気を失っちまったからメリベルと一緒に休みに行っている」

 僅かに反応はあったが、それでも何かを口にする事はなかった。

「だんまりを決め込んだとしてもどのみちお前は口を割る事になるよ。特別に僕が吐かせてやるんだからな」
「脅しても無駄よ。この命に未練はないもの」
「それは僕の拷問に耐えてから言えよ」

 温度のない声に、生に執着のないはずのクレイシーでさえ無意識にぞくりとしたものが背中を這った。

「お前が話さなくても一緒に捕らえた者達が口を割り出している頃だろうから、時間の問題だな」
「あの人達に聞いても何も分からないわよ。ただの……」

 口を閉じたが遅い。イーライは小さく笑うと一歩だけ格子に近づいた。

「なるほど組織という訳か。そしてお前はただの下っ端じゃないんだろ? そうだよな、こんな物まで持たされているくらいなんだから」

 目の前でポンっと上に投げられたのは、クレイシーが魔素を奪う際に使っていた魔術具だった。この世に数個しかない貴重な物。どうせ出処は探れないだろうが、それでも大魔術師の手の内にあるのは良くない。

「知っている事を話したらそれを返してくれる?」
「返す訳ないだろ。これを返せばお前達はまた悪さをするだろうからな」
「……悪さね。捕まっているのにどうやって?」

 その時、コツンと石を打つ足音が上から響いてきた。それと共に灯りも降りてくる。薄闇に慣れてしまっていたクレイシーは目を細めながら降りてきたその姿を捉えた。

「クレイシーさん! 気が付いたのね」

 メリベルは護送用の馬車の中で意識を失ったというクレイシーの事を心配していた。いくら襲われたといっても、全く知らない人ではない。それに事情を聞くまでは何も判断する事はしたくなかった。

「体調はどうだ?」

 そう声を掛けるジャスパーの声も表情も硬い。それでもそんな風に体を気遣うくらいにはまだ友人としての思いが残っているようだった。

「クレリック侯爵家はすでに近衛騎士団が包囲している。だが、お前の発言次第ではまだ一族を救えるかもしれない」
「一族を救えるですって? 笑わせないで下さい。どう救うおつもりですか?」
「この件に関わっている者達の名前を吐けば、関わりのない者達は咎めないよう父上に助言するつもりだ」
「それが通る確証はありませんよね?」
「王位継承権を賭けて誓おう」
「ッ!?」

 問う間もなく二人の間には入っていけなかった。

「分かりました。私の知っている事をお話するので、まずはそれを返して下さい」

 クレイシーがイーライの持っていた物を指差した。

「ジャスパー様駄目です。あれの使い道が分からない以上返すのは危険です!」

 しかしメリベルに返ってきたのはジャスパーの冷たい視線だった。

「君も勝手に今回の事を画策したじゃないか。極秘だったとしても俺に相談くらい出来たはずだ。俺は君が襲われた事も知らなかったんだぞ。それに今はもう近衛騎士団がクレリック侯爵家を包囲しているんだ。これ以上膠着状態が続くのは避けたい」

 ジャスパーがそう言うのも無理はない。クレイシーが意識を失って半日。王室はジャスパーの独断で犯罪の証拠がないまま侯爵家に刃を向けた。もしクレリック侯爵家が今回の事件に関わっていないのであれば、クレイシーを切り捨てるだけで終わるだろう。もちろん全くのお咎めなしとはならないだろうが。しかし、もしクレイシーから一族での犯行だと証言が取れれば状況は変わってくる。一刻も早く睨み合いの状況だけは終わらせなくてはならなかった。

「ジャスパー様のお怒りはごもっともです。でも陛下はまだお戻りにならないのですよね?」
「伝令は出しているが戻られるのは朝になるだろうな」

 ソル神の本聖堂があるのは王都から北東へ方向に進み、海の近くにある大きな街だった。曙を意味するエオスの街は、この世界でいち早く太陽が昇る地と遥か昔から神聖視されていた。

「陛下がいない状況でこのまま長引かせるのは得策じゃない。何としてもクレイシーからの証言が必要だ」

 二人で声を潜めて話している間中、クレイシーは格子の向こうからこちらをジッと睨み付けていた。

「分かりました。このままクレリック侯爵家に口裏を合わせる時間を与える訳にはいきませんもんね」

 クレイシーがもしクレリック侯爵家の命令を受けて動いていないのなら、近衛騎士団を動かしたジャスパーの正当性が問われてしまう。実のところ捕らえていた他の者達は、護送中の馬車の中で皆命を絶ってしまっていた。口と手足の自由を奪われていたにも関わらずの行動だった為に、予め口の中に毒を仕込んでいたのではというのが先生の見解だった。
 一斉に毒を煽ったと聞いた時には血の気が引いた。どうしてそんなに簡単に命を手放してしまえるのか。死が怖くはないのか。クレイシーが目覚めるまで、死んでしまうのではと震えが止まらなかった。

「クレイシーさん、このままじゃジャスパー様も罪に問われる事になるかもしれないのよ」 
「それを返して」
「このままじゃ間もなく内戦になるわ。そしたらジャスパー様は騒動の責任を問われる事になるのよ」
「そんな訳ない! だって悪いのは私だもの! どうしてジャスパー様の責任になるのよ!」
「魔廻を集めているのには何か理由があるんじゃないの!? ねえクレイシーさん、話してくれないとあなたを救えない!」
「クレイシー話してくれないか? 俺に数少ない友人を失わせないでくれ」
「ッ、ジャスパー様……」

 クレイシーの頬に一筋の涙が流れていく。

「大魔術師様、それを返して下さい。ちゃんとお話ししますから」
「返せないって言っているだろ」
「イーライ殿、渡してやってくれ。どうせ牢の中にいるんだ」

 舌打ちをしながらイーライがぶっきらぼうに器具を押し渡した。クレイシーは一瞬顔を上げてジャスパーを見てから、意を決したように器具をみぞおちに押し当てた。

「何を!」

 駆け出して時にはもう遅かった。器具から黒い煙が漏れ始めていく。それが大量の魔素だと分かった時にはもうクレイシーのいる牢から魔素が広がりつつあった。

「ジャスパー様逃げて下さい! 魔廻のない人間があれに触れれば死んでしまうか魔獣になってしまいます!」
「でもお前達はどうするんだ!」
「先生と一緒にあれを浄化します! 早く行って下さい!」
「殿下! 魔術団員にすぐに来るように伝えてくれ! 早く!」

 イーライの声に押されるようにして階段を駆け上がって行く音に安堵しながら、メリベルは先生の隣りに立って浄化の呪文を詠唱し始めた。地下牢は古く、隙間から魔素が地上へ漏れ出ないとも限らない。今出来る事は溢れ出る魔素を片っ端から浄化するしかなかった。

「お前はあの女の周囲を浄化しろ。僕はあの器具を狙ってみる!」
「こんな事なら魔廻を小さくしなければ良かったです」
「だが僕は救われたッ」

 メリベルは前に上げていた腕が震え出し、感覚がなくなっても浄化を止める事なく、魔術団員が到着して一斉に浄化が始まっても気が付かない程に集中していた。
 どれくらい経っただろうか。先生から放たれた土魔術の一撃が、浄化され晴れた一瞬の隙きを付いて気を失っているクレイシーの手元を撃ち抜いた。その瞬間、魔素が止まり地下牢を満たしていた重苦しい空気が一気に晴れていく。

「先生、何を、したんです!」

 息が上がったまま周囲を確認すると、牢の中にはクレイシーが横たわっている。魔素の気配はどこにも感じられなかった。

「まだだ! 近づかない方がいい。あれだけの魔素を浴びたんだ。いくら魔廻持ちだったとしても、もう死んでいるか魔獣になっていてもおかしくないぞ」

 もし目が覚めていきなり襲い掛かってきたら。もしいくら待っても動く事がなかったら。そう思うと恐怖で足が竦んでしまう。それでもメリベルはゆっくりと近づいて行った。クレイシーの睫毛が僅かに揺れている。メリベルは格子を揺らしながら声を掛けた。

「クレイシーさん! 目を覚まして、クレイシーさん!」
「僕は別にその女を助けようとしたんじゃなくて、大量の魔素がこの地下から出ないようにする為にしたんだ。そこを勘違いするなよ」

 そう言いながらも床に座り込んだ先生はもう起き上がれない程に消耗しているらしく、眼光だけがいつでも止めを刺せるようにクレイシーを捉えていた。

「……やっぱり先生は凄い魔術師です」

 うっすらと目を開けたクレイシーと目を合わせながら、メリベルは声を震わせて言った。
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