大好きなあなたを忘れる方法

山田ランチ

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36 捨てた過去について

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「それで話とは?」

 生徒会室のソファで、シアはちょこんと借り物の猫のように座っていた。
 昼休みの後半にちょっと用事があるとメリベルと別れて剣術科に来たはいいが、まさかすんなりとこうして通されるとは思ってもいなかった。

「話があったんじゃないのか?」

「……殿下にお伺いしたいのは昨年の合同大会での事です」

 返事はなく、じっとこちらを見つめてくる視線が先を促してくる。

「合同大会の帰りに私達見てしまったんです。その、ジャスパー殿下とクレイシーさんが門の前で抱き合っているのを」
「俺とクレイシーと抱き合っていた!? ありえないな」
「でもはっきりと見たんです。メリベルも見ていますよ」
「……それを見てメリベルの様子はどうだったんだ?」
「驚いていたようですが、その後に何も言わなかったという事は許したのかもしれません。でも私は違います。メリベルの親友としてこのまま黙って結婚を祝福する事は出来ません! も、もちろん男爵家の私なんかがこんな風に口を出すのは身の程知らずだと承知しています。ですから今こうして学園の中で、メリベルの友人として話をしているんです」
「待て、少し待ってくれ! まず俺は誰とも抱き合っていない。何をどうしたらそんな事になるんだ?」
「覚えていらっしゃらないんですか? 夕方の門で二人が抱き合っている所を見たんですよ!」
「夕方? 夕方……」

 その瞬間、ジャスパーはハッとして口元を押さえた。

「もしかしたらアレの事か?」
「アレ?」
「クレイシーは目の色素が薄いから光に弱いんだ。だから夕日の光から庇った気はする」

 そしてジャスパーは大きく後ろに倒れた。腕で目元を隠し深い溜息を吐いた。

「そうか。まさかあれがそんな風に見えていたのか」

 盛大に落ち込んでいる様子にシアもどうしていいのか分からなくなってしまう。とっさに後ろを振り向くと、ノアが小さく首を振った。と同時に声を出さずに“じ・か・ん”と口が動いた。

「あの、えっと、それじゃあこれで失礼します! メリベルにはちゃんと殿下のお言葉で伝えて頂いた方が宜しいかと思いますよ。それじゃあ失礼致します!」

 逃げるように部屋と飛び出して行った。

「次から次へと……俺達は呪いにでも掛かっているのか」
「自業自得ですね。ジャスパー様はメリベル様には極端に距離を取られ過ぎです。まずはメリベル様にきちんとお話になられるべきだと思いますよ」




 暖かな日差しの中、ようやく待ちに待ったこの日を迎えていた。どこかにある温室と学園の庭を繋ぐ為の魔術を施せたのは、二年になり一週間が過ぎた頃だった。学園全体や花壇への防御魔術を優先した為、先生の趣味半分の温室が後回しになったのは言うまでもない。
 魔廻をほとんど奪われた先生が一人で学園全体に魔術を掛けるのは少し酷で、メリベルが常に同行して魔術を掛ける補佐をして歩いていた。本当なら先生は一番最初に温室を繋ぎたかったはず。それでも我慢した先生を褒めずにはいられない。じっと見つめると、先生は嬉しそうに待ちきれない様子で温室への扉を開いた。

「ようやく……って、うわぁ」

 見上げる程の大樹に美しい花々の記憶を胸に入った温室の中は、荒れた草原へと化していた。確かに手入れをせずに放置していた。その間に先生の魔術は掛かっていなかった為、雑草は伸び放題だし、野生動物に踏んだり食い荒らされたりしたのか、とにかく荒れている。そう、ただただ荒れていた。

「先生でも見て下さい! まだあの木は変わらずにちゃんとありますよ!」
「当たり前だろ。数ヶ月で木が腐ってたまるか」

 ズカズカと膝程にまでになった雑草の隙間を進んで行く先生は、温室の中央まで行くとお得意の土魔術を放った。

「お前はとにかく雑草を抜いて抜いて抜きまくれ!」

 周辺全て雑草だと言ってもいい。しゃがめば顔に草がぶつかってしまうというのに抜きまくれとは一体どういう事か。使った事はないがせめて草刈り鎌くらいは貸して欲しい。そしてふと思った。学園の花壇の雑草は生えていると言っても冬だったせいか成長速度はたかが知れていた。それなのになぜ温室の草花はここまで荒れ放題になってしまったのだろう。メリベルは詠唱が途切れるのを待ってひたすらに草を引き抜きながら先生に近づいて行った。

「この温室って本当はどこにあるんですか?」

 この温室がここにはないどこかの場所に繋がっている事はもう知っている。こんな風に草花の発育がいいのだから、きっと温暖な気候にあるのだろう。とすればこの国ではないのかもしれない。いくら遠く離れた地だったとしても気候が大幅に変わる程まで違い訳がないだろうから。

「お前には行けない場所だった。ずっとずーーっと遠くにある」
「それってもはやこの国ではないんじゃありませんか? 先生、ここってもしかして他国の持ち物なんじゃないです?」

 視線が泳いでいる。メリベルは呆れたように草を抜く手を止めた。

「勝手に自分の物にしているなんて駄目ですよ!」
「違う! 元々は僕の生まれた場所だったんだ!」
「ここが先生の故郷なんですか?」
「……アークトゥラス侯爵が僕はルナ神の使いだと言っただろ。あれは本当だよ。と言っても生まれ変わりだけどな。ここは最初の僕が意識を持った場所なんだ。あの頃は今みたいに国には別れていなかった」
「先生ってその、やっぱり人間じゃないんですよね? 銀色狼になるなんてそういう事ですよね?」
「まあ、お前にこれ以上隠しても仕方ないからな」

 そう言って草の上に座ると大樹を見上げた。


 この瞳に最初に見えたのは視界を覆い尽くす程の真っ黒な世界。
 そこに散りばめられた光り輝くもの。
 そして一際眩しい銀色の月。
 その光を見ただけでじんわりと目に涙が溜まり、堪らなく暖かくそして胸を締め付けられる程の懐かしさを感じたのは、あの光から僕が生まれたと潜在意識の中で分かっていたからだった。
 僕が生まれたのはこの世界が混沌から切り離され、しばらく経った後だった。ルナ神がこの世界の魔素を引き取ったおかげで世界には束の間の光の日々が訪れていた。

「お前はあの扉の監視者よ。あの扉が万が一にも開く時には、その生命を鍵として扉を閉めなくてはならないの」

 まばゆい光を放つ銀髪が美しいその人は、優しく微笑みながらふわりと頭を撫でてきた。その手はひんやりと冷たいのに何故か温かい不思議なもので、よくその掌に鼻先を押し当てては甘えていた。

「分かりました。僕がしっかりと見守ります」
「それは頼もしいわね。お前になら安心して託せるわ」

 緑色の瞳は信頼の全てを注ぎ込んでその人を見上げた。

「ルナ様はどこかに行かれるのですか?」
「あの扉の向こうに」
「え……」

 そう言うととても幸せそうに歩き出した。

「待って下さい! もし扉を閉める時はルナ様は出てきますよね!?」

 追いかけても追いかけても追いつける事はなく、その人の姿は大樹と重なりフッと消えてしまった。


 メリベルはぐらっと目眩がして膝を着いた。何が起きたのか分からずに視線を大樹へと向ける。すると、青い空に真っ直ぐ伸び青々しい葉を茂らせ立派な木に重なるように残像が脳裏に映った。赤と黒の禍々しい嫌な空。ザザッと別の姿が重なる。真ん中から割れた大樹。その間から禍々しい魔素が吹き出していた。

「なに、これ」
「メリベル? おい大丈夫か?」

 先生が駆け寄ってきた時にはもう脳裏に浮かんだ映像は消え、何を視たのかさえ分からない程に靄がかかり始めていた。

「どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
「いえ、ちょっと立ち眩みがして……」
「この所ずっと魔術を使っていたからな。今日はもう帰って休め。温室も無事に繋がったんだ、しばらくは園芸員の仕事は免除してやるから今週は休めよ」
「でも雑草が……」

 ニヤッと笑った先生は土魔術を使うと、小さな泥人形のような物を生み出した。その泥人形達はせっせと草を抜き始めた。

「そんな事が出来るなら最初から自分でやって下さいよ」




「ジャスパー様、そろそろ」

 門でメリベルの帰りをずっと待っていたジャスパーは昼休みにシアから言われた事をずっと頭の中で繰り返していた。
 シアの言っている事が本当なら、メリベルはあの合同大会での事をずっと心の中に秘めていた事になる。聞きたくても聞けなかったのか、それともシアはああ言っていたが実は気にしていなかったのか。どちらにしても知ってしまった以上このままには出来ない。居ても立ってもいられず、この数日メリベルが園芸員の仕事が終わるのを待っていた。しかし忙しいのかいつも帰城しなくてはいけない期限を迎えるのだった。今日も待っているうちにとうとう空は赤くなり始めていた。

「そうだな。また明日にしようか」

 そう言って振り返った瞬間、ノアが何かに気付き、ジャスパーも後ろを振り返った。

「メリベル……」
「ジャスパー様? どうされたんです!?」

 小走りで近づいて来る姿に頬が緩まないようにぐっと力を入れた。

「話したい事があって待っていたんだ。園芸員の仕事は終わったのか?」
「今日でひとまず落ち着きました」
「体は辛くないか?」
「お気遣いありがとうございます。それよりもお話しというのは?」

 門の前全体が夕日で赤くなっていく。ジャスパーは拳を握り締めて言った。

「先日メリベルの友人の女生徒に聞いたんだ。その、去年の合同大会の時に、俺とクレイシーが帰りに抱き合っていたように見えたと。でも誤解なんだ!」
「合同大会の帰り、ですか」
「見間違いなんだ。あの時は今日みたいに夕日が眩しくて……」
「誤解なんですよね? 分かりました」
「怒ってないのか?」
「ジャスパー様が直接誤解だと言って下さったので大丈夫です」
「メリベルは気にしていなかったのか?」
「えっと、ジャスパー様を信じていますので! それでは馬車を待たせておりますので失礼します。ジャスパー様もお気をつけてお帰り下さいね」

 メリベルはそう早口で言うと、家の馬車に飛び乗った。

「どうされたんですかお嬢様?」

 覗き込んできたメラニーの腕を思い切り掴んだ。

「お嬢様!? 本当にどうされたんです?」
「あっぶなかったわ。記憶がない事は特に問題ないと思っていたけれど、ジャスパー様とお話をするとボロが出るかも知れないわね」
「もしや何か覚えていない事に触れられたんですか?」
「そうみたい。今まではほとんど関わりを持っていなかったから聞かれる事もなかったけど、気を付けないといけないわね」
「何の話題を出されたのですか?」
「合同大会での帰りでの事って仰っていたけど、焦ってしまってあまりよく覚えていないの」

 本当は嘘だ。記憶はないがジャスパーが話してくれた事で何があったのかは分かってしまった。もしかしたらメラニーは知っているかもしれない。きっと過去の自分はジャスパーが言ったような誤解する場面を目撃したのだろう。そして記憶を消す程に辛かったに違いない。忘れてしまった事のはずなのに、ツキンと胸が痛んだ。

「とにかくこれからはジャスパー様との接触を最小限にした方がいいわね。魔術科に通っているのに魔廻を小さくしただなんて国益を損ねているもの」
「お嬢様、それ本気で言ってます?」
「? 魔術師は魔術が使えてこそなのよ。これ以上ジャスパー様にがっかりされたくないの」
「……本当にお二人ときたら……」
「何よ。何か言いたい事でもあるの?」

 メラニーは腕を掴んできている手を擦ると、困ったように眉を下げた。

「いつか全てを話せる時が来るといいですね」
「そうね、来るといいわね」
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