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魔族の女
しおりを挟む無事に服を入手できたので家に帰ってきた。
どうやら女はまだ寝ているようだ。
行って帰ってきて一時間くらいだからな、だいぶ疲れているんだろう。
不用心だけどね。
起こすのも可哀想だな。
女が来たせいで中断していた畑仕事の続きでもしよう。
◇
その後、夕食を作ってる途中で女は目覚めた。
「……ここは」
「おっ、目が覚めたか。もう少しでできるから座っててくれ」
「え、あ、はい……」
女は素直にテーブルへついた。
ちなみにプニ雄は今外にいるので、小屋の中には俺と女しかいない。
料理をしていると、一部の窓からペシペシと叩く音がした。
準備が出来たようだ。
「風呂の準備ができたみたいだから入ってくるといい。替えの服はそこに置いてあるから、よかったらそれを着てくれ」
プニ雄が外にいた理由は、風呂の準備をしていたからだ。
小屋の外にある釜でお湯を沸かし、湯船に流す仕組みになっている。
排水する管もあるので、割としっかりした作りの風呂である。
これに関しては俺が拘ったというのもあるけど。
女は俺に促されるまま、オドオドしながら風呂場へ向かった。
「プニ雄。しっかり洗ってやってくれ」
湯を沸かして部屋の中に戻ってきたプニ雄にそう指示する。
プニ雄は「しかたないなぁ」という感じで風呂場へ向かった。
<え、魔王さま?!
<あの! 大丈夫です! 自分で洗えますから!!
<あばばばばばば
プニ雄は以外と綺麗好きだからな。
体の汚れを水で洗い流してくれるだろう。
しばらくは女の悲鳴がしていたが、今は静かになった。
水の音も消えたので、湯船に浸かっているのだろう。
プニ雄は体をちゃんと洗ってからじゃないと湯船に入らないからな。
夕食もそろそろ出来る。
俺が風呂に入るのは後でいいか。
女から詳しい話を聞いてからだな。
◇
「……その、ありがとう」
風呂から上がった女は相変わらずオドオドしながらも、お礼を言ってくれた。
「サッパリしたみたいだな。さっ、飯にしようか」
テーブルに料理を並べていく。
村の周囲にいる魔物の肉のステーキに、野菜炒めと生野菜のサラダ。
野菜炒めとサラダで野菜が被ったな……まあいいか。
「それじゃいただきます」
俺とプニ雄が食べ始めると、女も食べ始めた。
食べながらだが、少し話を聞くとしよう。
ああそうだ、その前に――。
「ところで、名前はなんて言うんだ。あっ、俺はダイチだ。よろしく」
危ない危ない、相手から名前を聞くのに、自分の名前を言い忘れるところだった。
女はナイフとフォークを置き、真っ直ぐ俺を見つめながら言った。
「私の名前は、ルナ。ルナ・シルヴァよ」
「ルナか、わかった。それで一体何しに俺の所へ来たんだ?」
女は食事を再開し、俺の疑問に答えた。
「アナタの所に、じゃないわ。魔王様の魔力を辿ったらここに辿り着いたのよ」
また魔王か……この女――ルナはプニ雄が魔王だと言っているが、にわかには信じがたい話だ。
理由は明快、一年前に魔王は勇者の手によって討たれている。
俺は肉をナイフで綺麗に切り分けながら食べているプニ雄を見る。
魔王……ねえ。
「とてもじゃないが、魔王には見えないな……」
ルナもプニ雄を見る。
「いえ、魔王様よ。肌の色と目が同じだもの。それに、魔王様は魔力の色が独特だからわかるのよ」
「魔力の色?」
「ええ。私たち魔族は魔力の色が見えるのよ。でもアナタの色は始めて見る色ね……仄かに黄金に輝いているわ」
黄金か……もしかして、俺が異世界転生した人間だからか?
まあいいか。
それよりも、今後どうするかだな。
「プニ雄が魔王かは置いておくとして、ルナは今後どうしたいんだ?」
俺の言葉にルナは考える仕草をした。
実際、この村に住むかどうか決めるのは本人次第だ。
住むというのならある程度は手伝おう。
ルナは一つ頷き、口を開いた。
「ここに住むわ」
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