2 / 11
2
しおりを挟む
運命の番とは、特定のαとΩが出会った時に起きる現象だ。
αもΩも常にフェロモンというものを発している。一般的にαはΩの、Ωはαのフェロモンを嗅ぐと「発情」してしまう。αもΩも全人口の1%とはいうもののこれって結構大きい数字で(だって100人に1人はいるってことだし)、だからフェロモンをそのままにしているとこの世は大変なことになってしまう。
しかもαとΩが発情セックスしてΩの項をαが噛むとお互いのフェロモンしか感じない「番」になる。そしたらαもΩも一生その相手に縛られることになる。たまったものじゃない。そんなわけで昔からフェロモンを感じないようにする薬はあった。フェロモンが出ないようにする薬もちょっと前に作られた。だからいきなり路上で発情してセックスして番になるなんて大惨事、今の世の中ではそうそう起こらない。100年くらい昔はたまーにあったみたいだけど。
なんの話をしていたっけ?そう、運命の番だ。運命の番同士はそういう薬を全部無視して発情が起こる。しかも普通の番だって本来は一生消えない関係のはずなのに、運命の番に出会うとそれが解消される。
逆に言えば、運命の番は誰にも消すことの出来ない強固な絆だ。それを偽装してしまえば、こっちのものだ。
運命の番はすごく強い繋がりだけど、その相手に出会うことなんて滅多にない。この世の大多数を占めるβには都市伝説って言われてるくらいだ。僕らαやΩにもその存在に懐疑的な人がいるくらいで…ってまた脱線しかけた。
つまり、僕が誰かαを捕まえて「この人が僕の運命の番です」って言っても、余程のことがなければ、それこそ本当に運命の番に会いでもしなけりゃ誰にもバレやしない。どうにかして運命の番を偽装して番になってしまえば、相手は罪悪感を抱くはずだ。今でも非力で発情期のあるΩは社会的弱者とみなされている。運命に巻き込まれた僕を哀れに思って、何でも言う事を聞いてくれるに違いない!
しかしそんなにうまい話はない。この計画を実行するためにはいくつかの乗り越えるべきハードルが存在する。
まず、相手に本気で自分が運命の番だと思い込まさなければいけない。そのためにはこっちが発情した上で相手のフェロモン感知抑制剤を貫通するほどのフェロモンを会った瞬間にぶつけなきゃいけない。それでいて、他の人間は発情させちゃいけない。
実は一応見込みはある。希少性混在者にはたまに特殊な体質の者がいるんだけど僕もその1人で、僕はΩにしては珍しくフェロモンの向きを自在に操ることが出来るのだ。どうやってって…Domがグレアでやるみたいに…うーん説明するのは難しいや。αなら割と簡単にできるらしいんだけどね、これ。
今のところ役立ったのは突然発情しそうになったんでフェロモンを自分の周りに留めて抑制剤飲んで発情事故を回避した時くらいかな。ついでに発情誘発剤を飲み物に混ぜたαはお縄になった。めでたしめでたし。
そのなんだかよくわからない能力を使う時が来たわけだ。でももう1つ問題がある。僕はフェロモンの向きをコントロールできるだけで強さはどうにもできない。だからものすごく強いフェロモンが出るのは発情期くらい。α用の抑制剤は当然並のΩの発情くらいではびくともしないので、そのくらいの強さのフェロモンをさらにひとまとめにしてぶつけないととても貫通することなんてできない。でも僕は残念ながら発情期が定期的にくるタイプなので、発情期に行動を起こしたらすぐバレるだろう。いきなり発情しても事故で済むけど、故意にαを発情させるために発情期を使うのは犯罪だ。
じゃあ発情期以外にどうにかして強いフェロモンを出さなきゃいけない。手っ取り早いのはさっきちらっと出た発情誘発剤だね!でもこれ、持ってるだけで犯罪なんだよ。あれ、これも言ったっけ?
でも!これしかないと思うんだよね!そろそろ欲求不満がものすごいし!!ドロップする前に僕好みのαを捕まえるにはこのやり方を使うしかないと思うんだよ!!!
で、最後の問題だ。僕が誰を拾うべきか、なんだよね。
でもこれはもう決まっていた。もちろん、その河原って奴にするに決まってる!河原には前科があるから、バレそうになってもどうにか揉み消して逆に全部引っ被せればいい。その力が僕にはある。あっ、僕がクズだと思った?大丈夫、まだ実際にはしたことがないんだ。僕を蹴落とそうとしたαの罪を1から10にしたことはあるけど、全部事実だったし仕方ない。そうでもする覚悟がなきゃここまで登り詰めてないよね。もちろんされる覚悟もだけどさ。
…それに、本当は僕は河原に一目惚れしていた。αSubを飼いたいとは漠然と思っていたけど、はっきりとこのSubが欲しい!って、僕はその時初めて思ったんだ。このαSubを手に入れるためなら罪を犯してもいい、と思えるくらいには。
αもΩも常にフェロモンというものを発している。一般的にαはΩの、Ωはαのフェロモンを嗅ぐと「発情」してしまう。αもΩも全人口の1%とはいうもののこれって結構大きい数字で(だって100人に1人はいるってことだし)、だからフェロモンをそのままにしているとこの世は大変なことになってしまう。
しかもαとΩが発情セックスしてΩの項をαが噛むとお互いのフェロモンしか感じない「番」になる。そしたらαもΩも一生その相手に縛られることになる。たまったものじゃない。そんなわけで昔からフェロモンを感じないようにする薬はあった。フェロモンが出ないようにする薬もちょっと前に作られた。だからいきなり路上で発情してセックスして番になるなんて大惨事、今の世の中ではそうそう起こらない。100年くらい昔はたまーにあったみたいだけど。
なんの話をしていたっけ?そう、運命の番だ。運命の番同士はそういう薬を全部無視して発情が起こる。しかも普通の番だって本来は一生消えない関係のはずなのに、運命の番に出会うとそれが解消される。
逆に言えば、運命の番は誰にも消すことの出来ない強固な絆だ。それを偽装してしまえば、こっちのものだ。
運命の番はすごく強い繋がりだけど、その相手に出会うことなんて滅多にない。この世の大多数を占めるβには都市伝説って言われてるくらいだ。僕らαやΩにもその存在に懐疑的な人がいるくらいで…ってまた脱線しかけた。
つまり、僕が誰かαを捕まえて「この人が僕の運命の番です」って言っても、余程のことがなければ、それこそ本当に運命の番に会いでもしなけりゃ誰にもバレやしない。どうにかして運命の番を偽装して番になってしまえば、相手は罪悪感を抱くはずだ。今でも非力で発情期のあるΩは社会的弱者とみなされている。運命に巻き込まれた僕を哀れに思って、何でも言う事を聞いてくれるに違いない!
しかしそんなにうまい話はない。この計画を実行するためにはいくつかの乗り越えるべきハードルが存在する。
まず、相手に本気で自分が運命の番だと思い込まさなければいけない。そのためにはこっちが発情した上で相手のフェロモン感知抑制剤を貫通するほどのフェロモンを会った瞬間にぶつけなきゃいけない。それでいて、他の人間は発情させちゃいけない。
実は一応見込みはある。希少性混在者にはたまに特殊な体質の者がいるんだけど僕もその1人で、僕はΩにしては珍しくフェロモンの向きを自在に操ることが出来るのだ。どうやってって…Domがグレアでやるみたいに…うーん説明するのは難しいや。αなら割と簡単にできるらしいんだけどね、これ。
今のところ役立ったのは突然発情しそうになったんでフェロモンを自分の周りに留めて抑制剤飲んで発情事故を回避した時くらいかな。ついでに発情誘発剤を飲み物に混ぜたαはお縄になった。めでたしめでたし。
そのなんだかよくわからない能力を使う時が来たわけだ。でももう1つ問題がある。僕はフェロモンの向きをコントロールできるだけで強さはどうにもできない。だからものすごく強いフェロモンが出るのは発情期くらい。α用の抑制剤は当然並のΩの発情くらいではびくともしないので、そのくらいの強さのフェロモンをさらにひとまとめにしてぶつけないととても貫通することなんてできない。でも僕は残念ながら発情期が定期的にくるタイプなので、発情期に行動を起こしたらすぐバレるだろう。いきなり発情しても事故で済むけど、故意にαを発情させるために発情期を使うのは犯罪だ。
じゃあ発情期以外にどうにかして強いフェロモンを出さなきゃいけない。手っ取り早いのはさっきちらっと出た発情誘発剤だね!でもこれ、持ってるだけで犯罪なんだよ。あれ、これも言ったっけ?
でも!これしかないと思うんだよね!そろそろ欲求不満がものすごいし!!ドロップする前に僕好みのαを捕まえるにはこのやり方を使うしかないと思うんだよ!!!
で、最後の問題だ。僕が誰を拾うべきか、なんだよね。
でもこれはもう決まっていた。もちろん、その河原って奴にするに決まってる!河原には前科があるから、バレそうになってもどうにか揉み消して逆に全部引っ被せればいい。その力が僕にはある。あっ、僕がクズだと思った?大丈夫、まだ実際にはしたことがないんだ。僕を蹴落とそうとしたαの罪を1から10にしたことはあるけど、全部事実だったし仕方ない。そうでもする覚悟がなきゃここまで登り詰めてないよね。もちろんされる覚悟もだけどさ。
…それに、本当は僕は河原に一目惚れしていた。αSubを飼いたいとは漠然と思っていたけど、はっきりとこのSubが欲しい!って、僕はその時初めて思ったんだ。このαSubを手に入れるためなら罪を犯してもいい、と思えるくらいには。
0
あなたにおすすめの小説
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる