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30 黒崎凛音
しおりを挟む「凛音くん、なに描いてきたの?」
夏休みが終わった。
一年二組の教室には、夏休みの宿題やら上履きやら防災頭巾やら、たくさんの荷物が詰まった手提げ袋を持った児童たちが次々と登校してきた。
今日提出する予定の、夏休みの宿題の一部であった児童絵画コンクール用の絵を自分の席で広げていると、類が覗き込んできた。
「みんなで、砂浜でお城を作った時の絵!」
どこにリンネのお墓を作ろうかという話になった時、揉めに揉めてなかなか決着がつかなかったので、結局砂浜に作ることになったのだ。
最初は普通に砂を山のように盛って、てっぺんに十字架らしき形を作ろうとした。
でも、そう簡単に思い通りのかたちにはならなくて、そのうち誰かが『まわりを囲う塀とかあったらカッコいいんじゃないのか?』と言い出して、改造を始めた。
気づいたら、立派なお城ができあがっていたのである。
『これ、墓か?』
『古墳とかピラミッドだって、お墓なのにすごい立派な建造物になってるんだから、お城がお墓だっていいんじゃない?』
そう言い合って納得する彼らの手足は砂まみれで、いい大人が砂遊びに夢中になっているみたいでおかしかった。
思い出して、凛音はふふっと笑う。
「へぇー、いいなぁ。オレも凛音くんと砂の城作りたい!」
「今日、学校終わったら、公園行こっか?」
「おっ、じゃあ、お昼食べたら公園で待ち合わせな!」
新しい人生もなかなか悪くないんじゃないかと思っているから、死んだことへの後悔をいつまでも抱えるのはやめようと決めた。
愁とウォータースライダーのあるプールに遊びに行く約束も、うちでご飯を食べてもらう約束もまだ果たしていないから、きっと、これから楽しいことだってたくさんある。
――もちろん、シュウちゃ……愁さん、のことは諦めたわけじゃないけど。
黒崎凛音として、いつか絶対、恋人になってみせる。
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