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狂乱との遭遇 4
しおりを挟む「可愛いな、チイは…… うん、たっぷり愛し合おう…… ? まだ始めたばかりじゃないか。何時間でも睦めるぞ? 三人まとめてだと辛いってチイがいうから、個別になったんだし…… ああ、良い匂いだ。沢山注いでやるからな」
「ああ、終わった? じゃ、次、俺ね。え? 疲れた? 寝てても良いぞ? ……まあ、すぐに起きちゃうだろうけどねぇ? ふふっ、時間は有限だし? チイの泣き顔は可愛すぎて、俺の全然萎えないんだよねぇ。責任、取ってくれよ」
「大丈夫か? チイ。勝手にやるから、ゆっくりしてな。……え? ゆっくり出来ない? うーん、休ませてやりたいけど、俺も子供欲しいんだよね。あ、スライムに任せようか。チイはイくだけで良いからね。え? 逃げないで、ほらっ!」
……と、眠る間もなく一日中千里に絡む三兄妹。三人一巡したあたりで最初の者が復活しており、本気で獣人の性欲は底がない。
初夜からこちら、三人共、千里が起きている限り突っ込まずにはいられないようで、彼女の平穏は睡眠中だけ。それも最低限。夜半から早朝の五時間ぐらいが基本、あとは合間合間の隙間時間に微睡んだ。
仕事前のラウルとヒューに抱かれ、食事を終えて二人が出勤すると家のことを終わらせたショーンに長々抱かれる。
彼の行為は兄貴ーズより穏やかだが、とにかくねちっこい。じっくりじわじわ追い詰めて、昼食も手ずからや口移し。常に千里を腕に抱きしめ弄り倒す。
本を片手に読書しつつも彼女を貫き喘がせて、緩慢な愉悦を嗜むタイプのようだった。何時間もエレクトを維持して果てない精力には脱帽である。
「あ…… イったね? ふふ、可愛いなぁ。挿れてるだけなのに。スライムも元気に暴れてるね。これなら胤が着きそうだ。注ぐよ? しっかり受け止めてね?」
子供が生まれるところを見たいと、ショーンは好んで隘路を使う。蜜まみれな狭い肉襞を限界まで押し広げて子宮を突き上げる彼の一物に千里は身悶える他ない。
どちゅ、ばちゅとはしたないお汁を飛び散らせて、ショーンは恍惚とした顔をする。
「ここ…… すごく悦い…… お尻と違って、この突き出た最奥を押しつぶすと、すごく気持ち悦いんだ。ふあっ、孕んで? 俺の子を孕んでねっ!!」
苦しげな呻きとともに放たれる熱い濁流。それを体内奥深くに受け止め、ようよう千里は事の終わりに安堵した。
ショーンは長く愉しむわりに吐精は一回しかしない。とにかく千里をイかせることにのみ集中している。それが良い子宝に恵まれるという獣人の習わしに忠実なのだ。
そして千里を休ませて、彼は食事の支度などに向かう。この一時が千里にはありがたい。数時間もしたら、今度は本能剥き出しな肉食獣が帰ってくるのだから。
「チイはまだ寝てな。それまで俺が相手するから大丈夫」
夕食を終えてショーンが千里の様子を見に来た。彼らと暮らすようになって半月。そろそろ胤が定着してもおかしくはない。
なんでも、スライムが暴れている間は胤が着いていない証拠らしく、その動きが止まったら着床したとして、妻は妊娠期間に入る。そこから三ヶ月ほどで卵が産まれ、再び子作りに励むのだ。
ちなみに、その間も性交はある。夫は妻の体内で育つ卵を己の物の先端に感じ、父親になったという感慨に耽けるらしい。
……地球なら虐待案件だよ、それ。妊娠中は安定期に入っても用心しろって言われるのに。
三ヶ月で産まれるのも関係しているのだろう。彼らの話を総合してみると、着床後、数時間で安定期に入るのだ。だから、すぐに情交も始まる。
『人間は、そうはいかないんだけどねぇ…… 安定期まで半年くらいかかるもの』
『半年っ?! 半年もヤれないのかっ?!』
驚く三人の顔が面白かった。
半年は少し盛っているが、彼らの性交の激しさを思えば、念の為それくらいは安静にしていたい。
ふうっと溜息をつき、千里は束の間の休息を楽しむ。
二時間ほどして疲労困憊なショーンが現れ、後は頼むと自室に消えていった。同じ妻として、彼の憔悴ぶりが気になるが、翌日には復活して千里に突っ込んでくるので、心配はいらないとも思う。
ショーンがいなくなると同時にやってきたのは肉食獣二人。シャワーを浴びたらしい二人は、未だ情欲の滲む眼差しで千里を見下ろした。
「メインディッシュだ。チイ?」
「ショーンに釘を刺されてるしなぁ。一回だけにしておけって。鋭意、努力はするわ」
………んで、何回出したのさ、ショーンに。
無尽蔵とも思える肉食獣人の性欲。同じ獣人であるショーンをグロッキーにするのだから恐ろしい。
時間的都合と千里の睡眠時間確保のため、千里は個別から、兄貴ーズ二人一緒に睦むことにした。四人乱交だった半月前よりは、すこぶるマシだろう。
閨の関係で、兄達と一緒ではショーンが千里を抱く余裕がない。千里を貫きながらラウル達にも捩じ込まれ、泣きっぱなしだったショーン。
ガンガン自分のお尻を突き上げられているショーンには千里を堪能する暇もない。
自身の一物でなく、兄達の一物にイかされて千里の中で弾け飛び、これじゃあ良い子宝が得られないとグズった末っ子様に困り果て、ラウル達は昼の時間をショーンに丸っと与えた。
その代わり、夜は二人がかりで妻達を堪能する。最初はショーンが。次には千里が。おかげで千里の睡眠時間は大幅に改善された。
にまっと獰猛に笑う肉食獣達。
こうして毎夜のように行われる肉欲の宴で、千里はもちろんのこと、ショーンすらも胤が定着する。性的対象が分散されたからかもしれない。あまりに激しい二人の行為で受胎スライムはいつも突き殺され、ショーンは今まで妊娠したことがなかったのだ。
千里のおかげだと、手を取り合って喜ぶ三兄弟。
……喜ぶべきか泣くべきか。
千里の妊娠が発覚したあたりから、あれほど暴れまわっていたスライムも、その動きが止まったのだ。
……待ってよ。アタシ、どっちも孕んじゃったってこと? えええええーっ?!
思わず顔面蒼白になる千里と、どちらも定着するなんて、めでたいっ! と、喜色満面な獣人達。
双方の明らかな温度差を無視して、今日もオウチの世界は元気に回り続ける。
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