耽溺の森 〜だから僕らは森から出ない〜

一 千之助

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 耽溺の森 

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「悦いかい? アツシ」

「悦ぃ……っ、ひあっ? あっ、……ぁあっ! あああっ!!」

 今日も今日とて愛される少年。凌辱が愛情の証である世界で、通常の奴隷と違う扱われ方をする敦は、その激情に翻弄される。
 全てはドゥエルが優しいからだと勘違いする敦と、全てを受け入れるのは少年が自分に情を寄せているからだと勘違いするドゥエル。

 完全に擦れ違いつつも、なぜか噛み合う二人の気持ち。

「イく時は?」

「言う……っ、言うからぁ……っ、あーっ!」

「良い子だね、アツシは…… ほんとに可愛い」

 満面の笑みで玩具を試すドゥエルこそが可愛いと敦は思っていた。好奇心に煌めく瞳や、息を荒らげて興奮したような顔。それが敦には酷く嬉しい。彼を悦ばせられるなら、どんな無体も怖くない。
 この世界の人間から自分達を守ってくれ、足手まといでしかないナズナを飼うことも許してくれたし。彼には返しきれない恩がある。

「あの……、我慢しなくて良いです。僕に……そのっ、好きなことして?」

 真っ赤な顔で呟く少年に心臓を撃ち抜かれて、ぐらりと傾きつつ天を仰ぐドゥエル。
 ドストライクで彼の劣情を掻きむしったとも知らぬ敦の無垢さ。まるで誘うかのように甘い言葉にドゥエルは心の中だけで身悶えた。

「……煽るんじゃないよ。嬉しいけどね。君は良くやってるから。無理はしないの」

 雄の劣情を抑え込み、ドゥエルは敦の頭を撫でる。

 そう言いながらも過ぎた行為で敦を愛でるドゥエルは、壊さないギリギリのボーダーラインだけを死守し、今日も爛れた時間を堪能した。
 
 自業自得とはいえ、己がドゥエルを煽った自覚もなく、精根尽き果てて泥のように眠る敦だった。



「………ま、まだ使えはするか。アツシ、よろしく」

「はいっ」

 呼ばれた少年は診察台に乗せられたナズナに愛撫を始める。丁寧に舐め回して刺激し、その柔らかな身体を堪能した。
 この世界の凄まじい情交に慣らされてきた敦は、幼馴染に行う穏やかな睦みの一時が至福だった。

「こんなに尖らせて…… 可愛いね、ナズナ」

 言葉も愛撫の内だ。甘やかな少年の囁きを耳にして、夢現の中でも羞恥に悶える幼馴染の少女。くちゅくちゅと乳輪ごと扱かれた乳首が赤く熟れはじめ、ツンと尖ってくる。その先端をチロチロと舌先で舐め回し、敦はドゥエルをチラ見した。
 微笑む彼の手には大きな梁型。少年の愛撫に夢中なナズナが動けなくなるよう、ドゥエルは手袋をはめた手で彼女の尻たぶを割る。

「ひっ?」

 無遠慮に潜り込んできたドゥエルの長い指が彼女の腸壁を弄り、適当に解した処を極太の梁型で抉じ開けた。めりめりと音をたてて捩じ込まれる梁型に絶叫をあげる少女。
 そんな彼女を無視して深々と梁型を穿ち、彼は診察台に固定する。体内を串刺しにした太い梁型のおかげで、ナズナの腰は全く動けない。

「そろそろか。イカせろ、アツシ」

 言われて少年は舌を滑らせながら少女の股間に口づけた。敦の愛撫や体内深くで暴れる梁型によって、彼女の隘路はすでに潤っている。そこに指を差し入れつつ、少年はぷっくりと膨らむお豆を唇に含む。
 むちゅむちゅと吸いつき舐め回す敦の愛撫。日がな一日、玩具で開発されているナズナの敏感な部分は、興奮気味な少年の熱い口内で蕩け、あっという間に気をやった。

「きゃああんっ! きゃあっ?!」

 ガクガクと痙攣するナズナ。それと同時に発現した彼女の御立派様を見て敦は息を呑む。

「え…? デカくなってね?」

 前は敦と変わらなかったナズナの一物。しかし、今のソレは彼女の手首ほどもあった。長さも増した気がする。

「肉芽の大きさが一物に反映するからね。前の未経験だったころと比べて、彼女のお豆成長したじゃない? そのせいだよ」

 にんまりと笑うドゥエル。

 言われてみたら納得だ。最初のあたりでは小豆大だったナズナの肉芽は、今やそら豆ほどに成長している。それもこれもドゥエルの玩具のおかげで。
 敦がイカせやすいように、彼は彼女の身体を丹念に開発していた。小さな蛸壺のようなスライムを使って、乳首やお豆を吸い上げ続け、隘路の中も奴隷専用の器具を埋め込んでいる。
 なんでも性感帯に直接針を穿つとか。短いマチ針のような器具を打ち込まれると、そのマチの部分を刺激される度に電流の如き快感が突き抜ける仕様らしい。
 実際、ナズナの隘路の中は、打ち込まれた針のマチがゴロゴロしていて、挿れた敦はその刺激しに酷く驚かされた。ぬちゅぬちゅ突き上げるたび、少年の一物を擦る凸凹なモノ。例えようもない心地好さで、理性が吹っ飛びそうになる。
 その敦のモノを刺激するマチな玉が動く度、ナズナの性感帯が打ち込まれた針で刺激され、簡単にイってしまう極悪な代物。
 ドゥエルから出すなと命令されておらねば、敦は猿のように幼馴染みの中へ種つけしていただろう。
 だから今のナズナがイくのは一瞬。指で中の小さな玉をグリグリ動かすだけでも達する雌犬様だった。

 そんな状況に憐憫も抱かなくなった敦。むしろ、イカされて精を絞られるだけなんて幸運だと。可愛がられて良かったね? 嬉しいね? と微笑ましくナズナの頭を撫でるくらい、少年はティモシーの世界に洗脳され順応してきていた。
 実際、今の敦はドゥエルに抱かれることを悦んでいる。過ぎた愛情に辟易することもあるが、気持ち悦いことには変わりない。人間は慣れる生き物なのだ。
 ましてや快楽というモノは人を堕落させる。痛みや苦しさすら心地好く感じるよう調教された敦にとって、ドゥエルとの情交は必要な行為だった。
 地球でいえば淫乱ともいえる身体に仕込まれ、少年の感覚は麻痺し、性的モラルなど記憶の彼方。むしろ抱かれていないと不安になり、自ら慎ましやかに強請る今の敦。

 慣れと惰性。そして洗脳。これが幸せなのだと連日刷り込まれれば、そうなってしまう。この世界の悪夢のような現実を知るだけに、少年は己を壊さないために楽な方へと流されていく。
 ドゥエルに全てを任せて守られていれば良い。自分も気持ちが悦いし、彼も悦んでくれている。これで幸せなのだと自らを欺瞞で騙す敦。

 まあ、そこには勘違いしたドゥエルによる甘い調教もあるのだが。

『飽きられたとか考えるくらいなら誘いなさい。いつでも可愛がってあげるよ? そんな気持ちが脳裏を過ぎらないくらい愛してあげるから』

 ここでもまた、『愛してあげるから』をスルーし、ちゃんと抱いてもらえると脳内変する敦。
 ならば積極的に行こうと別な方に前向きになってしまい、ドゥエルの理想的な奴隷に変貌した。
 歓喜に極まるドゥエルに抱き潰されて、しばしベッドの住人になってしまうのは困りものだが。そんな敦を喜々としてお世話し顔を緩めるドゥエルがいるのも御愛嬌。
 下の世話までされても違和感を持たないほど、ティモシーの世界に馴染む敦である。



「今日は実験だ。モノでイけない場合、どうなるのか。秘薬に何か変化が出るのか。アツシやるかい?」

 半分しかなくなってしまった少女の太腿の切断痕をドゥエルが押さえ、ぱかっと開かされたナズナの隘路。それに生唾を呑み込む敦を見て、ドゥエルは悪戯げに瞳を輝かせる。

「前に聞いたよね? ダルマ女のこと。妊娠したら、ボールみたいに丸々して可愛いんだろ? ……見てみたいね」

 ばっと顔をあげる少年。その顔には驚愕が浮かび、ドゥエルの冷酷な嫉妬を掻きむしる。
 
 ……そう。君にとって彼女は特別なんだよね。恋心でなくとも、気にいらないね。

 ナズナを想う敦の異常な執着心。同郷だし、幼馴染みであるとも聞いた。ドゥエルには縁のなかったものだが、そういうモノなのだろうなと割り切っていた。

 ……が、長く暮らす内に、その異質さが目につくようになる。

 献身を軽く乗り越える敦の態度。ナズナに何かあれば、少年は周りが全く目に入らなくなる。一途も過ぎる盲目状態。これにドゥエルは覚えがあった。

 敦に対する自分だ。

 似ていると思うのだが、断言出来ない何かもあり、ドゥエルは辛辣に眼をすがめる。
 ナズナに心酔しているように見えて、その実、敦の瞳に熱量は皆無なのだ。ドゥエルのように相手を囚えて射貫くごとき熱さも激しさもない。
 異世界人だからとも思ったが、ドゥエルに抱かれて蕩ける少年を見ている限り、身体の反応はティモシーの人間と変わらない。
 なら、恋慕を抱く相手に対する行動や反応も変わらないはずだ。
 なのに敦はナズナに寄り添いこそすれ、身を焦がすような恋情を醸したことはない。

 ……なんだろう? 

 酷く不自然な異世界の二人。

 それでもドゥエルは、ナズナを労る敦が面白くなく、その意趣返しにナズナで遊ぶ。まん丸なボールみたいにして転がしてやろうと。

 長く愉しめそうだと、ドゥエルの笑みが凄味を増した。

 良い飼い主な反面、職業柄、突飛なことばかり考えるドゥエルに、おろおろ狼狽えることしか出来ない敦である。
 
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