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皇帝陛下は逃さない 6
しおりを挟む「……良かった。本当に良かった」
「養子の候補を吟味せねばなりませんな。撰ばれた方が次代の皇帝として学ばれている間、陛下には頑張ってもらわないと」
アンドリューとオルフェウスの婚約が決まり、王宮の重鎮らは肩を寄せ合って咽び泣く。
抜け殻のようになってしまったオルフェウスの父に、アンドリューは、女を寄越せば種付けくらいは許すと許可した。
「ヤらせるのは業腹だが、俺が精を出させるならかまわん。候爵家にも跡継ぎが必要だろう? 何人でも寄こせ。種だけ注がせてやる」
傲慢不遜に宣う皇帝に、オルフェウスの父は眼を輝かせた。深く頭を下げて例を述べ、彼もまた、オルフェウスに与える女の選別に駆けてゆく。
その謁見を胡乱な眼差しで見つめていたオルフェウス。
……種付けって。……まあ、魔獣にさせられるよりはマシか。……にしても、この男。むちゃにも程があるだろうぅぅぅ!
オルフェウスを追い詰め捕縛し、監禁したあげく凌辱しまくり。狼姿でも欲情して、人前で調教する豪胆さ。それで王宮を大混乱に陥れても、高らかに嗤うサイコパス。
中身がオルフェウスだと知っての蹂躙。愛だの恋だのと口にしつつ、与えられた暴力の数々がオルフェウスを心底怯えさせた。
呪いを解いてから、全く手を出してこないのも気にかかる。
……本当に。何を考えているのだか。
じっと訝しげにアンドリューを見つめ、オルフェウスは毎日皇帝の側に付き従わされた。
「ほら、ん~」
「……自分で食べます。閨ではないのですよ?」
苦虫を噛み潰したかのようなオルフェウスを膝に座らせ、いつものように口移しで食べさせようとする皇帝。
「閨なら良いのか?」
「~~~~っ! ……閨では両手を括られているんだから仕方ないでしょうっ」
それを仕方ないと認識している愛しい者に、アンドリューの心が狂喜乱舞する。長々と行ってきた調教で、すっかりオルフェウスは皇帝の言いなりに躾けられていた。
「じゃあ、まずはお前を食うか。残りは閨でやろう。……可愛がりながら、たっぷり食わせてやるぞ?」
「ひ……っ」
……この男ならやりかねない。
そう怯え、オルフェウスはおずおずと皇帝の口に咥えられた肉に舌を伸ばした。
真っ赤な顔で給餌を受け入れる青年。葛藤で艶かしく烟った紅い瞳に、アンドリューの股間がイキり勃つ。
……このっ! 可愛いが過ぎるだろうがっ! なんだ、その恥ずかしげな顔はっ! こんなの、ずっと続けてきたことだろうがっ! いつまでも初々しいとか、眼福すぎだっ!!
これでは自分の理性が保たないと、皇帝は口移しからカトラリーに切り替える。
フォークやスプーンを手に取り、せっせと食べさせる皇帝に、オルフェウスも素直に食べさせられていた。
口移しに比べたら、手ずの給餌などハードルがないようなモノ。
「……美味いか?」
「はい」
もっもっと幸せそうに食べるオルフェウスを見て、思わず仰け反るアンドリュー。婚約者が浮かべた自然な微笑みの色香に当てられ、内心悶絶している。
……こういう顔をさせたかったんだ、俺は。甘やかして可愛がって、恥じらいながらも受け入れてくれるオルフェウスを。……今まで、こいつの笑顔なんて見たことなかったしな。……ヤバい、勃っちまった。
獲物に逃げられたことにより、殺伐とした雄の本能全開だったケダモノ様。とにかく屈伏させ、従わせようと躍起になって、迷走した恋心。
快楽漬けにして溺れさせようと思ったら、治癒の加護にそれを阻まれた。何度叩き込んでも、アンドリューが離れたらオルフェウスの身体をリセットしてしまう忌々しい加護。
ならば、堕ちるまで嬲ろうと、繋がったまま朝を迎えさせるなどの暴挙に至った。
おかげでオルフェウスの心が覚えた。アンドリューの与える快楽と恐怖を。
毎回、身体を引き裂かれる恐怖に泣き叫ぶも、その後に来る愉悦を知っているオルフェウスは、素直に受け入れてくれるようになった。
『……我慢だ。すぐに悦くしてやるから』
そう耳元で囁いてやれば、激痛に震える獲物が小さく頷く。そのあどけない仕草一つで、アンドリューの心が驚くほど浮き立った。
気持ち悦いかと聞けば、気持ち悦いと答える。切なげに喘ぎ、甘い吐息をもらして随喜に溺れる艶めかしい肢体。
半日かけて何度も快楽を叩き込まれたオルフェウスの心は、毎回最初に訪れる激痛にすら感じるようになる。
その痛みの先に目眩く快楽があると学んだからだ。
……痛みに耐えて苦悶を浮かべているくせに、おっ勃ってるのを見た時には。……悶え死ぬかと思ったぞ。俺が与えるのなら、痛みでも感じるとは。……ああああ、可愛ええぇぇぇーっ!!
それが嬉しくて、わざと痛みでイかせたこともあるアンドリュー。
先にオルフェウスの御立派様を嬲り、高めておいてから、慣らしもせず一気に突き上げた。
悲痛に啼く狼を突き上げまくり、イくまで許さず潤滑剤も使わなかった。酷い蹂躙だ。強姦と変わらない。
なのに、オルフェウスの一物は萎える気配もなく、むしろさらに硬く熟れ、アンドリューが見ている前で爆発したのだ。
そして変わるオルフェウスの身体。
人化した青年が激痛に翻弄され、ぽろぽろと涙するその姿。しかも上気し染まった真っ赤な顔。絶頂の余韻に潤む眼差しで上目遣いに見上げられた時、アンドリューの箍が外れ、一日中抱き潰した。
辛い思いを強いた分、可愛がろうと。それこそオルフェウスの身体が蕩け切るまで念入りに可愛がった。
あの日をアンドリューは忘れない。
痛みにすら感じてくれるほど自分に堕ちた愛しい獲物。本人の脊髄にまで染み込ませたオルフェウスへの深い愛情。
恐怖で従うでも良い。快楽に溺れてでも良い。とにかく自分を求めさせたい。骨の髄まで叩き込み、アンドリューが触れただけでおっ勃つくらい可愛らしく躾けてみたい。
笑うコイツが見たい。恥じらうコイツが見たい。涙させ、喘がせ、佳がり狂わせまくりたい。己の腕に閉じ込めたまま、身悶えるコイツと永遠に繋がっていたい。
出逢った当初に感じたオルフェウスへの激情。
それを存分に叩きつけてしまった皇帝は、膝でもぞもぞする婚約者に蕩けた眼差しを向ける。
……俺のモノだ。逃さない。
べろりと唇を舐め、従順に調教したオルフェウスとの甘いひと時を愉しむ皇帝陛下。
甘やかすだけで、何も手を出してこないアンドリューを不思議に思いつつ、オルフェウスはモグモグしながら首を傾げる。
その一挙一動が、今の皇帝陛下には眼福なのだと知りもせずに。
そして、それを眼福だと思うアンドリューもまた、己の心境の変化に気づいていない。
本来なら羞恥に身悶え、恥だと思うような行為を甘やかしと認識しているお間抜けな婚約者。
そのように凄絶な調教をし、己の躾けの行き届いた獲物の反応が嬉しくて堪らない皇帝陛下。
端から見たらゲロ甘カップルでしかないのだが、その内情は、酷く拗れてぐちゃぐちゃである。
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