人が生きて終わる先に

月島裕

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始まりの場所

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今から10年前に開発された魂立体化装置
(たましいりったいかそうち)
早い話しが幽霊を生きてる人間と変わらず見える装置らしい

開発者は死んだ娘にもう一度会いたい一心で作った

が、結局娘には会えなかった

装置が完成してから亡くなった人たちは亡くなる前と変わらず生活をしている

完成前に亡くなった人たちは戻らなかった

色々な研究者たちは皆揃って不思議がり研究をしたが結果はでなかった

そして、もう1つ不思議な事は老死・病死の人間も戻らなかった


魂立体化装置のおかげで自殺・殺人は大幅に減った

自殺者が減った理由は自殺した場所で同じ行動を永遠に続けるという夢物語のような話が本当だったからだ

目の前で繰り返される異様な光景に自殺願望者たちも考えが変わったらしい

殺人が減った理由は殺した相手が亡くなった直後から隣に居るからだ

呪い殺すとかではなく、ただ側に居て質問を繰り返す

なぜ殺した?なぜ私なんだ?なぜお前だけ生きている?とからしい詳しい事は本人じゃないからわからないけどね

で捕まってない犯人には警察を呼んで話しするみたい

だから迷宮入りになった事件もここ10年はないんだよね

刑期も昔より長くなったみたいだしね

だから最近は刑務所がデカクなってるんだよ

幽霊専用刑務所も出来たんだ

なぜか刑務所に入っている人間は老死だろうが病死だろうが戻ってくるんだよね

そこもまだまだ解明されていないから謎だけど

色々話したけど最近の日本はこんな感じで生きてる人間と死んでる人間が入り交じってる世界になってるんだ

日本独自の発明品なんだけど結果次第では世界全土に装置を置く事になるみたいなんだ

良いのか悪いのかよく分からない世界になった

そして俺はひき逃げに遭って死んだ一人だったりする…

なんでか犯人じゃなく助けようとしてくれた人の所にいます。

なんで事故に遭ったのか…なんであの場所に居たのかも思い出せなくて気付いたら事故に遭った所に立っていた

大抵は犯人の所に魂が飛ぶらしいんだけど俺の場合は違ったみたいで自殺者と同じ様に事故現場に戻っていたから実は自殺だったのかな?とか最近は思ってたりする

でも助けてくれた菊地さんが花を手向けに来てくれて俺を見つけて連れて帰ってくれた

本当に優しい人でなんだか申し訳ない気持ちの方が大きいけど幽霊になってしまったから自分ではどうする事も出来なくて居座ってしまってる

大半の部分は解明されてない事だらけで実在ただ色が透けている人間が増えたな程度なんだよなぁ…

あの世とこの世の境がなくなってしまったと専門家達は口を揃えて言う
日中でも太陽が出ていても薄暗い日があったり  夜なのに月が明るすぎたりする現象もおきている
死ぬ直前に見ると言われる三途の川の話しも亡くなった人から詳しく聞けるようになったおかげで  それ系の本が最近は多く出回ってる
幽霊の仕事場も出来たりしたが死んでまで 働きたいって人も中々いないのが現状で経済的に国としては大変な事態になりつつある
死んでいても普通に生活しているから死ぬ前にお金を貯めてた人はいいけど貯金がない人たちは道端をずっと徘徊していたりするから夜は一段と怖い一面もある



俺が死んで一週間が経ったが名前も親も覚えていない
助けてくれた菊地さんに頼んで色々調べてもらったり警察に行って聞いてみたりしたけど身元が未だに分からないままだった

名前がないのは呼び合うのに大変だからと空(そら)くんと名前をつけられた
大空へ羽ばたけるようにと…
本当に優しい人だ

「空くん、昨日警察署に寄ってきたんだけど…やっぱり身元に繋がりそうなものは何も持ってなかったみたいなんだけど、これがポケットの奥から出てきたんだって」
手渡された紙には殴り書きの様な文字がかかれていた
「なんだろう……なんか嫌な感じはするんだけど思い出せない…」
紙を持つ手が震え出して床に落ちた
その瞬間、空の身体が浮き消えた 
「空くん!!」
菊地が慌てて手を伸ばすも届かずただ宙に手をかすめた
菊地はしばらく空が消えた場所を見つめていたが我に返ったように床に落ちた紙を拾った
「何か書いてあるのか?!なんて書いてあるんだ?!」
菊地は必死でぐちゃぐちゃになってる紙を手で伸ばしながら書いてある文字を読もうとするも殴り書きの様な字は読めなかった

「どうすればいいんだ…俺にはなんて書いてあるのか分からない…空くんがどうしていなくなったかも………事故現場…もしかしたら…」
そう言うと菊地は慌てて家を飛び出した
菊地の家から事故現場までは車で10分かからない距離だった
「空くん居てくれよ!」
車の中で何度も呟いていた
現場に着き辺りを見渡すも空は居なかった
「どこに行ったって言うんだ……」
菊地はその場に座り込んだ
空が消えた時に持っていた紙を何度も何度も見てみるが菊地には分からなかった
「なんで読めないんだ…これさえ分かれば空くんがどこに行ったか分かるのに…」
菊地がここまで空を心配する理由は生き別れた弟に似ていたからだ
一目見た時から菊地は自分の弟の様に思い見放せなかった
そして弟の名前を付けた
菊地は罪悪感と幸福感の間を行ったり来たりしていた
空の過去が分からなければずっと一緒に居られるんじゃないかと思う一方で苦しんでいる空を見て早く親が見つかってほしいと思う気持ちで揺れ動いていた
「俺がもう少し…もう少しと願ってしまったから…こんな突然………空くん」
菊地はその場に座り込み読めない紙をずっと握りしめていた
その様子を心配して見ていた女性が菊地に声をかけた
「大丈夫ですか?具合悪いんですか?」
菊地はしばらく紙を見つめて立ち上がり
「大丈夫です…すみません」
そう言って立ち去った
その姿を心配そうに見つめる女性
フラフラ歩いてる様子を見て後を追いかける
「本当に大丈夫ですか?」
「はい…本当大丈夫なんで…」
「すぐそこにカフェがあるので少し座った方がいいですよ!一緒に来て下さい!」
半ば強引に菊地の腕を掴みカフェに入った
「とりあえず簡易になってしまいますがソファーに毛布敷きましたので横になって下さい!」
「本当に大丈夫ですから…」
「いえ!横になって下さい!顔色が悪いので…今温かい飲み物持って来ますから…」
無理矢理、横にさせられ菊地は何も言えなくなり黙ってそのまま横になっていた
頭の中では空の心配ばかりしていた
他に行きそうな所はどこか頭の中で考えを巡らせていた
「寝ちゃいましたか?」
「いえ…起きてます」
「紅茶淹れてきたので飲みませんか?身体温まりますよ。」
「すみません、ありがとうございます。」
菊地はゆっくり起き上がり一口紅茶を飲んだ
優しい味と温かさに自然と涙が出てきた
「大丈夫ですか?」
「あっすみません。なんか温かい物飲んだら急に……」
「ここ私のお店なんです。良かったらゆっくりしていって下さい。」
「ありがとうございます。でも早く行かなきゃいけないんです。」
菊地はそう言って握り締めていた紙を見つめ、ゆっくり紙をテーブルに広げた
「大事な人がこれを書いたみたいなんですけど…俺にはなんて書いてあるか分からなくて……」
「私も見ても大丈夫ですか?」
「はい…」
確認をとってから紙を覗き込んだ
菊地の横側から紙を見る
「あれ?僕には何もない。何も出来ない。ここはどこだ。って書いてありますよ?!」
「えっ!!」
「ほら、こっち側から見るとそう見えますよ。でも殴り書きみたいになってるから合ってるか解りませんが……」
菊地も言われた方向から見てみるが読めない
紙を少しずつ回転させて見てみても読めなかった
「俺には読めない……」
女性は首を傾げた
「うーん。どうしてでしょう…」
「でも、そう書いてあるんですよね?」
「はい。そう書いてあると思います。」
女性は紙を確認しながら答えた
「あっすみません。自己紹介がまだでした。菊地守(きくちまもる)と言います。お世話になってしまってすみません。」
「私は野口翠(のぐちみどり)と申します。こちらこそ名乗るのが遅くなりました。菊地さんは、あの場所で大事な人を待ってたんですか?」
「待ってたんじゃなく…探しに来たんです…この紙を見た瞬間に居なくなってしまって…俺が分かるのはあの場所だけだから……」
うつ向きながら呟くように話す菊地に野口は黙って背中を撫でた
「大丈夫ですよ。菊地さんが思ってくれてる事分かってるはずですから…きっと大丈夫ですよ。」
その優しい声と優しい手に涙が次から次へと溢れた
優しく撫でる手はとても華奢で今にも折れてしまいそうなほど細く綺麗な手をしていた
けれどとても暖かくすべてを包む込んでくれるような手だった
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