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捨てられ令嬢の恋
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「お前なんかいらない」
「えっ?」
冷たい目と態度で私を突き放す婚約者ーーロード様から言われた言葉がどうしても受け入れられなかった。
「ど、どうしてですか? 私に至らぬ点があったのならば直します! だからどうか、どうか……」
私はその場に土下座する。
「捨てないでくださいませ……」
涙を流し、恥もプライドも捨てて懇願するも虚しく、グラス様は世界を凍てつかせるような声で更に私を突き放した。
「お前みたいな奴要らねぇって言ってんだよ」
更にロード様は私の方へ寄ると。
「この役立たずが」
頭をグリグリと踏まれる。
私は静かに泣いていた。
「あの人がロード様からーー」
「まあ……」
「ありえませんわ……」
飛び交うひそひそ話。
取り合う気にもなれず私は自分の席にひっそりと座った。
目立っちゃダメだ。私は本能がそう言っているのを感じていた。
「……なんも言わなくていいのか?」
クラス委員長ーー名前はグラスーーから声を掛けられた。
アンタに何が分かるってのよ。苛立ちながらも口元に微笑みを浮かべ、返答した。
「ええ。皆さんが仰っていることは事実ですから」
「そうか」
「あらあら! 婚約破棄された子爵令嬢のルーナ様が今度はグラス様に手を出していますわ!」
話が収束しかけたときにしゃしゃり出てくるのは伯爵令嬢のレンカ。爵位が上な以上下手なマネは出来ない。ここは穏便に済ませなければーー。
とりあえず謝罪を述べようとしたときだった。
「おい、その言い方はないんじゃないか?」
グラスが怒気を露わにしながらレンカに突っかかる。頼むからやめて欲しい。
「まあまあまあ! もうすでに営みは完了してらっしゃったのかしら? なんということなのでしょう!
わたくし信じられませんわ! 」
どっちかというと信じられないのはレンカの方だが、グラスもグラスでなかなか信じられない。
グラスはまだ教室内での立場があったから良かったものの、私だったらどうなるか。考えただけでも恐ろしい。
私のことを話す人数も増えた。
だから嫌いなのよーー。
翌日。
私がたまたま早く教室へ着くと。
「ーーッ」
「あ、来ちゃったか」
グラスが机に大きく書かれた『売女』の文字を消していた。
どうしてここまでやるのよ。
「まあ仮にも委員長だからな」
「別にいいわよ……」
私はグラスから半ば強引に雑巾を受けとり、文字を消していった。
その後もグラスは私を気にかけてくれることがあった。
「また押し付けられてるのか? 貸せよ」
そう言い、押し付けられたノートの山を持ってくれたり。
「一人で教室掃除は大変だろ?」
掃除も手伝ってくれたりした。
いつしか私は大嫌いと思いながらも彼を思うようになっていた。
「好きだ」
婚約破棄されてから半年の月日が経った頃だった。
頬を赤く染めたグラスから告白されたのは。
ストレートに感情を伝える彼が。
好きなものは好きだと言える彼が。
人に手を差し伸べることが出来る彼が。
大嫌いでーー大好きだ。
「えっ?」
冷たい目と態度で私を突き放す婚約者ーーロード様から言われた言葉がどうしても受け入れられなかった。
「ど、どうしてですか? 私に至らぬ点があったのならば直します! だからどうか、どうか……」
私はその場に土下座する。
「捨てないでくださいませ……」
涙を流し、恥もプライドも捨てて懇願するも虚しく、グラス様は世界を凍てつかせるような声で更に私を突き放した。
「お前みたいな奴要らねぇって言ってんだよ」
更にロード様は私の方へ寄ると。
「この役立たずが」
頭をグリグリと踏まれる。
私は静かに泣いていた。
「あの人がロード様からーー」
「まあ……」
「ありえませんわ……」
飛び交うひそひそ話。
取り合う気にもなれず私は自分の席にひっそりと座った。
目立っちゃダメだ。私は本能がそう言っているのを感じていた。
「……なんも言わなくていいのか?」
クラス委員長ーー名前はグラスーーから声を掛けられた。
アンタに何が分かるってのよ。苛立ちながらも口元に微笑みを浮かべ、返答した。
「ええ。皆さんが仰っていることは事実ですから」
「そうか」
「あらあら! 婚約破棄された子爵令嬢のルーナ様が今度はグラス様に手を出していますわ!」
話が収束しかけたときにしゃしゃり出てくるのは伯爵令嬢のレンカ。爵位が上な以上下手なマネは出来ない。ここは穏便に済ませなければーー。
とりあえず謝罪を述べようとしたときだった。
「おい、その言い方はないんじゃないか?」
グラスが怒気を露わにしながらレンカに突っかかる。頼むからやめて欲しい。
「まあまあまあ! もうすでに営みは完了してらっしゃったのかしら? なんということなのでしょう!
わたくし信じられませんわ! 」
どっちかというと信じられないのはレンカの方だが、グラスもグラスでなかなか信じられない。
グラスはまだ教室内での立場があったから良かったものの、私だったらどうなるか。考えただけでも恐ろしい。
私のことを話す人数も増えた。
だから嫌いなのよーー。
翌日。
私がたまたま早く教室へ着くと。
「ーーッ」
「あ、来ちゃったか」
グラスが机に大きく書かれた『売女』の文字を消していた。
どうしてここまでやるのよ。
「まあ仮にも委員長だからな」
「別にいいわよ……」
私はグラスから半ば強引に雑巾を受けとり、文字を消していった。
その後もグラスは私を気にかけてくれることがあった。
「また押し付けられてるのか? 貸せよ」
そう言い、押し付けられたノートの山を持ってくれたり。
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いつしか私は大嫌いと思いながらも彼を思うようになっていた。
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好きなものは好きだと言える彼が。
人に手を差し伸べることが出来る彼が。
大嫌いでーー大好きだ。
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