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飛竜探しの旅
テオの意外な側面
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老人による魔道具お披露目会が済んでから、テントの中へと戻った。
リビングに当たる場所に向かうと、アデルが紅茶を堪能しているところだった。
彼女の醸し出す上品な気配にはティーカップが似合うと思った。
「表情が明るいわね。何かいいものでも見れた?」
「はい、存在を隠蔽できる魔道具を見せてもらいました」
二人で話していると、老人が戻ってきた。
「例の魔道具だが、明日から作り始めるとして数日はかかるのう。しばらくしたら、またここへ来てもらえるか」
「そうさせてもらいます。あと、あれだけのものをタダというわけにはいかないので……よかったらこれをどうぞ」
ポケットから数粒の魔石を取り出して、テーブルに置いた。
老人はそれに視線を向けた後、まさにこれが目の色が変わるということかと思わされるような反応を見せた。
「何と、これをくれるのか!?」
「対価としては悪くないかと」
「ごほん、ありがたく受け取ろう。魔道具の完成を楽しみにするとよいのじゃ」
テーブルに置かれた魔石を、老人は黄金の粒でも扱うような手つきでつまんだ。
うっとりするようなその眼差しに、目のやり場に困ってしまう。
「話がまとまってよかったわね」
「ここまで上手くいくとは予想しなかったです」
無事に話がまとまったため、いくらか安堵する気持ちがあった。
老人とは何日か経ってから再訪する約束をして、アデルとその場を後にした。
二人で来た道を引き返し、山道から街道を経由して、町の中ほどまでやってきた。
ふと空を見上げれば、もうすぐ夕方になろうかという時間帯だった。
「旅から戻ったばかりだったのに、ついてきてもらってありがとうございました」
「美味しい紅茶が飲めたから気にしないで。あと、栗の旬が知れたのは収穫だったわ」
「いつになるか分からないですけど、また栗をごちそうさせてください」
「ええ、楽しみにしておくわ。さすがに少し疲れたから、今日はこの辺で帰るわね」
「はい、また」
アデルは疲れを口にしたものの、それを感じさせないような足取りで立ち去った。
彼女と別れてから、町の中を移動して自分の店に向かった。
夕方が近づく時間帯で、仕事帰りと思われる人たちの姿がちらほらと見える。
歩き慣れた石畳を進み、通りをいくつか抜けたところで目的地に到着した。
路地から店の入り口に近づいたところで、敷地内にハンクとテオの姿があった。
先に着いていたようで、こちらを待ってくれていたのだと思った。
俺はそそくさと近づいて、二人に声をかけた。
「ごめんなさい、お待たせしました」
「ああっ、そんなに待ってねえから気にすんな」
「……」
ハンクはこちらをフォローするように声をかけてくれた。
テオは特に不機嫌というわけでもなく、いつも通りに物静かだった。
二人が椅子に座っていたので、こちらも近くの席に腰を下ろす。
「目当ての魔道具ですけど、使えそうなものを作ってもらえることになりました」
「そいつはよかったな。これで遠くまで旅に出られるな」
「変わり者のおじいさんですけど、腕は確かなようなので、任せておいて安心だと思います」
それから、明日以降はしばらく店を営業して、旅に出るのは魔道具を受け取ってからになるということで話がまとまった。
テオは無口ではあったものの、特に不満があるような様子はなかった。
「――ところで、町の案内はどうでした?」
「いやー、なかなか楽しかったぜ」
「それはよかったです」
何があったか分からないが、ハンクは上機嫌な様子だった。
明るく笑いながら、ちらちらとテオを見ている。
「こいつが町の奥様方にモテモテでな。まあ、なかなかの色男だし、そうなるのは分からんでもない」
「へえ、そんなことが」
「……ハンクよ。我を愚弄しているのか」
「いやいや、そんなつもりは全くねえよ。それにモテないよりモテる方がいいだろ? なあ、マルク?」
ここで俺に振るのかと思いつつ、そのまま会話を続ける。
「それはまあ、女性にモテるというのも一つの才能だと思いますよ」
「――ほう、才能とな」
「えっ、才能というか……天からの賜りもの? みたいな」
テオが思わぬ食いつきを見せたので、思わず慌ててしまう。
才能というものに何かこだわりがあるのだろうか。
「まあ、奥様方にモテた以外はそうだなあ、市場を案内したり、眺めがいい場所に連れてったり……だいたいそんなところだ」
「うーん、楽しかったですか?」
テオの反応がいまいち分かりづらいので、確認のためにたずねた。
何が好きで何を好まないのか、今後の参考のためにも知っておきたい。
「マルクよ。我の顔色を窺わぬともよい。それなりに満足している」
「……はあ、そうですか」
腕組みをして表情を変えない様子からは判断が難しかったが、どうやらそれなりに満足してらっしゃるようだ。
「そういえば、こいつの拠点はどうする? おれは地元じゃねえから、さすがに当てはねえんだ」
「あっ、それなら問題ないです。冒険者時代の仲間に宿屋の主人がいて、当面はそこに泊まってもらおうかと」
そう言ってから、ちらりとテオを見る。
元いた場所ではどんなところに寝泊まりしていたのか想像もつかないので、彼が気に入るのかは未知数だった。
「我は眠ることさえできれば、どこでも構わん」
「新しめでおんぼろとかではないので、わりと快適だと思いますよ」
俺の呼びかけにテオは小さく頷いた。
「それじゃあ、決まりだな。おれは町の酒場で一杯やるから、テオを頼む」
「お疲れさまでした。また何かあったら声をかけますね」
「おおっ、またな」
ハンクはご機嫌な様子で立ち去っていった。
エルフの村に滞在中はお酒を飲むことはできなかったし、何日かぶりに町に帰ってきて、羽根を伸ばしたいのだと思った。
テオと二人になったところで、店の状態を簡単に確認した。
何日か留守にしていたものの、盗みに入られたり、何かが壊れたりしている様子は見られなかった。
リビングに当たる場所に向かうと、アデルが紅茶を堪能しているところだった。
彼女の醸し出す上品な気配にはティーカップが似合うと思った。
「表情が明るいわね。何かいいものでも見れた?」
「はい、存在を隠蔽できる魔道具を見せてもらいました」
二人で話していると、老人が戻ってきた。
「例の魔道具だが、明日から作り始めるとして数日はかかるのう。しばらくしたら、またここへ来てもらえるか」
「そうさせてもらいます。あと、あれだけのものをタダというわけにはいかないので……よかったらこれをどうぞ」
ポケットから数粒の魔石を取り出して、テーブルに置いた。
老人はそれに視線を向けた後、まさにこれが目の色が変わるということかと思わされるような反応を見せた。
「何と、これをくれるのか!?」
「対価としては悪くないかと」
「ごほん、ありがたく受け取ろう。魔道具の完成を楽しみにするとよいのじゃ」
テーブルに置かれた魔石を、老人は黄金の粒でも扱うような手つきでつまんだ。
うっとりするようなその眼差しに、目のやり場に困ってしまう。
「話がまとまってよかったわね」
「ここまで上手くいくとは予想しなかったです」
無事に話がまとまったため、いくらか安堵する気持ちがあった。
老人とは何日か経ってから再訪する約束をして、アデルとその場を後にした。
二人で来た道を引き返し、山道から街道を経由して、町の中ほどまでやってきた。
ふと空を見上げれば、もうすぐ夕方になろうかという時間帯だった。
「旅から戻ったばかりだったのに、ついてきてもらってありがとうございました」
「美味しい紅茶が飲めたから気にしないで。あと、栗の旬が知れたのは収穫だったわ」
「いつになるか分からないですけど、また栗をごちそうさせてください」
「ええ、楽しみにしておくわ。さすがに少し疲れたから、今日はこの辺で帰るわね」
「はい、また」
アデルは疲れを口にしたものの、それを感じさせないような足取りで立ち去った。
彼女と別れてから、町の中を移動して自分の店に向かった。
夕方が近づく時間帯で、仕事帰りと思われる人たちの姿がちらほらと見える。
歩き慣れた石畳を進み、通りをいくつか抜けたところで目的地に到着した。
路地から店の入り口に近づいたところで、敷地内にハンクとテオの姿があった。
先に着いていたようで、こちらを待ってくれていたのだと思った。
俺はそそくさと近づいて、二人に声をかけた。
「ごめんなさい、お待たせしました」
「ああっ、そんなに待ってねえから気にすんな」
「……」
ハンクはこちらをフォローするように声をかけてくれた。
テオは特に不機嫌というわけでもなく、いつも通りに物静かだった。
二人が椅子に座っていたので、こちらも近くの席に腰を下ろす。
「目当ての魔道具ですけど、使えそうなものを作ってもらえることになりました」
「そいつはよかったな。これで遠くまで旅に出られるな」
「変わり者のおじいさんですけど、腕は確かなようなので、任せておいて安心だと思います」
それから、明日以降はしばらく店を営業して、旅に出るのは魔道具を受け取ってからになるということで話がまとまった。
テオは無口ではあったものの、特に不満があるような様子はなかった。
「――ところで、町の案内はどうでした?」
「いやー、なかなか楽しかったぜ」
「それはよかったです」
何があったか分からないが、ハンクは上機嫌な様子だった。
明るく笑いながら、ちらちらとテオを見ている。
「こいつが町の奥様方にモテモテでな。まあ、なかなかの色男だし、そうなるのは分からんでもない」
「へえ、そんなことが」
「……ハンクよ。我を愚弄しているのか」
「いやいや、そんなつもりは全くねえよ。それにモテないよりモテる方がいいだろ? なあ、マルク?」
ここで俺に振るのかと思いつつ、そのまま会話を続ける。
「それはまあ、女性にモテるというのも一つの才能だと思いますよ」
「――ほう、才能とな」
「えっ、才能というか……天からの賜りもの? みたいな」
テオが思わぬ食いつきを見せたので、思わず慌ててしまう。
才能というものに何かこだわりがあるのだろうか。
「まあ、奥様方にモテた以外はそうだなあ、市場を案内したり、眺めがいい場所に連れてったり……だいたいそんなところだ」
「うーん、楽しかったですか?」
テオの反応がいまいち分かりづらいので、確認のためにたずねた。
何が好きで何を好まないのか、今後の参考のためにも知っておきたい。
「マルクよ。我の顔色を窺わぬともよい。それなりに満足している」
「……はあ、そうですか」
腕組みをして表情を変えない様子からは判断が難しかったが、どうやらそれなりに満足してらっしゃるようだ。
「そういえば、こいつの拠点はどうする? おれは地元じゃねえから、さすがに当てはねえんだ」
「あっ、それなら問題ないです。冒険者時代の仲間に宿屋の主人がいて、当面はそこに泊まってもらおうかと」
そう言ってから、ちらりとテオを見る。
元いた場所ではどんなところに寝泊まりしていたのか想像もつかないので、彼が気に入るのかは未知数だった。
「我は眠ることさえできれば、どこでも構わん」
「新しめでおんぼろとかではないので、わりと快適だと思いますよ」
俺の呼びかけにテオは小さく頷いた。
「それじゃあ、決まりだな。おれは町の酒場で一杯やるから、テオを頼む」
「お疲れさまでした。また何かあったら声をかけますね」
「おおっ、またな」
ハンクはご機嫌な様子で立ち去っていった。
エルフの村に滞在中はお酒を飲むことはできなかったし、何日かぶりに町に帰ってきて、羽根を伸ばしたいのだと思った。
テオと二人になったところで、店の状態を簡単に確認した。
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