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トリュフともふもふ
トリュフ料理へのアドバイス
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作業に区切りついたため、小休憩となった。
それぞれ冷水を飲んだり、椅子に腰かけたりして休んでいる。
使用済みの調理器具が残っているが、この後に下がってくる食器とまとめて洗ったとしても、そこまで時間はかからないだろう。
「来賓は町の関係者みたいですけど、今回の手応えはどうですかね」
俺とパメラは調理台にもたれかかるようにして、小休止していた。
特に意図はなく、彼女に問いかけた。
「口に合わないということはないでしょうが、どんな感想になるかまでは予想できません。本番は遠くの町から見知らぬ人が訪れるのなら、今日の時点で意見を聞いておける方が安心します」
「うんうん、それはもっともです。遠方から来てくれるのに、いい加減な料理は出せませんよね」
パメラの言葉に頷きつつ、グラスに入った水を口に含んだ。
慌ただしかった名残りで火照った身体に、透き通るような清涼感が注がれる。
「――今日の料理人はいるかい」
ホールの方からこちらへ呼びかける声が聞こえた。
何ごとかと視線を向けると、見知らぬ中年の男が料理を出すための提供台のところに立っていた。
俺とパメラは互いの顔を見合わせた後、同時に立ち上がって、男の方に近づいた。
招待されたうちの一人のようで、高級感のある衣服を身につけている。
「私と彼がそうですが、何かご用でしょうか?」
「そうか、君たちか。とても美味しかった、十分に満足している」
「そうでしたか、ご丁寧にありがとうございます」
二人同時に話すわけにもいかず、パメラに対応を任せるかたちになった。
「トリュフ料理に目がなくてね、アスタール山で採れるものを食べることもある。差し出がましいかもしれないが、今後のために伝えておきたいことがある」
「おやっ、それは何でしょうか?」
パメラは招待客を相手にしても、ほどよい丁寧さで接している。
卑屈になりすぎず、かといって無礼に取られるような態度もない。
「おそらく、パスタの面が少し太いと思う。ソースにパスタが絡まりきらず、ちょっとばかし薄味に感じられた」
「それは申し訳ございません。ご教授頂き、ありがとうございます」
「いやいや、文句が言いたいわけじゃない。今後は王都の方から舌の肥えた者が来ることもあるだろう。そのことを考えるなら、料理は最善であるに越したことはない」
「「ありがとうございます」」
俺とパメラは同時に感謝を述べていた。
目の前の男から気遣いを感じた故の言葉だったが、彼女も同じように受け取ったのだろう。
「それじゃあ、邪魔したね。君たちのことを応援しているよ」
男の名前も立場も分からなかったが、有益に助言をもらえたと思った。
それから少しして、トレーを手にした給仕係がホールからやってきた。
「お疲れ様です。食事を終えた方の食器を下げていきます」
「はい、了解です」
調理場の方に食器の乗ったトレーが一つずつ戻ってきた。
近づいて確かめると、食べ残しはほとんど見られなかった。
「トレーが溜まったら、片づけを始めますか」
「ええ、そうしましょう」
パメラの後にクレマン、ベランの二人に声をかけると、彼らも同意を示した。
その後、返却された食器を置くためのスペースに、続々とトレーが運びこまれてきた。
「六人分揃いました。それじゃあお願いします」
洗い場で食器や調理器具を洗う係、先に仕分けたり、食べかすを捨てたりするか係に分かれた。
この場にいる全員が経験者ということもあり、自然と分担するかたちになった。
片づけは順調に終わり、クレマンとベランの二人には帰ってもらった。
人数が少なくなり、静かになった調理場に俺とパメラは残っている。
「町長さんから食材は好きに使っていいと伺っているので、細いパスタを試作してみようと思います。よかったら、味見をお願いできますか?」
「はい、もちろんです。手伝えることがあったら、言ってくださいね」
「ふふっ、お気遣いありがとうございます」
パメラは温かい笑みを見せた後、調理を開始した。
用意する量が多いわけではないので、手伝えることは少ないと思われる。
何もしないのも手持ち無沙汰なため、トリュフを洗って下ごしらえを手伝うことにした。
結局、アスタール山ではまとまった量の白トリュフが採れるようで、この店のストックもそこそこあった。
今から試食に使うぐらいなら、在庫切れになってしまうことはないだろう。
パメラの様子を見守りつつ、こちらはトリュフペーストの味つけを調整しながら待った。
やがてパスタがが完成して、二人分の皿が用意された。
俺たちは順番にトリュフをカッターで削ずって振りかけた。
「何度嗅いでも飽きない香りですね」
「ええ、高級食材の一つであることに納得です」
調理台の一角に陣取って、パスタの試食を始めた。
麺とソースが口の中に入ると、バターとトリュフの風味が組み合わさる。
芳醇な香りに思わず、身体の力が抜けてしまいそうだった。
「……あっ、麺が細い方が味が濃く感じますよ」
「私も同じ感想です。今回の方が風味がしっかりしているので、今度からはこの太さで作ろうと思います」
「料理のクオリティが上がって、よかったですね」
「ちょっとした違いなのですが、こういう変化につながるとやる気が出ます」
パメラは普段の言葉よりも、力がこもるような言い方だった。
そこまで表に出すことはないものの、料理に対して熱い人なのだと再認識した。
それぞれ冷水を飲んだり、椅子に腰かけたりして休んでいる。
使用済みの調理器具が残っているが、この後に下がってくる食器とまとめて洗ったとしても、そこまで時間はかからないだろう。
「来賓は町の関係者みたいですけど、今回の手応えはどうですかね」
俺とパメラは調理台にもたれかかるようにして、小休止していた。
特に意図はなく、彼女に問いかけた。
「口に合わないということはないでしょうが、どんな感想になるかまでは予想できません。本番は遠くの町から見知らぬ人が訪れるのなら、今日の時点で意見を聞いておける方が安心します」
「うんうん、それはもっともです。遠方から来てくれるのに、いい加減な料理は出せませんよね」
パメラの言葉に頷きつつ、グラスに入った水を口に含んだ。
慌ただしかった名残りで火照った身体に、透き通るような清涼感が注がれる。
「――今日の料理人はいるかい」
ホールの方からこちらへ呼びかける声が聞こえた。
何ごとかと視線を向けると、見知らぬ中年の男が料理を出すための提供台のところに立っていた。
俺とパメラは互いの顔を見合わせた後、同時に立ち上がって、男の方に近づいた。
招待されたうちの一人のようで、高級感のある衣服を身につけている。
「私と彼がそうですが、何かご用でしょうか?」
「そうか、君たちか。とても美味しかった、十分に満足している」
「そうでしたか、ご丁寧にありがとうございます」
二人同時に話すわけにもいかず、パメラに対応を任せるかたちになった。
「トリュフ料理に目がなくてね、アスタール山で採れるものを食べることもある。差し出がましいかもしれないが、今後のために伝えておきたいことがある」
「おやっ、それは何でしょうか?」
パメラは招待客を相手にしても、ほどよい丁寧さで接している。
卑屈になりすぎず、かといって無礼に取られるような態度もない。
「おそらく、パスタの面が少し太いと思う。ソースにパスタが絡まりきらず、ちょっとばかし薄味に感じられた」
「それは申し訳ございません。ご教授頂き、ありがとうございます」
「いやいや、文句が言いたいわけじゃない。今後は王都の方から舌の肥えた者が来ることもあるだろう。そのことを考えるなら、料理は最善であるに越したことはない」
「「ありがとうございます」」
俺とパメラは同時に感謝を述べていた。
目の前の男から気遣いを感じた故の言葉だったが、彼女も同じように受け取ったのだろう。
「それじゃあ、邪魔したね。君たちのことを応援しているよ」
男の名前も立場も分からなかったが、有益に助言をもらえたと思った。
それから少しして、トレーを手にした給仕係がホールからやってきた。
「お疲れ様です。食事を終えた方の食器を下げていきます」
「はい、了解です」
調理場の方に食器の乗ったトレーが一つずつ戻ってきた。
近づいて確かめると、食べ残しはほとんど見られなかった。
「トレーが溜まったら、片づけを始めますか」
「ええ、そうしましょう」
パメラの後にクレマン、ベランの二人に声をかけると、彼らも同意を示した。
その後、返却された食器を置くためのスペースに、続々とトレーが運びこまれてきた。
「六人分揃いました。それじゃあお願いします」
洗い場で食器や調理器具を洗う係、先に仕分けたり、食べかすを捨てたりするか係に分かれた。
この場にいる全員が経験者ということもあり、自然と分担するかたちになった。
片づけは順調に終わり、クレマンとベランの二人には帰ってもらった。
人数が少なくなり、静かになった調理場に俺とパメラは残っている。
「町長さんから食材は好きに使っていいと伺っているので、細いパスタを試作してみようと思います。よかったら、味見をお願いできますか?」
「はい、もちろんです。手伝えることがあったら、言ってくださいね」
「ふふっ、お気遣いありがとうございます」
パメラは温かい笑みを見せた後、調理を開始した。
用意する量が多いわけではないので、手伝えることは少ないと思われる。
何もしないのも手持ち無沙汰なため、トリュフを洗って下ごしらえを手伝うことにした。
結局、アスタール山ではまとまった量の白トリュフが採れるようで、この店のストックもそこそこあった。
今から試食に使うぐらいなら、在庫切れになってしまうことはないだろう。
パメラの様子を見守りつつ、こちらはトリュフペーストの味つけを調整しながら待った。
やがてパスタがが完成して、二人分の皿が用意された。
俺たちは順番にトリュフをカッターで削ずって振りかけた。
「何度嗅いでも飽きない香りですね」
「ええ、高級食材の一つであることに納得です」
調理台の一角に陣取って、パスタの試食を始めた。
麺とソースが口の中に入ると、バターとトリュフの風味が組み合わさる。
芳醇な香りに思わず、身体の力が抜けてしまいそうだった。
「……あっ、麺が細い方が味が濃く感じますよ」
「私も同じ感想です。今回の方が風味がしっかりしているので、今度からはこの太さで作ろうと思います」
「料理のクオリティが上がって、よかったですね」
「ちょっとした違いなのですが、こういう変化につながるとやる気が出ます」
パメラは普段の言葉よりも、力がこもるような言い方だった。
そこまで表に出すことはないものの、料理に対して熱い人なのだと再認識した。
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