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トリュフともふもふ
オープン初日とカタリナの近況
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パメラと申し合わせを終えてから、トリュフペーストの準備に取りかかった。
パスタにかけるトリュフと違い、こちらは注文を受けてからでは時間がかかる。
試作を重ねたことで身についた分量を頼りに、手早く完成させた。
「うん、今日も美味い」
トリュフが味見できるのは作り手の特権だと思う。
完成してから出来を確かめて、容器に入った状態で簡易冷蔵庫に置いた。
「おはようございまーす」
「おっ、二人とも来ましたか」
助手のクレマンさんとベランさんが料理のできる格好で調理場にやってきた。
二人はパメラに声をかけて、今日の予定を確認している。
「あの、何かお手伝いできることはありますか?」
その後、クレマンさんがこちらにやってきた。
「これからポタージュを用意するので、ジャガイモの皮むきをお願いできれば」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、お願いします」
必要な量のジャガイモを用意して、そこから先はクレマンさんに任せる。
俺は鍋に水を張って、かまどの火にかけた。
「この量だと大変そうなので、手伝いますね」
「すみません、助かります」
二人で黙々と皮むきを進める。
単純計算で倍の速さなので、思ったよりも早く片づいた。
「ありがとうございました。こっちの方は大丈夫なので、パメラさんに手伝えることがないか確認してください」
「はい、承知しました」
クレマンさんのおかげで、工程を早く進めることができる。
鍋の中にジャガイモを入れて、茹で上がるのを待つ。
途中で火加減を見ながら、串を刺して十分に柔らかくなったかを確認。
「うん、これなら上げてもいいか」
鍋からジャガイモを取り出して、金属製のボールに移した。
手間が省けるようにと新しく用意された調理器具で、ジャガイモを潰していく。
マッシュポテトを作る時に使うようなものだ。
今度はかまどで火にかけておいた鍋の中に、潰したジャガイモを投入した。
先にお湯が入れてあるので、煮こむような状態になる。
「――失礼します。マルクさん、少しよろしいですか?」
給仕係がホールと調理場の境目から声をかけてきた。
すぐに駆けつけた方がよさそうなので、近くにいたベランさんにポタージュの続きを任せてから、足早に給仕係のところに向かう。
何かイレギュラーなことがあったかと思い、少し慌てながら声をかけた。
「どうしました?」
「お忙しいところ、申し訳ありません。ついさっき、カタリナ様とそのお連れ様がいらして、調理担当がマルクさんとお知りになると、ホールへ呼んでほしいと仰りました」
「おおっ! けっこう早めに着いたんですね。事情は分かりました。すぐに向かいます」
「ご対応感謝します」
俺は近くの調理台にエプロンを乗せて、給仕係と共にホールへと足を運んだ。
出勤した時は閑散としていたが、その時よりも人の気配が増している。
カタリナを探そうと目を配ると、人だかりの中心に彼女がいた。
どうやら、町の関係者があいさつをしているところだった。
「うーん、どうするか。町の人の邪魔をするわけにもいかないよな」
「――マルク殿、お久しぶりです」
ふいに耳に届いた、心地よい響きの声に振り返る。
「あっ、リリア! カタリナの同行者は君だったんだ」
以前の行軍に適した服装ではなく、今日の彼女は町娘の来ていそうなワンピースを身につけている。
「あ、あんまり見ないでください。私がこんな格好なのは珍しいでしょうが……」
「似合ってると思いますよ。そんなに恥ずかしがらなくても」
「ええっ、そうですか? ここまでの道中にカタリナ様にからかわれまして」
たははっとリリアは力なく笑った。
精鋭の彼女であっても、大臣であるカタリナには言われるがままなのだろう。
「今日は腕によりをかけて美味しいものを出すので、楽しんでいってください」
「はい、ありがとうございます」
リリアはさわやかな笑みを見せた。
彼女の整った顔立ちはいつ見ても美しいと思った。
「――久しぶりじゃのう。元気にしておったか」
少し幼さを感じさせる声に振り向くと、カタリナが近くに立っていた。
金髪の髪の毛を華やかなリボンで束ねており、明るい色のドレスが印象的だ。
「どうも、お久しぶりです。お元気そうで何より」
「そなたもな。王都で会った時よりも貫禄が出てきたのう」
「そうですか? いつも自分の店で手一杯ですよ」
カタリナの言葉を受けて、何だか照れくさい気持ちになる。
相対する彼女も前に会った時よりも成長して、少女から大人へ変わる最中にいるように見えた。
「カタリナ様はマルク殿に会いたいと話されることが多かったのですよ」
「こらっ、余計なことを言うでない」
カタリナは不服そうな様子でリリアの肩を叩く。
本人の反応はともかくとして、可愛らしい仕草だった。
「ちなみにブルームは元気にしてますか?」
「相変わらず口うるさいがのう。そなたによろしくと言っておったわ」
「ははっ、そうですか」
ブルームに小言を言われるカタリナの様子が目に浮かぶ。
今日も王城で執務に精を出しているのだろう。
「それとジェイクも元気にしておる。今や人気焼肉店の店主じゃ。王都へ足を運んだ際は覗いてやるのじゃぞ」
「彼の腕前を考えれば当然ではあるんですけど、さすがですね。どんな店になってるのか行ってみたいです」
会話が盛り上がったところで、カタリナが穏やかな表情で口を開いた。
「呼び止めてすまんな。厨房へ戻ってくれ」
「では、失礼します」
俺はカタリナとリリアに会釈をして、ホールから調理場へと戻った。
パスタにかけるトリュフと違い、こちらは注文を受けてからでは時間がかかる。
試作を重ねたことで身についた分量を頼りに、手早く完成させた。
「うん、今日も美味い」
トリュフが味見できるのは作り手の特権だと思う。
完成してから出来を確かめて、容器に入った状態で簡易冷蔵庫に置いた。
「おはようございまーす」
「おっ、二人とも来ましたか」
助手のクレマンさんとベランさんが料理のできる格好で調理場にやってきた。
二人はパメラに声をかけて、今日の予定を確認している。
「あの、何かお手伝いできることはありますか?」
その後、クレマンさんがこちらにやってきた。
「これからポタージュを用意するので、ジャガイモの皮むきをお願いできれば」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、お願いします」
必要な量のジャガイモを用意して、そこから先はクレマンさんに任せる。
俺は鍋に水を張って、かまどの火にかけた。
「この量だと大変そうなので、手伝いますね」
「すみません、助かります」
二人で黙々と皮むきを進める。
単純計算で倍の速さなので、思ったよりも早く片づいた。
「ありがとうございました。こっちの方は大丈夫なので、パメラさんに手伝えることがないか確認してください」
「はい、承知しました」
クレマンさんのおかげで、工程を早く進めることができる。
鍋の中にジャガイモを入れて、茹で上がるのを待つ。
途中で火加減を見ながら、串を刺して十分に柔らかくなったかを確認。
「うん、これなら上げてもいいか」
鍋からジャガイモを取り出して、金属製のボールに移した。
手間が省けるようにと新しく用意された調理器具で、ジャガイモを潰していく。
マッシュポテトを作る時に使うようなものだ。
今度はかまどで火にかけておいた鍋の中に、潰したジャガイモを投入した。
先にお湯が入れてあるので、煮こむような状態になる。
「――失礼します。マルクさん、少しよろしいですか?」
給仕係がホールと調理場の境目から声をかけてきた。
すぐに駆けつけた方がよさそうなので、近くにいたベランさんにポタージュの続きを任せてから、足早に給仕係のところに向かう。
何かイレギュラーなことがあったかと思い、少し慌てながら声をかけた。
「どうしました?」
「お忙しいところ、申し訳ありません。ついさっき、カタリナ様とそのお連れ様がいらして、調理担当がマルクさんとお知りになると、ホールへ呼んでほしいと仰りました」
「おおっ! けっこう早めに着いたんですね。事情は分かりました。すぐに向かいます」
「ご対応感謝します」
俺は近くの調理台にエプロンを乗せて、給仕係と共にホールへと足を運んだ。
出勤した時は閑散としていたが、その時よりも人の気配が増している。
カタリナを探そうと目を配ると、人だかりの中心に彼女がいた。
どうやら、町の関係者があいさつをしているところだった。
「うーん、どうするか。町の人の邪魔をするわけにもいかないよな」
「――マルク殿、お久しぶりです」
ふいに耳に届いた、心地よい響きの声に振り返る。
「あっ、リリア! カタリナの同行者は君だったんだ」
以前の行軍に適した服装ではなく、今日の彼女は町娘の来ていそうなワンピースを身につけている。
「あ、あんまり見ないでください。私がこんな格好なのは珍しいでしょうが……」
「似合ってると思いますよ。そんなに恥ずかしがらなくても」
「ええっ、そうですか? ここまでの道中にカタリナ様にからかわれまして」
たははっとリリアは力なく笑った。
精鋭の彼女であっても、大臣であるカタリナには言われるがままなのだろう。
「今日は腕によりをかけて美味しいものを出すので、楽しんでいってください」
「はい、ありがとうございます」
リリアはさわやかな笑みを見せた。
彼女の整った顔立ちはいつ見ても美しいと思った。
「――久しぶりじゃのう。元気にしておったか」
少し幼さを感じさせる声に振り向くと、カタリナが近くに立っていた。
金髪の髪の毛を華やかなリボンで束ねており、明るい色のドレスが印象的だ。
「どうも、お久しぶりです。お元気そうで何より」
「そなたもな。王都で会った時よりも貫禄が出てきたのう」
「そうですか? いつも自分の店で手一杯ですよ」
カタリナの言葉を受けて、何だか照れくさい気持ちになる。
相対する彼女も前に会った時よりも成長して、少女から大人へ変わる最中にいるように見えた。
「カタリナ様はマルク殿に会いたいと話されることが多かったのですよ」
「こらっ、余計なことを言うでない」
カタリナは不服そうな様子でリリアの肩を叩く。
本人の反応はともかくとして、可愛らしい仕草だった。
「ちなみにブルームは元気にしてますか?」
「相変わらず口うるさいがのう。そなたによろしくと言っておったわ」
「ははっ、そうですか」
ブルームに小言を言われるカタリナの様子が目に浮かぶ。
今日も王城で執務に精を出しているのだろう。
「それとジェイクも元気にしておる。今や人気焼肉店の店主じゃ。王都へ足を運んだ際は覗いてやるのじゃぞ」
「彼の腕前を考えれば当然ではあるんですけど、さすがですね。どんな店になってるのか行ってみたいです」
会話が盛り上がったところで、カタリナが穏やかな表情で口を開いた。
「呼び止めてすまんな。厨房へ戻ってくれ」
「では、失礼します」
俺はカタリナとリリアに会釈をして、ホールから調理場へと戻った。
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