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和の国サクラギとミズキ姫
サクラギの歴史を知る
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ゼントクが去って少しすると場の空気が落ちつき、四人ともそばを完食することができた。
それぞれにお茶をすすりながら、食後のひと時をすごしている。
「いやー、恥ずかしいところを見せちゃったね」
ミズキは照れくさそうな様子で、頭に手を当てながら言った。
「気にすることはないわ。私は前から知っていたもの」
「そういえば、二人は付き合いが長いんですね」
「以前、ちょっとしたきっかけでこの国を訪れて、ゼントクに頼まれてミズキの旅に同行することになったのよ」
「ああっ、なるほど」
最初は同行しているだけの予定だったが、どこかのタイミングでミズキを連れ出したということだと察した。
アデルは思慮深いところがあるので、彼女なりにミズキのことを考えた部分もあったのかもしれない。
「さてと、お腹も膨れたし、城下町以外も案内するよ。サクラギはけっこう広くて、色んな場所があるから」
ミズキは切り替えたように表情を明るくして、朗らかな声で言った。
俺たちはしばらく会話をしてからそば屋を出た。
どこに何があるかはさっぱりなので、案内はミズキに任せることになっている。
「さあさあ、食後の運動も兼ねて町を歩くよ」
「いいですね、知らない土地を歩くのは好きです」
そば屋は城下町の入り口に近く、町全体はもっと広いようだった。
まだまだこの先があることに胸が高鳴る。
「二人は初めてだから、私は適当についていくわ」
「アデル、ありがとう」
ミズキとアデルは厳しい言葉の応酬をすることがありながら、俺やハンクよりも付き合いが長いことでお互いに理解している節が見られる。
彼女たちには俺の知らない絆のようなものがあるのだろう。
「それじゃあ二人とも、あたしについてきて」
ミズキは軽快な足取りで進んでいく。
そば屋の一件はそこまで影響していないようだ。
やがて通りを歩いた先で案内されたのは大きな平屋建ての建物だった。
ミズキの説明では、サクラギの当主が代々生活する邸宅とのことだ。
彼女も以前はここに住んでいたらしい。
「サクラギはなかなかの規模の国なんだな。小国の王様はこんな立派な家には住めねえぞ」
「ふふん、当主になれるのはサクラギの中でも由緒ある家系だからね。といってもまあ、よその国へ行けば威張れるものでもないから。あたしは自分自身の実力で勝負したいんだけど」
後半に関してはハンクに向けてではなく、ミズキが自らに向けた言葉のように聞こえた。
十八歳という若さで飲食店を複数経営しているのだから、己の成果を誇っても自惚れにはならないのではと思った。
邸宅周辺を散策してから、ミズキの案内で移動した。
広大な日本庭園風の庭や池のコイを眺めて、俺たちはその場を後にした。
そこからしばらく歩いた後、二番目に案内されたのは神社のような場所だった。
のようなと思ったのは荘厳な雰囲気がある一方で、俺の記憶の中ではあるはずのものがないことで、確信が持てなかったのが理由である。
「ここは神社といって、この国の始まりの神様のお社があるんだよ」
神様という単語が出てきて、思わず身体がこわばる感じがした。
ランス王国を含めた始まりの三国では、信仰が禁じられている。
そのため、神という単語を口にすること自体、知らず知らずのうちに抵抗を感じるようになっている……そんな背景がある。
「向こうの方に民家みたいなのが見えるけど、その手前は聖域だから、敷地に入らないように気をつけてね」
あるはずのもの――鳥居――がないので分かりにくいが、土地の区画らしき部分より先はきれいに整地されており、一種の境界線があるように見えた。
「ここはまあ、だいたいこんな感じかな。あともう少し案内するね」
ミズキは神社の前を離れて歩き出した。
その後は目ぼしいところを回ってから、川沿いの茶屋で休憩することになった。
目の前に緩やかな清流が目に入り、心安らぐような雰囲気の場所だった。
「うーん、ここのダンゴはすごく美味しいのよね」
草団子を口にしたアデルはご機嫌な様子だった。
たしかにそれも頷けることで、つぶあんのついた団子は甘くほっこりするような味わいである。
傍らのハンクは湯吞みに入った緑茶をすすり、縁側でなごむおじいさんみたいに平和な顔をしている。
「ミズキさん、案内ありがとうございました。色んなものが見れて、とても楽しかったです」
「ハンクの反応もよかったけど、特にマルクくんは楽しそうだったね。案内した甲斐があったな」
ミズキはうれしそうに目を細めて、姫様御用達さくらあんの団子を口に運んだ。
「気を悪くしたら申し訳ないんですけど、ゼントクさんの後継者はどうなるんですか?」
ミズキとゼントク、二人のやりとりから浮かんだ素朴な疑問だ。
個人的に興味はあるものの、深い意味はない。
「そんな、全然気にしないよ。後継者については世襲になることもあるし、その時代にふさわしい人がなる場合もあるって感じかな。国の守りをしっかりしてないと、他国にちょっかいかけられるから、誰でもなれるわけではないね」
「ありがとうございます。よく分かりました」
ミズキは次期当主になるつもりであることは明言しなかったものの、この国のことを真摯に考えているようだ。彼女の話しぶりからそう感じられた。
それぞれにお茶をすすりながら、食後のひと時をすごしている。
「いやー、恥ずかしいところを見せちゃったね」
ミズキは照れくさそうな様子で、頭に手を当てながら言った。
「気にすることはないわ。私は前から知っていたもの」
「そういえば、二人は付き合いが長いんですね」
「以前、ちょっとしたきっかけでこの国を訪れて、ゼントクに頼まれてミズキの旅に同行することになったのよ」
「ああっ、なるほど」
最初は同行しているだけの予定だったが、どこかのタイミングでミズキを連れ出したということだと察した。
アデルは思慮深いところがあるので、彼女なりにミズキのことを考えた部分もあったのかもしれない。
「さてと、お腹も膨れたし、城下町以外も案内するよ。サクラギはけっこう広くて、色んな場所があるから」
ミズキは切り替えたように表情を明るくして、朗らかな声で言った。
俺たちはしばらく会話をしてからそば屋を出た。
どこに何があるかはさっぱりなので、案内はミズキに任せることになっている。
「さあさあ、食後の運動も兼ねて町を歩くよ」
「いいですね、知らない土地を歩くのは好きです」
そば屋は城下町の入り口に近く、町全体はもっと広いようだった。
まだまだこの先があることに胸が高鳴る。
「二人は初めてだから、私は適当についていくわ」
「アデル、ありがとう」
ミズキとアデルは厳しい言葉の応酬をすることがありながら、俺やハンクよりも付き合いが長いことでお互いに理解している節が見られる。
彼女たちには俺の知らない絆のようなものがあるのだろう。
「それじゃあ二人とも、あたしについてきて」
ミズキは軽快な足取りで進んでいく。
そば屋の一件はそこまで影響していないようだ。
やがて通りを歩いた先で案内されたのは大きな平屋建ての建物だった。
ミズキの説明では、サクラギの当主が代々生活する邸宅とのことだ。
彼女も以前はここに住んでいたらしい。
「サクラギはなかなかの規模の国なんだな。小国の王様はこんな立派な家には住めねえぞ」
「ふふん、当主になれるのはサクラギの中でも由緒ある家系だからね。といってもまあ、よその国へ行けば威張れるものでもないから。あたしは自分自身の実力で勝負したいんだけど」
後半に関してはハンクに向けてではなく、ミズキが自らに向けた言葉のように聞こえた。
十八歳という若さで飲食店を複数経営しているのだから、己の成果を誇っても自惚れにはならないのではと思った。
邸宅周辺を散策してから、ミズキの案内で移動した。
広大な日本庭園風の庭や池のコイを眺めて、俺たちはその場を後にした。
そこからしばらく歩いた後、二番目に案内されたのは神社のような場所だった。
のようなと思ったのは荘厳な雰囲気がある一方で、俺の記憶の中ではあるはずのものがないことで、確信が持てなかったのが理由である。
「ここは神社といって、この国の始まりの神様のお社があるんだよ」
神様という単語が出てきて、思わず身体がこわばる感じがした。
ランス王国を含めた始まりの三国では、信仰が禁じられている。
そのため、神という単語を口にすること自体、知らず知らずのうちに抵抗を感じるようになっている……そんな背景がある。
「向こうの方に民家みたいなのが見えるけど、その手前は聖域だから、敷地に入らないように気をつけてね」
あるはずのもの――鳥居――がないので分かりにくいが、土地の区画らしき部分より先はきれいに整地されており、一種の境界線があるように見えた。
「ここはまあ、だいたいこんな感じかな。あともう少し案内するね」
ミズキは神社の前を離れて歩き出した。
その後は目ぼしいところを回ってから、川沿いの茶屋で休憩することになった。
目の前に緩やかな清流が目に入り、心安らぐような雰囲気の場所だった。
「うーん、ここのダンゴはすごく美味しいのよね」
草団子を口にしたアデルはご機嫌な様子だった。
たしかにそれも頷けることで、つぶあんのついた団子は甘くほっこりするような味わいである。
傍らのハンクは湯吞みに入った緑茶をすすり、縁側でなごむおじいさんみたいに平和な顔をしている。
「ミズキさん、案内ありがとうございました。色んなものが見れて、とても楽しかったです」
「ハンクの反応もよかったけど、特にマルクくんは楽しそうだったね。案内した甲斐があったな」
ミズキはうれしそうに目を細めて、姫様御用達さくらあんの団子を口に運んだ。
「気を悪くしたら申し訳ないんですけど、ゼントクさんの後継者はどうなるんですか?」
ミズキとゼントク、二人のやりとりから浮かんだ素朴な疑問だ。
個人的に興味はあるものの、深い意味はない。
「そんな、全然気にしないよ。後継者については世襲になることもあるし、その時代にふさわしい人がなる場合もあるって感じかな。国の守りをしっかりしてないと、他国にちょっかいかけられるから、誰でもなれるわけではないね」
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