41 / 59
失われた都市メガイラでお宝探し
41
「なあ、アネーシャ。俺たちいつまでここにいればいいんだ?」
ようやく身体が動かせるようになると、野営の準備を終えたシアがこそっと訊いてきた。その後ろではウルスが捌いたドラゴンの肉で料理を作っていて――肉を香草や野菜と一緒に葉っぱで包んで、土の中で蒸し焼きにしている――ジェミナが物珍しそうにお手伝いをしている。
「それがコヤ様の機嫌悪くて、さっきから口利いてくれないの」
「勝手にあいつを仲間に入れたりするからだろ」
「あいつじゃなくて、ジェミナだよ。ジェミナ・トナ」
シアはあまりジェミナにいい感情を持っていないらしい。
知り合ってからまだそんなに時間も経っていないし、仕方がないと割り切る。
「ソル・サウラに捧げられた生贄なんだろ? どっちにしろ女神の敵だ」
「敵じゃないよ。だってジェミナは何も覚えていないんだから」
言い訳がましくアネーシャは言う。
「あいつはラビアの戦士だ。戦争でこの都市を滅ぼした」
「それは大昔の話でしょ。今の私たちとはなんの関係もない」
「けど女神は、太陽神を嫌ってる」
「ただ仲が悪いってだけだよ。それにソル様はコヤ様のこと大好きみたいだし」
離れた場所でふて寝しているコヤに聞こえないよう、小声で話す。
「……俺は気に入らない」
「もしかしてウルスさんを取られるかもって心配してる?」
からかうように訊けば、「今は冗談に付き合う気分じゃない」とばっさり。
「あいつがもし、お前の命を狙っていたらどうするんだ?」
「ジェミナはそんなことしないよ」
「ソル・サウラの話をしている」
「私を殺したかったらもうとっくに殺してる。相手は神様なんだから」
それもそうか、とシアは安心したようにつぶやく。
「ありがとう、心配してくれて」
「……俺はお前の護衛だからな」
照れくさそうに言って、そそくさとその場を離れる。
ジェミナに負けじと、ウルスの手伝いに行ったようだ。
アネーシャも自分にできることをしようと、再びコヤに近づいていった。
「コヤ様、まだ拗ねてるの?」
『お子様なアネーシャにはどうせわからないわよね、あたしの気持ちなんて』
「うん、わかんない。でもコヤ様がここに連れてきてくれたおかげで、ジェミナに会えた」
『……確かにあの娘はいい子だけど』
コヤは起き上がると、じっとアネーシャを見上げる。
『友情と恋愛を混同しないようにね。それはあの坊やにも言えることだけど』
「何の話?」
『あの娘をここへ呼んできなさい』
言われた通りにすると、ジェミナは不思議そうな顔をしてやって来た。
「月の女神様が僕に何だって?」
『モウリスの預言書を彼女に渡して。それを声に出して読み上げなさい』
「この石版に浮かぶ文字を読み上げなさいって」
ジェミナが石版を手にした途端、アネーシャの時とは異なる文字が浮かび上がっていた。
「えっと……なになに」
文面を追うにつれて、ジェミナの顔色が赤くなったり青くなったり……どうやら混乱しているようだ。
「なんだよこれ、わけわかんないっ」
石版をアネーシャに押し付けると、そのまま逃げるように走り去ってしまう。
「どうしたんだろ、ジェミナ」
『代わりにアネーシャが読んであげたら?』
首を傾げながら石版を見下ろすが、
「最初のこれって、どういう意味?」
『二兎追うものは一兎をも得ず、みたいな戒めの言葉よ』
ふーんとうなずく。
『アネーシャったら……少しくらい危機感持ったら?』
「持ってるよっ。毎朝目が覚めるたびに、生きてて良かったって思えるもん」
『……そっち?』
「誰かさんのせいで、毎日命の危険を感じてるの」
『それはご愁傷様』
コヤはとぼけたように耳をかきながら、うーんと背伸びをする。
『そろそろ、ここにいるのも飽きてきちゃったわね』
「っていうか、食料が尽きそう』
『で、次の目的地だけど……』
「どこ? 次はどこに行くの?」
『露骨に食い付きがいいわね』
…………
……
性欲を抑えなさい。
さすれば無二の友人を得ることができるでしょう。
生贄として捧げられたあなたの命は、もうあなたの物ではありません。
太陽神の寄り代として一生こき使われる運命にあります。
神の奴隷ではありますが、最強の女戦士として、名を馳せることでしょう。
ラッキーカラーは黄金色。ラッキナンバーはなし。
――モウリスの預言書より
あなたにおすすめの小説
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】追放された転生聖女は、無手ですべてを粉砕する
ゆきむらちひろ
ファンタジー
「祈るより、殴る方が早いので」
ひとりの脳筋聖女が、本人にまったくその気がないまま、緻密に練られたシリアスな陰謀を片っ端から台無しにしていく痛快無比なアクションコメディ。
■あらすじ
聖女セレスティアは、その類稀なる聖なる力(物理)ゆえに王都から追放された。
実は彼女には前世の記憶があって、平和な日本で暮らしていたしがないOLだった。
そして今世にて、神に祈りを捧げる乙女として王国に奉仕する聖女に転生。
だがなぜかその身に宿ったのは治癒の奇跡ではなく、岩をも砕く超人的な筋力だった。
儀式はすっぽかす。祈りの言葉は覚えられない。挙句の果てには、神殿に押し入った魔物を祈祷ではなくラリアットで撃退する始末。
そんな彼女に愛想を尽かした王国は、新たに現れた完璧な治癒能力を持つ聖女リリアナを迎え入れ、セレスティアを「偽りの聖女」として追放する。
「まあ、田舎でスローライフも悪くないか」
追放された本人はいたって能天気。行く先も分からぬまま彼女は新天地を求めて旅に出る。
しかし、彼女の行く手には、王国転覆を狙う宰相が仕組んだシリアスな陰謀の影が渦巻いていた。
「お嬢さん、命が惜しければこの密書を……」
「話が長い! 要点は!? ……もういい、面倒だから全員まとめてかかってこい!」
刺客の脅しも、古代遺跡の難解な謎も、国家を揺るがす秘密の会合も、セレスティアはすべてを「考えるのが面倒くさい」の一言で片付け、その剛腕で粉砕していく。
果たしてセレスティアはスローライフを手にすることができるのか……。
※「小説家になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」に同内容のものを投稿しています。
※この作品以外にもいろいろと小説を投稿しています。よろしければそちらもご覧ください。
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
平民令嬢、異世界で追放されたけど、妖精契約で元貴族を見返します
タマ マコト
ファンタジー
平民令嬢セリア・アルノートは、聖女召喚の儀式に巻き込まれ異世界へと呼ばれる。
しかし魔力ゼロと判定された彼女は、元婚約者にも見捨てられ、理由も告げられぬまま夜の森へ追放された。
行き場を失った境界の森で、セリアは妖精ルゥシェと出会い、「生きたいか」という問いに答えた瞬間、対等な妖精契約を結ぶ。
人間に捨てられた少女は、妖精に選ばれたことで、世界の均衡を揺るがす存在となっていく。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。