6 / 101
本編
元夫とポークカツレツ
土間続きの台所でいつものように料理をしていると、お佳代が様子を見に顔をのぞかせる。
「あら、今日のお夕飯はポークカツレツですのね」
「辰兄さん、好きでしょ、これ」
「安い豚肉ですから、少し硬いかもしれませんわ」
「ええ、だから今、柔らかくするための下処理をしているの」
まず、均一に火を通すため、できる限り脂部分を取り除く。麺棒で叩いて筋繊維をほぐし、細かく切り目を入れたら、塩胡椒でしっかり下味をつける。それに小麦粉をまぶし、溶き卵に浸して、パン粉を付けたら、低温でじっくり揚げる。けれど胡蝶は、この手順を少し変えた。
「まあ、あらかじめ小麦粉と溶き卵を混ぜてしまうんですの?」
「そのほうが簡単だし、パン粉も付きやすくなるから。バッター液というのよ」
「はあ、ばったーえき、ですか」
首を傾げながらお佳代は不思議そうにつぶやく。
「お夕食の前に少し歩いてきますわ。最近、太ってしまったようなので運動しないと」
「そう?」
「お嬢様の手料理が美味しすぎるせいですよ」
そう苦情を漏らしつつお佳代が出て行くと、胡蝶も少し休もうと思い、立ち上がった。どうせなら出来立てを食べてもらいたいので、揚げるのは辰之助が来るまで待つ事にする。
「お仕事はいつ頃終わるのかしら」
すると引き戸を開ける音がして、玄関から誰かが入ってくる気配がした。
どうやら辰之助が来たようだ。
黙って入ってくるなんて彼らしくないと思いながら出迎えに向かうと、
「ひ、久しぶりだな、胡蝶」
「……清春様」
今日まで思い出すことすらなかったのに。できることならもう二度と会いたくないと思っていた元夫の姿を見、顔から笑みがすーと引いていくのを感じた。すると清春はハッと息を飲み、決まり悪そうな顔をする。
「どうしてここへ?」
「別に……ただ、お前が元気にやっているか、心配でな」
「心配、ですか」
てっきり彼には嫌われているとばかり思っていたが、そうではないのだろうか。
「いけないか? これでも一年間、夫婦だった仲だろう」
「清春様は私のことを疎んじておられると思っていました」
「そ、そんなことは……」
「ないと言い切れますか?」
清春は言葉に詰まって俯くと、居心地悪そうに黙っていた。
ややして、「来るんじゃなかった」とぽつりとつぶやく。
「邪魔をして悪かったな」
「もうお帰りに?」
一体この人は何をしに来たのだろうと首を傾げてしまう。けれど、このまま追い返すより、元気にやっている自分の姿を見せたほうが、少しはこれまでの行いを反省してくれるかもしれない。と思い直し、
「お待ちください、清春様」
帰りかけた彼を呼び止めて、にっこり微笑む。
「よろしければ、上がってお夕飯を食べていかれませんか?」
***
「……これを、胡蝶が作ったのか?」
「ええ、もちろん」
「信じられないな」
「ご心配なく。毒など入れておりませんから」
毒と聞いて、ひっと怯えた清春だったが、
――そうか、当然恨んでいるだろうな、俺のことを。
白い結婚だったとはいえ、本妻と手を組んで彼女を陥れた――キズモノにしたのだ。
それ以前に、格下の家柄で、愛人のいる男の元になど、嫁ぎたくはなかっただろう。
――だったらなぜ、俺を家に上げてくれたんだ?
会えば絶対、どの面下げて……と罵られると思っていた。
二度と顔を見せるなと言われ、最後には逃げられてしまうだろうと。
――まだ俺に未練があるとか?
つい先刻も、笑いかけてくれたし。
微かな望みを抱いた清春だったが、
「それを食べたら、どうぞお帰りください。そしてどうか、もう二度とここへはお越しくださらないよう、お願いいたします。誰が貴方に私の居場所を教えたのかは存じませんが、迷惑です」
木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。
女性にここまで手ひどく嫌われたのは初めてで、思わず泣きそうになってしまった。けれどそんなみっともない姿は彼女には見せられないと、顔をしかめて涙をこらえる。いつまでも料理に手をつけない自分に焦れたのか、
「お料理が気に入らないのであればお下げしますが……」
「いや、頂こう」
いっそこれが毒入りで、人生最期の食事になっても構わない。
それだけのことを、自分はしたのだ。
「ナイフとフォークはないのか?」
「ええ、あらかじめ切り分けておりますので、お箸でお召し上がりください」
普段から和食ばかり口にしているので、洋食料理は久しぶりだった。ほんのり湯気が立ち上るカツレツは揚げたてで、衣がサクっとしている。中のお肉は柔らかくしっとりとしていて、脂加減もちょうどいい。すっきりとした味わいの、ウスターソースとの相性も抜群だ。
「私はソースより、お醤油をかけるほうが好きなのですけど」
「そうなのか?」
「ええ。お味はいかがです?」
「……まあまあだ」
正直、あの胡蝶が料理をしているだけでも驚きなのに、出された料理の美味しさに、清春は目を剥いていた。これでも舌は肥えているほうだと自負している。胡蝶の手料理を一口一口噛み締めながら、どういうわけか敗北感を覚えた。
「よほどお腹がすいてらしたんですね。完食なさるなんて」
空っぽになった器を見下ろして、更に敗北感を強める清春だった。
「まあ、清春様ったら……」
何かに気づいて、胡蝶が笑い声をあげた。その、子どものような、軽やかな笑い声に驚いて、ぽかんとして眺めていると、着物の袖からほっそりとした腕が伸びて、口の辺りを指さされる。
「口の端にご飯粒が付いていますよ」
慌てて口元を拭い、立ち上がる。
これ以上、彼女の前で醜態を晒すまいと、いそいで玄関へ向かった。
「あら、今日のお夕飯はポークカツレツですのね」
「辰兄さん、好きでしょ、これ」
「安い豚肉ですから、少し硬いかもしれませんわ」
「ええ、だから今、柔らかくするための下処理をしているの」
まず、均一に火を通すため、できる限り脂部分を取り除く。麺棒で叩いて筋繊維をほぐし、細かく切り目を入れたら、塩胡椒でしっかり下味をつける。それに小麦粉をまぶし、溶き卵に浸して、パン粉を付けたら、低温でじっくり揚げる。けれど胡蝶は、この手順を少し変えた。
「まあ、あらかじめ小麦粉と溶き卵を混ぜてしまうんですの?」
「そのほうが簡単だし、パン粉も付きやすくなるから。バッター液というのよ」
「はあ、ばったーえき、ですか」
首を傾げながらお佳代は不思議そうにつぶやく。
「お夕食の前に少し歩いてきますわ。最近、太ってしまったようなので運動しないと」
「そう?」
「お嬢様の手料理が美味しすぎるせいですよ」
そう苦情を漏らしつつお佳代が出て行くと、胡蝶も少し休もうと思い、立ち上がった。どうせなら出来立てを食べてもらいたいので、揚げるのは辰之助が来るまで待つ事にする。
「お仕事はいつ頃終わるのかしら」
すると引き戸を開ける音がして、玄関から誰かが入ってくる気配がした。
どうやら辰之助が来たようだ。
黙って入ってくるなんて彼らしくないと思いながら出迎えに向かうと、
「ひ、久しぶりだな、胡蝶」
「……清春様」
今日まで思い出すことすらなかったのに。できることならもう二度と会いたくないと思っていた元夫の姿を見、顔から笑みがすーと引いていくのを感じた。すると清春はハッと息を飲み、決まり悪そうな顔をする。
「どうしてここへ?」
「別に……ただ、お前が元気にやっているか、心配でな」
「心配、ですか」
てっきり彼には嫌われているとばかり思っていたが、そうではないのだろうか。
「いけないか? これでも一年間、夫婦だった仲だろう」
「清春様は私のことを疎んじておられると思っていました」
「そ、そんなことは……」
「ないと言い切れますか?」
清春は言葉に詰まって俯くと、居心地悪そうに黙っていた。
ややして、「来るんじゃなかった」とぽつりとつぶやく。
「邪魔をして悪かったな」
「もうお帰りに?」
一体この人は何をしに来たのだろうと首を傾げてしまう。けれど、このまま追い返すより、元気にやっている自分の姿を見せたほうが、少しはこれまでの行いを反省してくれるかもしれない。と思い直し、
「お待ちください、清春様」
帰りかけた彼を呼び止めて、にっこり微笑む。
「よろしければ、上がってお夕飯を食べていかれませんか?」
***
「……これを、胡蝶が作ったのか?」
「ええ、もちろん」
「信じられないな」
「ご心配なく。毒など入れておりませんから」
毒と聞いて、ひっと怯えた清春だったが、
――そうか、当然恨んでいるだろうな、俺のことを。
白い結婚だったとはいえ、本妻と手を組んで彼女を陥れた――キズモノにしたのだ。
それ以前に、格下の家柄で、愛人のいる男の元になど、嫁ぎたくはなかっただろう。
――だったらなぜ、俺を家に上げてくれたんだ?
会えば絶対、どの面下げて……と罵られると思っていた。
二度と顔を見せるなと言われ、最後には逃げられてしまうだろうと。
――まだ俺に未練があるとか?
つい先刻も、笑いかけてくれたし。
微かな望みを抱いた清春だったが、
「それを食べたら、どうぞお帰りください。そしてどうか、もう二度とここへはお越しくださらないよう、お願いいたします。誰が貴方に私の居場所を教えたのかは存じませんが、迷惑です」
木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。
女性にここまで手ひどく嫌われたのは初めてで、思わず泣きそうになってしまった。けれどそんなみっともない姿は彼女には見せられないと、顔をしかめて涙をこらえる。いつまでも料理に手をつけない自分に焦れたのか、
「お料理が気に入らないのであればお下げしますが……」
「いや、頂こう」
いっそこれが毒入りで、人生最期の食事になっても構わない。
それだけのことを、自分はしたのだ。
「ナイフとフォークはないのか?」
「ええ、あらかじめ切り分けておりますので、お箸でお召し上がりください」
普段から和食ばかり口にしているので、洋食料理は久しぶりだった。ほんのり湯気が立ち上るカツレツは揚げたてで、衣がサクっとしている。中のお肉は柔らかくしっとりとしていて、脂加減もちょうどいい。すっきりとした味わいの、ウスターソースとの相性も抜群だ。
「私はソースより、お醤油をかけるほうが好きなのですけど」
「そうなのか?」
「ええ。お味はいかがです?」
「……まあまあだ」
正直、あの胡蝶が料理をしているだけでも驚きなのに、出された料理の美味しさに、清春は目を剥いていた。これでも舌は肥えているほうだと自負している。胡蝶の手料理を一口一口噛み締めながら、どういうわけか敗北感を覚えた。
「よほどお腹がすいてらしたんですね。完食なさるなんて」
空っぽになった器を見下ろして、更に敗北感を強める清春だった。
「まあ、清春様ったら……」
何かに気づいて、胡蝶が笑い声をあげた。その、子どものような、軽やかな笑い声に驚いて、ぽかんとして眺めていると、着物の袖からほっそりとした腕が伸びて、口の辺りを指さされる。
「口の端にご飯粒が付いていますよ」
慌てて口元を拭い、立ち上がる。
これ以上、彼女の前で醜態を晒すまいと、いそいで玄関へ向かった。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
「妾の子だから」と呑気に構えていたら、次期公爵に選ばれました
木山楽斗
恋愛
父親であるオルガント公爵が大病を患った、その知らせを聞いた妾の子のヘレーナは、いい気味であるとさえ思っていた。
自分と母を捨てた父のことなど、彼女にとっては忌むべき存在でしかなかったのだ。ただ同時にヘレーナは、多くの子がいるオルガント公爵家で後継者争いが起こることを予感していた。
ただヘレーナは、それは自分には関係がないことだと思っていた。
そもそも興味もなかったし、妾の子の中でも特に存在感もない自分にはそんな話も回ってこないだろうと考えていたのだ。
他の兄弟達も、わざわざ自分に声をかけることもない。そう考えていたヘレーナは、後継者争いを気にせず暮らすことにした。
しかしヘレーナは、オルガント公爵家の次期当主として据えられることになった。
彼の兄姉、その他兄弟達が彼女を祭り上げたのだ。
ヘレーナはそれに困惑していた。何故自分が、そう思いながらも彼女は次期当主として務めることになったのだった。
※タイトルを変更しました(旧題:「どうせ私は妾の子だから」と呑気にしていたら、何故か公爵家次期当主として据えられることになりました。)
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました
ねむ太朗
恋愛
伯爵令嬢のリリアーナは、小さい頃から、妹のエルーシアにネックレスや髪飾りなどのお気に入りの物を奪われてきた。
とうとう、婚約者のルシアンまでも妹に奪われてしまい……