赤髪探偵の事件簿

神部洸

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第一章 本当に当たる占い師

第五話 リンクする3つ

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 僕の視線が一直線に伸びていた。それはもう対象に目が空いてしまいそうなほど。

 もしこれが恋人とか、好きな人だったら素敵なんだろうな、なんて思うこともあるけど、残念ながら僕にその様な人はいない。

 僕がいま見つめているのは、「都内連続ひったくり事件」と名付けられた事件。つまり、僕が容疑者として一度誤認逮捕を受けた事件の操作資料だ。

 僕は正式な外部捜査員として準捜査権をもらい、こうして捜査資料を見せてもらっている。

 月のはじめに押上で始まってから、北千住や阿佐ヶ谷などで5日に一回程度の感覚で起こっていた。

 駄目だ……全く考えがつかない。

 僕は気分転換でもしようかと、スマホを手にとった。通知画面にネットニュースの新着記事のお知らせが来ていた。

 まあとりあえず見てみるか。そう思い記事をタップする。

特集!街で噂の占い師、出現場所をまとめてみた!

 そう大きく見出しが書かれいるこの記事は、今巷で話題となっている本当に当たる占い師が今までに出現した場所を見やすくまとめた物だった。

 ①昼間、東京ソラマチの屋外ブース
 ②夕方、JR北千住駅前
 ③深夜、原宿
 ④早朝、六本木
 ⑤昼間、阿佐ヶ谷の小さな公園
 ⑥午前中、八王子市内の路上
 ⑦正午頃、舎人公園

 押上、北千住、原宿…何処かで見た並びだぞ?

「あっ!!」

 そうだ。これ、連続ひったくり事件の現場の近くで占い師が占いをしているじゃないか。

 もしかして、この占い師がこの事件に関わっているのではないか。それから、出没する場所が事件を紐解く鍵になるんじゃないだろうか。

「河野さん。今から僕の言う事件資料を持ってきてください。」

「あぁ。なんだ?」

「今までに都内近郊で起こった連続誘拐事件の資料をすべて集めて持ってきてください。」

「でもなんでだ?」

「いいから早く!もしかすると殺人事件が起こるかもしれません。」

 殺人事件と言う単語を聞いて河野刑事の顔色が急に赤くなった。

「赤髪!!冗談でもそんなこと言うんじゃねえ!!絶対にそんなこと言うんじゃねえ!!」

「じゃあ笑い話で済ませるためにも、早くかき集めて持ってきてください!!」

 チッと河野刑事は不服そうな態度をしながら資料室へと走っていった。

 頼む。僕のこの考えが杞憂であってくれ……


 しかし、そんな僕の願いは無念にも引き裂かれてしまった。

 河野刑事が持ってきた資料の中に、僕の考えを裏付ける資料が出てきたのだ。

昭和60年連続少女誘拐事件

 この事件は、昭和60年内に8人もの小中学生の少女が同じ手口で誘拐された事件だ。

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