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第六話 悲壮の剣 前編
二
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二人は診療所から迎えが来るのを待ちながら、頼んだ団子を食べながら世間話をしていた。
そんなときだ。人混みの中から叫びながら逃げ回る女と、それを追いかける若い侍を見つけた。そしてその女は二人の目の前で、不幸にも石に躓き転んでしまったのだ。
女に追いついた男は、腰の刀に手を掛け抜刀し、天をつくように振りかぶると、女めがけて振り下ろしたのだ。この騒動に近づいてきていた野次馬たちも目を背けたが、この次に聴こえてきたのは、肉が裂ける音ではなく刀と刀がぶつかり合う高い音だった。
「女子相手に何をする。」
刀の道筋に義光を食い込ませると、政次郎はこう言った。
予期せぬ邪魔が入った男は、抜いた刀を納めもせずに踵を返して走り去った。
「よく間に合ったな、政次。それにしても女子相手に刀を抜くとは。娘さん、大丈夫かい?」
女っ気悪そうな風貌をしている綱氏が、倒れ込んでいる女を起こした。
「取りあえず、怪我をしているようなので家の診療所まで来てください。」
腰が抜けているその女は、コクリと小さく頷いた。二人で肩を担いで行こうとしたところに、中山善五郎と、政次郎の恋人・お花がやって来て、何事かと聞いて来た。事情を話した二人は、話が終わると間もなく診療所へと歩き出した。団子屋へ、担いできた薬草たちを忘れて…
そんなときだ。人混みの中から叫びながら逃げ回る女と、それを追いかける若い侍を見つけた。そしてその女は二人の目の前で、不幸にも石に躓き転んでしまったのだ。
女に追いついた男は、腰の刀に手を掛け抜刀し、天をつくように振りかぶると、女めがけて振り下ろしたのだ。この騒動に近づいてきていた野次馬たちも目を背けたが、この次に聴こえてきたのは、肉が裂ける音ではなく刀と刀がぶつかり合う高い音だった。
「女子相手に何をする。」
刀の道筋に義光を食い込ませると、政次郎はこう言った。
予期せぬ邪魔が入った男は、抜いた刀を納めもせずに踵を返して走り去った。
「よく間に合ったな、政次。それにしても女子相手に刀を抜くとは。娘さん、大丈夫かい?」
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「取りあえず、怪我をしているようなので家の診療所まで来てください。」
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