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第七話 悲壮の剣 中編
五
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政次郎がお花の実家にやって来ていた頃、中山善五郎と北条綱氏は、陽が姿を消した「たま」と名のうどん屋ヘ向かっていた。二人は店の主人と、その従者になりきっている。
店に入ると、そこそこ繁盛していることが伺われた。
「きつねうどんを2つ。」
店番の娘に頼むと、あたかも都合がついているかのように店の状況について話し合っていた。勿論そのような実態は無く、真っ赤な嘘である。まあ、ところどころ政次郎やお花と重なる所も見られたが、それを気に止めることなく話し合っていた。
「はい、お待ちどうさまです。狐2つです。」
そう言ってうどんを持ってきた娘は、陽であった。
善五郎と綱氏は気付いたが、陽は気づいていないようだ。
二人はうどんを食べ終えると、足早に診療所へと戻った。
その時、陽を襲った若侍は、土浦藩の下屋敷にいた。
「太郎。まだ奴を仕留めていないのか。」
「御家老。申し訳ありませぬ。あと一歩のところで逃げられてしまいましたが。」
「奴は、殿の命を狙い、その御命を取り損ね、お主の父上を…」
そこまで言うと男は声を止めた。
そして呼吸を整えてまた言う。
「殺したのだからな。」
店に入ると、そこそこ繁盛していることが伺われた。
「きつねうどんを2つ。」
店番の娘に頼むと、あたかも都合がついているかのように店の状況について話し合っていた。勿論そのような実態は無く、真っ赤な嘘である。まあ、ところどころ政次郎やお花と重なる所も見られたが、それを気に止めることなく話し合っていた。
「はい、お待ちどうさまです。狐2つです。」
そう言ってうどんを持ってきた娘は、陽であった。
善五郎と綱氏は気付いたが、陽は気づいていないようだ。
二人はうどんを食べ終えると、足早に診療所へと戻った。
その時、陽を襲った若侍は、土浦藩の下屋敷にいた。
「太郎。まだ奴を仕留めていないのか。」
「御家老。申し訳ありませぬ。あと一歩のところで逃げられてしまいましたが。」
「奴は、殿の命を狙い、その御命を取り損ね、お主の父上を…」
そこまで言うと男は声を止めた。
そして呼吸を整えてまた言う。
「殺したのだからな。」
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