ざまぁ戦記〜百合がアナタの秘密を薔薇して刺し上げまショウ〜

ふつかものですがヨロ

文字の大きさ
28 / 35

第28話 百合のテノールの人

しおりを挟む
 黒の楽団員が演奏の準備をしている。
 『への一番』……聴いてみたい……

「もういい! 離婚だ離婚! オレ達は終わりだ!」

「そんな……ご無体な……」

 修羅場だ、凄い修羅場の現場を見た!

「ここで離婚したら子供はどうするのですか⁉︎」

 お子さんがいらっしゃるの?

「子供など、いないではないか‼︎」

 ゴスロリ女の妄想?

「ワタクシ達……政略結婚で両家の子供を作って、今の幼い王子に嫁がせて国を牛耳ろうという計画はどうなるのですか⁉︎」

 とんだスクープだ! 国を、ペロリア国を乗っ取ろうとするとんでもないスキャンダル! スキャンダラスな人達です!

「なにを言っている! 彼らが聞いているではないか!」

 男は慌てて楽団員を指差して叫んだ。
 もう遅いです。
 悪い噂はすぐに広がるでしょう。
 私なら噂を三倍に膨らませてネットに上げます。

「もう、どうでもイイわ!」
 
 リュドミアは自暴自棄になってる。

「だいたい……肝心な子供が産まれないではないか」

 男は悔しそうに嘆いた。
 本当の離婚の原因は子供が産まれなかったせい? 

 リュドミアは両手で顔を覆い縮こまった。

「ウッ、ウッ……」

「もう、終わりだ」

 男は捨て台詞を吐きながら部屋を出ようとした所で映像は止まった。

 え~、ここで終わっちゃうの~! めっちゃどきどきしたんですけどぉ! 続きを録画予約しなくっちゃ!

 実体のリュドミアを見ると、彼女も両手で顔を隠して縮こまっていた。

 まあ、そうだよねぇ……私は彼女を少し不憫に思えた……その時!

「♪ざまぁ~!」

 映像の世界の楽団員の中から素敵な歌声が聞こえて来た。
 十五人ほどの楽団員のうしろの方から楽器を持たない男性が喉を震わせながら低音を大きな声量でビブラートを響かせていた。
 この声はバスだ。
 次に隣の男性がお腹に手を当て素敵な歌声を響かせた。

「♪ざまぁ~!」

 彼もまた素晴らしいビブラートだ。
 今度の声域はバリトンだ。
 彼らは楽団のコーラス隊なのか。

 次になんと弦楽器のコントラバスを持った男性が立ち上がり口を大きく開けた。

「♪ざまあ~~ぁ!」

 声域はテノールでも音程が乱れて……ビブラートも安定していない。
 いわゆる音痴というヤツだ。
 テノールの人がいなかったのだろう……無理矢理歌わされたみたいで可愛そう……ほら、だって顔が見る見る赤くなって行くし……
 彼はきょろきょしながら申し訳なさそうに席に座った。
 残念だ。

 これで終わり?

 部屋を出ようとした黒服の旦那が振り返って実体のリュドミアを見つめた。
 目と目が合った二人……旦那は姿勢を正してお腹に手を当て、口を開いた。

「♪僕たちはぁ~はぁ~政略結婚だけどお~ぅ~、ホントは~はぁ~~~、はぁ~~初めてえ~~会ったとぉ~き、君の事、好きになったんだ、よおぉおねぇ~~~~‼︎」

 大熱唱だ。
 なかなかの美声でびっくり。
 歌い終わった旦那は両手を広げて天井を眺めていた。
 でも見えているのは屋敷の天井ではなく、大劇場の大ホールの観客たちだ。
 彼には大ホールの舞台に立ちスポットライトを浴び、大絶賛の嵐に包まれる……そんな気分に浸っているように見えた。

「そんな……ワタクシも初めて会った時、アナタを好きになったのに……もっと早く言ってくだされば…….いえ、ワタクシがお伝えすれば……もっと、♪もっと愛しあえたのに~いぃ~~!」

 実体のリュドミアは目を潤ませながら、かつての伴侶である黒服の旦那の姿を愛おしく見つめた。
 最後には右手を旦那に差し伸べて未練を身体で表現した。
 リュドミアの想いの言葉は最後、ミュージカル風の歌になって滑稽だったけど……

 悲劇、そうこれは悲劇! お互い政略結婚だと割り切っていたのに……実は双方、愛し合っていた……もし、どちらかが胸の内を伝えていれば……ああ、でもこれが現実!

 楽団員全員が立ち上がり、実体のリュドミアの方に向いた。
 旦那も実体のリュドミアに向けて気をつけをした。
 そして……

「♪ざまぁ~~~ぁ~!!!!!!」

 フルオーケストラによる大合唱だ。
 打楽器を持った楽団員が大合唱に合わせて鳴らした。
 ドラムのロール演奏、連続打ちから始まり、シンバルも小さい音から徐々に大きくなって、その場を盛り上げる。
 そして最後に大きな一発を叩いてコンサートを締めくくった。

「イヤ、♪イッヤァ~~‼︎」

 悲鳴の大熱唱を上げるリュドミアの上空から“薔薇の棘”が落ちて来る。

「イヤ、まだアナタを観ていたいの、♪終わらないっで~ぇ~~‼︎」
 
 アンコールを求めたリュドミアに容赦なく“薔薇の棘”が刺さる。

「ワタクシの大切な想い出のメロディーが聴こえなくなる、アアア~ン!」

 …………

 カラーン! カラーン! カラーン!

 …………
 …………

 リュドミアの映像の世界が終わり、我が家の裏庭に戻った。
 リュドミアはひとり芝生の上で気を失っている。

「お嬢様! リュドミアお嬢様!」

 執事の初老ダンディーが老体に鞭打って足早に彼女の元に駆け寄った。
 辺りは日が落ち始め、夕暮れになっていた。


   ***


 リュドミアを乗せた馬車がノットリダーム村を出て寂しい荒野に来た頃には辺りはもう暗闇に包まれていた。
 馬車には二人の御者が操っている。
 御者兼護衛の二人だ。
 次の村にある宿屋までの一本道は、昼間なら見通しは良く安全であったが、夜なので馬車に付けられたランプの灯りと馬の能力に頼るしかない移動は不安しかない。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 馬車の中では執事の初老ダンディーがリュドミアを心配して気遣っている。
 ざまぁの後遺症でまだふらついていた。

「大丈夫です……久しぶりに“ざまぁ”を喰らいましたが……気持ちはスッキリしています。
 これが“ざまぁ”対戦に負けた結果なのですね……不思議な気分です……負けた方が心地イイなんて……」

 リュドミアはにこやかな表情で応えた。
 執事の初老ダンディーとはリュドミアが赤子の頃からの関係だ。

「アッ!」
「どうしました、お嬢様⁉︎」

 リュドミアの驚きに執事の初老ダンディーは老体にもかかわらず素早く反応した。
 リュドミアは荷物袋を漁ってなにかを取り出した。
 一冊の装丁が豪華な本だ。
 表紙には『私の予言書』と書かれてあった。

「ソウです! ワタクシがここに来た真の目的です!」

 リュドミアはその本を大事そうに胸に抱きしめた。

「ワタクシの愛読書『私の預言書』の著者の大預言者、ノセタラ・ダマスの末裔のマアガレット・リボンヌにサインをおねだりするのが本来の目的だったわ!
 モウ、一番大切な事を忘れてしまうなんて……これから引き返す事は……ダメよね……」

 上目使いで執事の初老ダンディーを見つめて懇願した。
 
「お嬢様……」

 三十代であったがフリフリの可愛いゴスロリファッションのリュドミアの姿は、初老のダンディーには昔の幼い少女そのままに見えた。

 “ヒヒーン!”

 馬がなにかに反応して進行を止めた。

「何事ですか⁉︎」

 執事の初老ダンディーが馬車の小窓を開けて、御者に向かって叫んだ。

「分かりません! いや、前になにか⁉︎」

 リュドミアも反対側の小窓を開けて前方を見渡した。
 道の先の方に確かに違和感が……
 いや、違和感しかない、直径二メートルくらいの丸い円形の空間が渦を巻いてそこに存在している。
 暗闇なのに黒い渦がハッキリと見えるのもおかしい。

「な、なんですの?」

 リュドミアが馬車のドアを開こうとした。

「お嬢様! おやめください、ワタシ共が様子を見て参ります。
 お嬢様はお隠れになってください」

 そう言ってリュドミアに毛布をかけた。

「二人とも、様子を探ってくれ!」

 執事の初老ダンディーは御者兼護衛の二人に調べるよう指図した。

 馬車から降りた二人は剣を身構えて違和感のある空間に近付いた。

「……ざまあ、ざまぁ」

 空間の奥から女性の声で聞いたことのある台詞が流れてきた。

「ギャッ!」
「グワッ!」

 二人の護衛の苦痛の声と共に鐘の音、チャームの鳴り響く音が聞こえた。

「これは、ざまぁ!」

 執事の初老ダンディーが確認するために馬車から降りた。
 御者兼護衛の二人のざまぁな世界に興味があるのではなく、相手のざまぁの力を見極めようと近付いたのだ。

 今まで聞いた事のない事例だった。
 ひとりの人間が二人のざまぁを同時に出現させる事など、彼は聞いた事がない。
 二人のざまぁの世界が始まるのか、二人それぞれの近くが明るくなり、それぞれの世界が形作られていく。

 それと同時に黒い渦の空間から女性の両腕が現れ、両手の手のひらでなにかを握り潰すポーズをした。
 その瞬間、二人のざまぁの世界が消え、夜の暗闇に戻った。
 御者兼護衛の二人はその場で倒れた。

「なんてこったい!」

 二人のざまぁの世界が消された⁉︎
 執事の初老ダンディーは初めて見るケースで狼狽したが、初老ゆえ推測できた。
 あの手で二人のざまぁの世界を握り潰したと。
 この技も見た事も聞いた事もない。

 黒い渦から伸ばしていた両腕は、さらに伸びて本体、身体が現れはじめた。
 それは全身黒いローブで覆い隠されていたが、ウエストの細さやチラリと見せる脚部から、やはり女性であるのは間違いない。
 そして夜なのに姿形や色の黒さがハッキリ分かる。

「アナタ、何者ですか?」

 いつの間にかリュドミアが馬車から降りて、初老ダンディーの隣に来ていた。

「き、危険です、リュドミア様!」

 リュドミアは初老ダンディーが自分を庇うのを制して、さらに黒いローブの女性に近付いた。

「……リュドミア・ゴスロリスキー……アナタの技……“爽やか風だわ”……大変気に入りました。
 ざまぁの心の力をほとんど使わず……何度も使用可能な所は素晴らしいです……」

 そう言いながら黒いローブの女性は右手をリュドミアに向けて、例の言葉を吐いた。

「ざまぁ」

 いきなりの“ざまぁ”に驚きはしたが戦闘態勢のリュドミアはすぐ回避する技を使う事が出来た。

「爽やかな風だわ」

 あいもかわらず髪をかき上げる姿はとても爽やかなリュドミア。

「……見ました……アナタの技……」

 黒いローブの女性は両腕をリュドミアに向けた。

「……“先刻次第のざまぁ”……“時を駆けるざまぁ”……」

「ナッ⁉︎」
「ナントー⁉︎」

 リュドミアと初老ダンディーは驚きの声を隠せない。
 間を置かず同時に二つの技を使用するのも初めて見た。
 いや、それ以上の……二つのざまぁの技を掛け合わしたのだ。
 技の研究をして、多くの技を知っている二人にとってすべてが非常識なざまぁの技だ。

「イ、イヤッ!」
「ナントー!」

 なんと、その二つのざまぁの技を黒いローブの女性は自分に向けて掛けたのだ。
 彼女の両腕が見る見る老けてシワシワでカサカサの乾燥状態に、終いには皮膚が黒くなり朽ち果てようと剥がれ始めているではないか。
 死臭が漂うのではないかと思われたその手前で進行が止まった。

「……思いの外……時が進みましたね……ワタシには結婚も離婚も……経験がありませんから……理解するのに……時間が掛かりました……
 アナタのざまぁの心をワタシのざまぁの心に理解させないと……他人の技は使えませんので」

 説明をしている間に彼女の皮膚は元に戻って行き、若く張りのある皮膚まで戻った。

「アナタの“爽やかな風だわ”……いただきました」

「なんですって!」

 ゴスロリスキー一族が何年にも渡って編み出した技が、一分足らずでコピーされた?
 そんな事はありえない!
 リュドミアの額から大粒の汗が流れた。

「サア、ワタシに“ざまぁ”で攻撃してください……
 さもしないとワタシが“ざまぁ”でアナタの秘密をバラしてしまいますよ」

 黒いローブの女性はリュドミアに向かって挑発を仕掛けた。
 彼女の肌は初めに見た時よりも若返って見える。
 たどたどしかった言葉も普通になって来てる。

「クッ!」

 簡単に挑発には乗れない、相手がどんな技を使うのか分からないのだから。 
 リュドミアは相手がかなり危険であるか、肌で感じ取っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
戦国時代に転生した先は、豊臣秀吉の弟にして名宰相――豊臣秀長の息子だった。 現代では中世近世史を研究する大学講師。 史実では、秀長は早逝し、豊臣政権は崩壊、徳川の時代と鎖国が訪れる。 ならば変える。 剣でも戦でもない。 政治と制度、国家設計によって。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川の台頭を防ぎ、 戦国の終わりを「戦勝」ではなく「国家の完成」にする。 これは、武将ではなく制度設計者として天下を取る男の物語。 戦国転生×内政改革×豊臣政権完成譚。 (2月15日記) 連載をより良い形で続けるため、更新頻度を週5回とさせていただきます。 一話ごとの完成度を高めてお届けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (当面、月、水、金、土、日の更新)

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...