24 / 31
7歳
おこられたくない
しおりを挟む緊張なんかしてないぞ緊張なんか……でも、まぁあ、とりあえず深呼吸深呼吸っ……
「……はーーーーー…ふーーーーー」
ダイニングルームの扉の前でかれこれ五分くらい入るか迷っている。…勇気が出ないのだ。
そりゃ怒られるって分かってるのに誰が行くっての。
…けどこのままじゃ誰かが探しに来る。
近くにメイドさんがたまに通るのだが忙しそうに足早に通り過ぎて行く。
隣にある観葉植物と変わらない背丈の優なので馴染んでいるのだろう。誰も気づかない。というかそれ以上に忙しそうだ。美紅さんも何故か先に行ってたし、なにかあるのだろうか…?
ああ、そんなのはどうでもいいんだ。重要なのは今!俺の軟禁がかかってるんだぞ!
……と思っているのだが何度この小さな頭を回転させても何も思いつかない。
…………もういいや。もう諦めたよ!
ぐっばい俺の1週間!
目の前のドアノブに手をかけ重い扉をゆっくりと開ける。
「……父様、母様、兄様、姉様…おはようございますっ!」
「………………」
無言に恐怖を感じながらも下げていた頭を恐る恐る上げる。
みんなが優をみてる。
「…はぁ」
誰かのため息にビクッと体が揺れる。
……呆れられたかな…?寝れなかったのは不可抗力だが、その後本を読み夜更かししてこんな隈が出来ているのだ。もうバカでしかない。
なんだか悲しくなってみんなの視線から逃れるように下を向いて手を握る。
そうしてるうちに視界が水で歪んできた。
そんなとき、下を向いている俺の頬に手の暖かい温もりを感じた。
「優ちゃん」
…お母様…
「顔色も悪いし隈も凄いし目も充血してるわ…可哀想に…。ご飯を食べたらゆっくり休みなさい。当然完全に回復するまで休むのよ?」
頬を撫でるお母様の手はとても気持ちがいい。
「……ぇ。おかあさまっ…ひくっ…おこらないのれすかっ……」
「確かに凄く心配したけれど、男の子だもん!そんなことあるわよ。直哉だって月都も寿人も同じようなことがあったわ…クスッ…ほら泣かないで。」
お母様は俺を抱っこして背中を撫でてくれた。
「うん。僕達も優に本を上げ過ぎたしね…僕達のせいでもあるってこと。だから泣き顔も可愛いけど今はみんなの前だから早く泣きやもう?……泣くのは僕の前だけだよ」
最後の一行には触れないようにしよう。
うん。つきとにいさまこわい
「そうだね、次からは考えて本を渡さなきゃな。優、美紅さんに聞いて沢山心配したよ。もうそんな顔になるまで夜更かしはしないでね?」
いつもより少し怒った顔で父様は言った。
「あいっ…とーたま……ぐずっ。みんなごめん…さい」
パンっ
「はいっ!これで終わり!こんな可愛い優はもう誰も怒れないわ。ご飯にしましょう!」
ーーーーーーーーーーーーー
姉様の合図で無事に朝ご飯の時間が始まった。
俺は涙をふいて食事を始める。
ああ、泣きすぎて目が熱い……
多分今の俺はものすごくブスだ。
今すぐにでも部屋に帰りたいくらい恥ずかしい……
さ!ご飯ご飯。今日の朝ご飯はパンとサラダとコンスープ。
みんなはお肉とかを食べているけれど俺はやっぱり少なめの特別メニュー。そんなに食べれないからありがたい。
このコンスープめっちゃうまい!
「優、おいし?」
「はい!姉様!」
隣に居る姉様は嬉しそうに笑って俺の頭を撫でる。
撫でられるのもどんどん慣れてきてなんも感じなくなる所か、とても気持ちよくて手に頭を擦り付ける。
「……可愛すぎるわね…………姉様心配だわ…………」
ご飯に夢中な俺はそんな姉様の独り言に気づかない。
「ねぇ、今お父様はどこにいるのかしら」
なかなか来ないから心配だわ。
と母様が近くにいたメイドさんに話しかけた。
そうだ
何か忘れてるなぁって思ってたらお爺様か。さっきは違う事で頭がいっぱいだったから気づかなかった
「一成様はお庭で朝食を食べられて、後に散歩されております。」
「…………分かったわ。ありがとう」
……?少し暗くなった母様の顔。
どうしたのだろう。
「母様、大丈夫ですか……?」
「…………大丈夫よ、ありがとう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ではまた何かありましたらお呼びください。」
バタンとしまった扉を無で見続ける。
……
…………
「……あっぼーっとしてた」
さっきの母様の顔が頭から離れない。
とても悲しそうな顔。
大丈夫かな……?
トントン
?美紅さん?
「優、入ってもいいか?」
……お爺様?!
「は、はい!」
直ぐに座っていた椅子を下りてドアへと向かう。
ガチャ
開いた扉の先には昨日とは少し違ったお爺様が居た。
ジーンズのパンツにワイシャツを入れて1番上のボタンを開け、袖を捲っている。とてもラフな感じだが、ものすごく似合っている。
……かっこいい。
だ、だめだ。顔が整いすぎていてキュンとしてしまった……俺はおじ専か?!
「……優?」
「あ、はい!おはようございます、お爺様!」
「あぁ。おはよう優」
わっ……
笑った顔が母様にそっくりだ。
「凄く顔色が悪いが、大丈夫なのか?」
「は、はい!寝不足なだけです!」
「そうか……それはきちんと寝なければな……優の体調がよくなったら…………」
「俺と庭に散歩に行かないかい?」
145
あなたにおすすめの小説
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる