現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

文字の大きさ
34 / 65
第1章 本章

第19話 いざ、異世界へ・後編

しおりを挟む
 チャップさんに、訓練場まで案内される事となった。

 途中、訓練用の防具の着用を勧められ、控室で着替えてから訓練場に向かうと、数人の兵士の恰好をした人と、森繁さんがいた。兵士の方は付き添いの護衛かな? 森繁さんも、訓練用の防具を付けている。チャップさんは案内が終わると退場していった。

「お、来た来た。中島君」

「本日はよろしくお願いします」

 どんなことでも先ずは礼から始まる。森繁さんが説明を始めた。と、ここではお師匠様と呼ばないといけないらしい。

「先ずは、棒術をもちいての、近接格闘訓練から始めます。基礎的な事ですが、攻撃の攻め、守りを感覚で学んで貰います。攻撃の型、守りの型。先ずはこれを練習していきましょう。準備運動をしてからね。」

 本格的な戦闘訓練が始まった。本当に本格的だ。

 私は教わった通りに訓練を続ける。無心に、体を動かし続ける。

 基礎となる型の練習、休憩、練習、休憩というルーチンワークだ。
 一つ一つの所作が、大事なんだと言う。

 気づけば結構な時間が立っていたらしい。
 今日の訓練の最後は、森繁さ…否、お師匠様自身の手ほどきによる、攻防訓練だ。

 お師匠様が攻め、私が受けを行う。教わった型を反射的にこなせるか、実戦形式となる。

 結果、半分は受けに成功し、半分は防御に失敗してしまった。

「お疲れさまです。師匠」

「お疲れさま。中島君。初めての経験だったかもしれないけど、これがきっと中島君の“気づき”なるはず。続きはまた明日ね」

 これにて本日の訓練はお終い。防具越しでも意外と打ち付けられたところに痛みを感じる。

 はて、そういえば怪我でない場合でも治癒のカルマは発動してくれるのだろうか。

 あ、治った。

 そういえば、今までは怪我をしてからカルマを発動していた……。
 もしかして、先に治癒のカルマを発動しておけば痛みを感じることなく損傷を回復できるのかも。
 次、試してみよう。

 そうか、これが新しい“気づき”か。
 戦う事を覚えるという事は、今まで知らなかった事を学ぶ。
 今まで知らなかった事を学ぶと、更に見えていなかった部分にも気づくことができる。
 “初心忘れるべからず”とはよく言ったものだ。社会人として働いていた時だって、似たようなことがあったはずなのに。

 客室に戻りながら考え事をしていると、チャップさんがやってきた。

「中島様。お疲れさまでございました。これをお渡しします」

「首掛け用のペンダント……?」

「この世界、この国の言語を理解、話せるようになる魔道具でございます。」

「そんなものがあるんですね。チャップさんは日本語を話せるのもこの魔道具のおかげですか?」

「いえ、私は学習によって話せるようになっておりますが、城におります一部の者を除いて、ほとんどの人間は異世界の言語を話せないのでございます」

 (※チャップさん視点だと中島の世界のほうが異世界となる)

「あ、なるほど。そうだったんですね。分かりました。ありがたくお借りいたします」

「どうぞお使いくださいませ。それと、城の外。街に出る際は声をおかけください。その魔道具があれば、私以外の城の者とも話すことができます故。もし、お出かけになる際は日が暮れる前にはお戻りくださいませ」

「分かりました。とりあえず部屋で一休みして考えたいと思います」

 自室に戻ってきた私は、これから何をするべきか、考える事にした。
 とりあえず……。行ってみるか。明日も鍛錬はあるから、遅くまではかからないように…。

 私は、身支度を整えて部屋の外にいる人に声をかけた。
 おっと、ペンダントペンダント……。

「すみません。街に出てみたいのですが。よろしいですか?」

「畏まりました。付き添いの者をお呼びいたしますので、お待ちください」

 おお、言葉が通じた。これは便利だ。無くさないようにしないと……。
 
 少し待っていると、付き添いの人が来た。おや、女性の兵士の方だ。軽装な恰好をしている。

「中島様ですね。お待たせしました。リンと申します」

「ああ。よろしくお願いします。分からない事ばかりなので」

「心得ております。もう出発されますか? そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ」

「あ、分かりました。ゴホン……。そうしようと思うのでお願いできるかな?」

「では、こちらについてきてください。移動に関しては、乗り物などもございますが」

「いや、徒歩で歩いてみたい」

「畏まりました。それと、中島様。その言語が話せるペンダントは、貴重品なので、街中では首元が見えないようにしておいてください。トラブルの元ですので」

「そ、そうなのか…。了解です」

 リンに案内されるまま城の中を歩いて行く。そもそもお城の中でさえ広大で、一人だと迷いそうだ。
 リンの先導について行き、この国の事や、街についても説明を受けながら移動していたところで、お城の正門が見えてきた。正門をくぐり、街のほうまで歩いて移動を続ける。これだけでも結構な距離を歩いている。
 商店街、宿屋、町役場や、冒険者ギルド。様々な場所を教えて貰った。
 今日は地理を覚えるのがしゅとなるため、建物の利用などは後日に……。

 街の広場までやってくると、人だかりが出来ていた。
 おや? 何かのお祭りかな? リンに聞いてみた。

「あれは…。何かの売買イベントですね。よくある事です。人だかりが多いので、迂回してお城まで戻りましょう。もうすぐ日が暮れます」

「分かった。再びお城まで案内頼むよ」

「心得ております」

 こうして、初日は何事もなく無事にお城まで戻ってきた私は、明日に備えて休むことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

処理中です...