現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第23話 異世界五日目・前編

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 異世界に来て五日目の朝を迎える。今日はいつもとは違う一日になる。

 昨日、お城に帰って来てから、リンがチャップさんに冒険者登録した事について話してくれていた。

 お師匠様(森繁さん)にもその話は通っており、朝、顔を合わせた時に『訓練の一環として、何事も経験ね』と言われた。
 
 身支度を整えてると、チャップさんが防具と武器を提供してくれた。ありがたく使わせて頂く。

 リンと一緒にお城を出発する。

「中島様。では、行きましょうか」

「あー。敬語じゃなくても大丈夫だよ。色々教えて貰う事もあるだろうし」

「で、では。ラ、ライチャスネスさん。行きましょう!」

 ……。

「あ。俺か!」

 すっかり忘れてた。

「そうですよ。昨日決めたじゃないですかっ。どちらで呼びます?」

「う~ん。じゃあ、お城の外では、ライチャスネスで読んでもらおうかな。分かりづらいかもだけど…」

「分かりました。では……ゴホン」

 リンは気を取り直した。

「ライチャスネスさん。行きましょう! 冒険の依頼をこなしに!」

「行こう!」

 なんとも楽しい旅立ちである。いや、旅に立つわけでは無いけども……。

 リンに先導してもらい、街の郊外まで移動していく。
 この街。王都とも言えるこの城下町は、本当に広い……。

 移動だけで1時間以上かかってしまった。次からは、馬とかの移動手段を借りたほうがいいかな。

 でも、リン曰く最初の依頼ということで、難易度の低い依頼を受注したため、達成報酬と移動の為に馬を借りるお金を天秤にかけると……、収支がマイナスになってしまうのだそうだ。

 なるほど、これが“冒険者的考え方”か。

 こういう依頼書は人気が無いと教えてもらった。

 簡単にこなせる依頼ではある。が、いくら王都の冒険者ギルドに掲示された依頼と言えど、場所は郊外。元からその辺に住んでいる冒険者ならば話は別だが、移動費と報酬を考えると“そういった依頼”を受ける人は少ないんだそうだ。

 リンに冒険者としての考え方を教わる。これもまた新しい経験と“気づき”に繋がる…か。

 街の郊外に到着し、依頼主が住んでいる農家を訪れる。
 リンが家のドアを手でコンコンと叩き、家主に呼びかける。

「はい? どちらさまでしょう?」

 ドアが開いた。中から農家の人と思われる50代くらいの女性が出てきた。

「冒険者ギルドの依頼を受けて来た者です」

「まぁ~。それはありがたいわぁ」

 リンが自己紹介を始める。

「リンと申します」

「私はライチャスネスと申します」

「私はここで農家を営んでいるバーナンスっていうの。よろしくね」

 元気な女性の方だ。笑顔がとても素敵である。

「お元気ですね。さっそくですが、お話をうかがっても?」

「ええ。それじゃあ、畑に案内するわねぇ」

 バーナンスさんに案内され、家の裏の畑の方までついて行くと……。

 目の前には、瑞々みずみずしいほどの緑が広がっていた。野菜畑だ。

「これは……立派ですね」

 思わず私は口を開けてしまった。

「あら、ウフフ。ありがとね。でも最近、困ったことになっていてねぇ」

 その事を聞いたリンが問いかける。

「【農作物を荒らす魔物】ですね」

「そうなのよ。昼間とかはね? 起きているから、奴らが来ても棒で追っ払えるんだけど…。どーも、夜中にも現れるみたいなのよねえ。」

「夜中ですか」

 リンの返答にこくりと頷き、話を続けるバーナンスさん。

「最初は頑張って夜中も起きていたんだけど……。ほら、やっぱりずっと起きていられなくて、体力的にもキツイし。ねぇ」

「なるほど。話は大体分かりました。とにかく、その魔物を二度とここに近づけないようにするか、倒してしまうかすればいいんですね」

「そう。お願いできるかしら?」

 リンが自信満々に答えを返す。私も笑顔でそれに合わせる。

「お任せください。依頼を受けた以上、頑張ってみます」

 その後、バーナンスさんから詳細を聞くと、魔物の大きさは平均的な人の半分くらいの身長がある。足が四本の、動物に近い見た目をしていると言っていた。

 とりあえず、畑の周りを警戒しながら、リンに質問をする。

「リンはその魔物。見た事あるの?」

「そうね…。この王都付近では珍しいかも…。でも、私が昔、冒険者をしていた時は、別の地域によく現れていたわ。確か名前は…、チューニズとか呼ばれていたはず」

 チューニズ……。どんな魔物だろう?

「大きさに比べて1匹1匹は大したことないわ。バーナンスさんも棒で追っ払うくらいだし」

「1匹1匹っていうことは……。複数いるんだね?」

 リンはこくりと頷いた。

「まぁ、実際目で見たほうがはや……。って、さっそくいたわね……」

 リンが目線を向けるほうに目をやると、説明された通りの、茶色の動く動物が畑に侵入していた。
 一匹しか見えない…が、複数いるっていう話だしな。

「リン。こういう時どうすればいいかな?」

「うーん。普通なら、何匹いるのか確認してから駆除を開始するのが良いんだけれども」

「例えば、追いかけるとどうなる?」

「逃げるわね。足が速いわよ。でも、複数の数が集まっている状態だったりすると、攻撃もしてくるから。危険もあるわ」

「もしかして、昼間は畑に侵入するからバーナンスさんが追っ払っても、バーナンスさんはだったのかな?」

「たぶん。そういうことね…。そういえば、ライチャスネスは足が速くなる能力を持っているんでしたね」

「ああ。疾走しっそうのカルマっていう技なんだけど、たぶん、普通の動物よりは速い自信がある」

「不思議な能力……。っと会話を続けている場合じゃなかったわね。幸い、この距離だと向うもこちらに気づいてはいるけど、まだ警戒はしていない」

「じゃあ……。手っ取り早く追いかけてみますか」

「そうね。逃げるうちに他の群れの仲間に合流するはずだから、そこを一網打尽に叩きましょう。私は後から追いかけるから、ライチャスネスが先行よろしくっ」

「分かった。やる事が単純なら…先ずはやってみよう」

 私はお城を出るときにチャップさんからもらった棒術用の武器。六尺棒ろくしゃくぼうを構え、チューニズとかいう魔物に向かって行くことにした。
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