現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第27話 防衛戦・前編

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 無事に町まで戻ってきたライチャスネス一行いっこう。町長に偵察の結果を報告した彼らは、町長の計らいで宿屋を無償で借りられることになり、それぞれは一旦休憩を取る。

 ライチャスネスの武器と防具は、戦闘でボロボロになってしまったので、朝方に支給してくれると町長からご厚意を受けることになった。

 時刻は既に深夜を回っている。

 ライチャスネスは宿屋で疲れを癒し、ゴブリンの襲撃がいつあっても良いように、宿屋の広間で一人、ソファーに座りながら夜を明かそうとしていた。


 誰かが歩いてくる音が聞こえる。通路から現れた人影に目をやる。リンだ。
 リンは壁に寄りかかりながら心配そうに声を掛けてきた。

「ねぇ。ライチャスネス。ゴブリンは動く気配は無いんでしょう? 町の城壁にも見張りをしてくれている人はいるし、昼間に備えて今のうちにちゃんと寝ておいたらどうかしら?」

「ははっ。そういうリンこそ、起きているじゃないか」

「それは……まぁ」

 私の茶化すような返しに困り果てるリン。

「ま、寝れねぇのはお前さんだけじゃねぇってことだ」

 リンの後ろからスタークが顔を出した。

「スタークも起きてたの?」

 リンは驚いた。

「だけと思った? フフ」

「シッチーまで…。結局みんな起きてるのね」

「どうでぇ、宿屋の主人に貰ったんだ。少し飲まねぇか?」

 スタークは、上等そうなお酒をテーブルの上に置いた。
 シティリアが、あきれ顔になる。

「スタークったら……、そんな良いお酒……」

「なんだよ。酒は嫌いだったけか?」

 ため息をつき、広間から立ち去るシティリア。

「そんな訳ないでしょ。ちょっと調理室からグラスを借りてくるわ」

 スタークがリンに声を掛ける。

「そんな所で突っ立ってないで、リンもこっち来て座れよ」

「あ~~、もう。パーティーリーダーは誰だと思ってるの? 寝なさいって言ったのに……。命令無視して、みんな夜更かしして……」

 スタークが笑いだす。

「『スタークがリーダーの方が良かった』とか何とか言ってたのは誰だったけか?」

「それとこれとは別でしょっ」

 リンはむくれ顔になり、腕を組みながら勢いよくソファーに座る。

 丁度、グラスを4人分持ってきたシティリアが合流する。
 私たちは、お互いにお酒をそそぎあい、乾杯をする。

 その一口目を口にした瞬間、濃厚な味わいがじんわりと口に広がっていく。
 美味い……。だが、この美味しさは、お酒だけのせいじゃない気がした。

「うめぇな……」

 スタークは染み渡る様に、お酒をたしなむ。私もそれに釣られて相槌を打つ。
 きっと、ここにいるメンバーだからこそ、一緒に飲むお酒が美味しいと言えるのだ。

 リンが一言だけ言葉を発した。

「誰も、死んじゃだめよ」

 否定する者はいない。沈黙が答えだった。

 各自がグラスに注がれたお酒を飲み終える頃、リンの号令で、それぞれはてがわれた部屋に戻る。
 私はベッドにくるまりながら、追跡のカルマでビッグ・ゴブリンに意識を集中するが、朝まであの場所から動く気配は無かった。

 朝早く目が覚める。睡眠は充分とは言えない。寝ないよりはマシだった。
 私たちは宿屋で朝食を取った後、町長がいる町役場へ集合する。
 そこには、町長さんの他に町の防衛隊の隊長も一緒にいたので、私たちは自己紹介も含めて挨拶を交わす。

 挨拶が済んだ後、リンは町長に声を掛ける。

「今頃、王都では伝書バトの伝令も行き渡っているはずです」

 町長は頷く。

「うむ……。あとは、王都からの援軍が来るまで耐えきるだけですな」

 スタークが防衛隊長に質問する。

「隊長さんよ。町の防衛力はどれくらい持つと思う?」

「報告してくれた【ビッグ・ゴブリン】さえいなければ、我々の戦力だけでも夜まで持ちこたえられるはずですが……」

 シティリアが考えながら会話に参加する。

「援軍が来るとして。って事よね……」

 リンも腕を組みながら悩んでいる。

「ゴブリン・ソーサラーの存在も忘れてはいけないわね……。ま、一番良いのは、援軍が来るまでゴブリンたちが大人しくしてくれればいいんだけど」

「そう願うがな。やはり昨日話した通り、その2体だけは、うちらで対処に当たるしかねぇかもな」

 スタークが覚悟を決めた顔をしている。

 現状、敵を事前に察知できる方法は3種類。
 私の追跡のカルマで【ビッグ・ゴブリンの位置】を補足している事。
 シティリアの探知魔法で【魔道具を持っているゴブリンの位置】がある程度分かる。
 シティリアの魔力感知で【近距離ならばゴブリン・ソーサラー等】の魔法系ゴブリンを感知できる。

 話し込んでいる所に、防衛隊長さんから声を掛けられる。

「ライチャスネスさん。話は伺っております。隊の予備品で良ければ、差し上げます」

 ご厚意に頭が下がる。

「すみません。では、甘えさせていただきます」

 私は隊長さんの後について行き、城壁の傍の武器庫へ案内される。
 皆は、森に近い城壁の上で待機する事になった。

「ライチャスネスさんは…棒術をお使いになられるんでしたね? でしたら、コレを」

 私は隊長さんから六尺棒を受け取り、皆と合流して城壁の上で待機する。

 その時、追跡のカルマで監視していたビッグ・ゴブリンに動きがあった。

「みんな! ビッグ・ゴブリンがこっちに近づいてきている」

 私は、その様子を口頭こうとうで伝える――。
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