現実世界のカルマ ~『行為としての結果』が私の能力となる。転生しなかった代わりに神様から貰ったこの力でお助けマンを頑張ります~

行進12番

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第1章 本章

第30話 棚からぼたもち・前編

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 シティリアは本の続きを読んでいる。最初は気づかなかったが、その古い本の保存状態は外見そとみとは裏腹に非常に悪く、本来であればページを開いただけで破れてしまうかのような、とても粗末には扱えない代物であった。
 どうやら、中身の状態を保つために表紙だけは別のものになっていたと予測される。その表紙ですら古いのだが、もしもそのまま横の新しい本を引き抜いていたら、本の中身を損傷させていたかもしれない。

 本を集中して読んでいるシティリアに、ライチャスネスは声をかける。

「まさか本の中身が、外観より更に古いものだったとは……」

 本から目線を外さずにシティリアは答える。

「私もそういう本だとは思わなかったし、普通の古い本という認識でしかなかったわ」

「ところで、どんな内容か聞いても? “異物についての研究を記録した本”と、さっき言っていたが……」

「ええと、そうね……。虫食いで読めない所もあるけれど、“魔法のような効果を表す性質を持つ種類の異物”について説明が書かれているわ。それから……、“異能力を発動する性質を持つ種類”ここはよく読めないわね。あとは“装置としての役目を持つ種類の異物”と言った所かしら。読んだ範囲ではね」

 これは……。

「もしかして、ものすごく貴重な本なんじゃ……」

「そうね、貴重だわ。とりあえず分かる事は、この本の持ち主は、ここに住んでいた高齢の魔導士の物ではなさそうという事。恐らく、その魔導士さんは、本の状態を保つために表紙だけ取り換えたんじゃないかしら?」

 ふむ、それなら魔導士さんもこの本を読むのに苦労していたんだろう。
 あれ、待てよ? ということは……。

「なぁシティリア。その本、複写した資料とかは無いのかな?」

 シティリアは、はっと気づいたような表情を浮かべる。

「そうか――、そうよね。うん、その可能性はあるわね。しかし……本題の、ライチャスネスの勉強の時間を削ってしまって申し訳ないわね」

「そういう事もあるさ。気にしてはいない」

「フフッ、なんだか悪いわね」

 そういえば、この世界の人たちは異物についてどの程度認知しているのだろうか? シティリアは知っていたようだが、この本の事を村瀬さんに話しても良いのだろうか?

「ところで、シティリアは異物についてどれくらい詳しいんだい?」

 少し考えこむ表情を見せ、シティリアは答える。

「ん? そうね。私は一般的に出回っていない物と認識はしているけれど、その存在自体を知っている人はそれなりにいる感じかしら。逆にその口ぶりだと、ライチャスネスも異物の事を知っているのね?」

「あー。まぁ、最低限の事くらいしか知らないんだけれど……」

 うーん、どこまで話していいのか。いや、シティリアは誰彼構わず言うような人ではない。

「ライチャスネス? 顔に出てるわよ。今、まさに『悩んでます』って。何か言いたいことがあるんでしょう?」

「ははっ。シティリアには隠し事は出来そうにないな」

「というより、そんな顔してたら誰でも気づくわよ。で、“異物について”何を悩んでいたの?」

「そうだな……。先ず、驚かないで欲しいんだが、私はこの世界の人間ではない。異世界から来た人間なんだ」

 シティリアは顎に手を当てて答える。

「なるほど、それで“お城に住んでいる”ってわけね。語学を覚えたいというのも納得だわ」

「あれ、あんまり驚かないんだな?」

「そりゃあ、世の中には不思議な事が沢山ありますからね。それに、これでも魔導士の端くれ。知識を深める研鑽を欠かす事は無いわ」

 ご立派。

「説明を続けよう。それで、どういう経路かは分からないんだが、シティリアの住んでいるこっちの世界から私の世界に異物が現れて出現するらしいんだ。その異物を回収する人たちがいて――」

「それが、お城の関係者。軍神・フロウ様とかっていう話ね?」

 シティリアはやっぱり心が読めるのではないか?

「あー……。説明は不要のようだね。なんでわかったんだい?」

「隣町の防衛戦の時、親しそうに紹介してくれたじゃない? あれだけで何かあるってわかるわね」

 説明口調でシティリアは話を続ける。

「フロウ様含め、その異物を回収する任を担っている人たちに、この“異物についての研究を記録した本”の事を話すかどうかを悩んでいた。と――」

 私は肯定する。

「そういう事さ。私も異物回収の任をお手伝い……。いや、関わらさせてもらっている身さ」

「じゃあ。この本を持って明日、お城へ行きましょう。それと、後で複製本があるかどうかも調べておくわね」

「む? 良いのか?」

「ええ、楽しそうなお話を聞かせてくれたお礼よ。さて、まだ寝るには時間もあるわ。本題の、語学の勉強ももう少し続けましょう」

「分かった。ゴホン……。では、お願いします。シティリア先生」

 その後、私は勉強の続きを行いつつ、合間を見てシティリアは本棚から複製本が無いかを探す。すると、やはり複写本が見つかったのである。魔導士の遺品の本が羅列している棚の所に、挟まっていたようだ。
 そんなこんなで夜も遅くなり、一日が終わる。今日はシティリア宅に泊まらせてもらう事にはなっていたが、決してやましい気持ちなどは無い。既に冒険を共にした仲間だしな。私はソファーをお借りして、そこで就寝した。
 
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