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これぞ王道? 眼鏡転校生が現れました
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「いっつぅ」
「昨日はお盛んだったんですね~! そんな首元まできっちりかっちりボタンしめちゃうほど! きゃ~!」
「うっせぇぞ。この浮かれ腐男子が」
昼休み。僕は腰を手で抑えながら、クリームパンを齧ります。クリームパンの甘さに少しだけ心が幸せになりますが、ぶっちゃけ腰の辛さがはんぱねえです。ケツの方も、これもう切れたんじゃないかと心配になるほど痛いです。それもこれも、あの悪魔の様な男のせいです。
何が気に入らなかったのか、皇君は僕をいつも以上にぞんざいに扱いました。クリームパンはあの男のなけなしの優しさだったかと思いますが、パン一個で許せるほどの仕打ちではありません。本当にヤり殺されるかと思いました。しかも、いくら真冬とはいえ首元すれすれまで痕をつけまくりやがって! 今日が体育だったらどうすんだ!
なけなしの優しさのセットである桃ジュース缶を掴み、ガラガラに枯れている喉を潤す様にそれを一気に飲み干すと、急に教室のドア近辺が騒がしくなりました。ん? どうしました?
「騒がしいですね。ちょっと僕、見てきますね」
碌に立てない僕の代わりに、坂本君がそちらへ様子を見に行ってくれました。僕としてはそんなに騒ぎに関心はないのですが、この一人きりの間にクリームパンを楽しみましょう。購買の物とは思えない程、ここのクリームパンは美味しいのです。んま~。
二口分を堪能したところで、急に僕の前にバタバタと騒がしく戻って来た坂本君。どうしました? 何やら血相を変えていますが。
「君、何をしでかしたんですか?」
「へ?」
「いま……今、すぐそこに。例の金髪転校生がやって来ていて……」
「金髪転校生?」
「君をご指名です」
「ふえ?」
言っている意味がわからない。僕はぽかんと口を開けたまま、坂本君に首を傾げると、ふと自分の前に影が落ちました。くるりとそちらへ視線をやると、すごく高い位置からどこかで見た事のある金髪男子生徒が僕を見下ろしていました。って、でかっ!? しかもめっちゃ恰好いい!
え? 僕、金髪で知ってる生徒はあの不良バージョンの皇君くらいなのですが、その彼よりもでかい金髪男子生徒(その上イケメン! でも何故か寝むそうな顔)なんて知り合いにいないです。そ、それにこの人、何やら怪我をしています。最近のものなのか、頬に冷却シートを貼っていて、口端も赤黒く切れています。何々? 喧嘩? 喧嘩ですか? 本当に知りませんよ! こんな不良さん!
「ねえ、アンタがヘーボン君?」
「ふあっ!? はいい!」
思わず席から立ち上がり、直立してしまいました。腰の痛さ? ばっきゃろう! 命の方が大事じゃ!
カチンコチンに固まった僕。それでも彼との身長差は十センチ以上は裕にあり。僕は彼を見上げますが、彼の方はと言うと。
「ふうん。まあ、これなら大丈夫か」
と、何やら見定めているかのように僕をじろじろと見ています。な、何が? わっつ・はっぷん!?
「葉月っ。駄目だよ、いきなり他のクラスにズカズカと入ったら。クラスの子達、びっくりしてるよ」
「ごめん、柳。でも、この人なんだか具合悪そうだったし。ヘーボン君、座っていいよ?」
ん? この声……
金髪不良さんの背後から、とっても可愛らしい声が聞こえました。これは……この声は!?
「えっ!? ヘーボン君、具合悪いの? 大丈夫?」
ぴょこっと。金髪不良さんの背中から顔だけ現わした、天使! 紫瞠君!
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