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「ゲーム4」3
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「嫌に決まってるよ……だって、俺には……何にもないんだから……」
そこで俺は口を止めた。言葉にすることで、いかに自分が矮小な人間かと、思い知ったからだ。
わかっている。こんなことを聞いても、三人を困らせるだけだということも。心の底では何と思っていても、優しい彼らが俺の前で本音を口にすることはないだろう。
俺の質問は、今から始まるゲームをやりにくくさせた。それでもなぜか、聞かずにはいられなかった。
やっぱり駄目だな、俺は。だから嫌われるんだ。己の自己中心的な発言とその思考に、心底嫌悪する。
そうして、しばらく口を噤んでいると、誰ともなく口を開いた。
「はあ……」
落ちてきたのは、それぞれの呆れたようなため息だ。ああ、失敗した。余計なことを聞くんじゃなかった。俺は反省と後悔を、頭の中で交互に繰り返した。
しかし、続けて落とされたのは……
「まったく。何を言い出すかと思えば、この子は……」
「謙虚どころの話ではないな」
「だが、それがスグルらしいとも言える」
三人の柔らかな微苦笑だった。意外な彼らの反応に、俺はやや面食らった。
「え……あ、あの……」
気分を害していないのか? 怒っていないのか? と、彼らに尋ねようと再び口を開くも、バイロンが何かを思い出したように目線を上にしながら、
「そう言えば、以前に"奴"が天然かつ鈍感だと言っていたな」
と言った。奴? 奴って……誰? その口振りだと、俺のことを知っている誰かが言ったようだけど、この世界に知り合いなんていないぞ。
頭にポンと疑問符を立てながら首を傾げると、続いてルイスとセルが「ああ」と何やら納得した様子で、
「直接的に言わないと伝わらないということか」
「そのようだ」
と、それぞれ口にした。ねえ、待って。その肝心な部分を隠しながら、三人だけがわかったように話すのをやめて。余計にモヤッとするから。
そう口に出して言えばいいものを、コミュ障が災いしてサッと会話に入ることができず、ただ思っているだけで済ませてしまう。だからだろう……
「今、言うか?」
「いや、言えば変に誤解をされそうだ。今は得策ではない」
「混乱する様が容易に想像できる」
「ふむ。では、我々がすべきことは一つだな」
「ああ。このゲームなら、平等だ」
三人の中で、何かが決まったようだった。
いったい何が平等なのか。この言葉の意味と彼らの真意について、この時はまだ知る由もなかった。
「ともかく……」
言いながら、セルがようやく俺を下ろしたのを皮切りに、他の二人もしっかりと俺を見据えて断言した。
「今の我々から言えることはただ一つだよ、スグル」
「俺達はお前のことを、嫌いだと思ったことは一度もない」
六つの真っ直ぐな視線が、身体に突き刺さるようだった。なんて澄んだ目をして言うんだろう。そこには嘘なんてこれっぽっちも混じっていないように見えた。
「で、でも……」
素直に信じればいいものを、俺は彼らの言葉をすんなりとは受け入れられなかった。二十一年間で塵のように積もった自己肯定感の低さが、そうさせてくれない原因だ。
いたたまれなくなった俺は、彼らからゆっくりと視線を逸らした。
それを見て、バイロンがやや悲しそうにこちらへ尋ねた。
「信じられないか?」
「それは……だ、だって、俺達……友達でもないのに……」
「確かにな」
訥々と返すと、背後のセルがきっぱりと言い切った。うう……わかっていても、こうもはっきりと認められると虚しくなるな……。自分で言ったくせに。
けれど、セルの後に続くルイスの言葉は、予想外のものだった。
「我々は単なる友達の枠で収まりたくはないからね」
「……? どういう、こと?」
怪訝な目を向けると、背後からセルが右手で俺の腰を支え、そしてもう一方の手で俺の顎を包むようにして、自身へと振り向かせて目線を合わせた。
「友達の関係だったら、築けない繋がりもある」
「ん……んんっ……」
言いながら、セルは顎に添えた親指を俺の口元へと滑らせる。その指先が、うっすらと開いていた唇の間へと、躊躇いなく挿し込まれた。
「こちらが望むのは、"友達"にはできないことだからな」
「っ……ん……んんぅ……」
クチュ、クチュ、と粘ついた水音をわざとさせるように、セルが俺の中で指を動かす。火がついたように、カッと身体が熱くなるのを感じながら、舌の上を擽られてくぐもった声をあげた。
ゾクゾクする。それが気持ち悪くて、すぐにでも止めて欲しいのに、なぜかセルを拒めない。むしろ、舌と唇は彼の指をもっと奥へと飲み込んでいく。俺の意思とは反対に。
決して美味いわけではないし、味もあるわけではないのに、指を舐めていただけの口は次第に吸啜行為へと変わり、没頭していった。
その様子を見てか、ルイスがクスリとほくそ笑みながら、俺の太腿……その内側へと手を這わせた。
「これなら難なくクリアできるさ。ほら、もうこんなに……」
「んんっ……ひゃ、ひゃわら……んっ……ない、れ……」
触れた手は撫でるように上へと動き、いつの間にか熱を帯びて勃起する俺を包み込んだ。
嘘だろ? 何で勃ってるんだ、俺。ただ人の指を咥えているだけなのに、どうしてこんな……
というか、待って待って! まさか……まさか、もう始める気!?
「ところで、今回のゲームは、どちらか一方のルールを選ぶ際、予め宣言が必要なのか?」
心の準備がまだできていない俺は、軽くパニックになりながらも、バイロンからのその質問にはほぼ条件反射で首を横に振った。
それを見たセルが、指を動かしながら淡々と言った。
「なら、まずはスグル自身がクリアできそうな方を選び、ゲームを進めていく。途中、スグルが耐えられなくなったら、もう一方のルールへと変えていこう」
「セル。わかっているだろうが、先ほどのような真似は許さんぞ」
「許す、許さないはこちらが決めることではない。違うか?」
「ほう? 言うようになったな、君も」
「んっ……んん……!」
だからっ……俺抜きで話を進めるのをやめてくれない!?
そこで俺は口を止めた。言葉にすることで、いかに自分が矮小な人間かと、思い知ったからだ。
わかっている。こんなことを聞いても、三人を困らせるだけだということも。心の底では何と思っていても、優しい彼らが俺の前で本音を口にすることはないだろう。
俺の質問は、今から始まるゲームをやりにくくさせた。それでもなぜか、聞かずにはいられなかった。
やっぱり駄目だな、俺は。だから嫌われるんだ。己の自己中心的な発言とその思考に、心底嫌悪する。
そうして、しばらく口を噤んでいると、誰ともなく口を開いた。
「はあ……」
落ちてきたのは、それぞれの呆れたようなため息だ。ああ、失敗した。余計なことを聞くんじゃなかった。俺は反省と後悔を、頭の中で交互に繰り返した。
しかし、続けて落とされたのは……
「まったく。何を言い出すかと思えば、この子は……」
「謙虚どころの話ではないな」
「だが、それがスグルらしいとも言える」
三人の柔らかな微苦笑だった。意外な彼らの反応に、俺はやや面食らった。
「え……あ、あの……」
気分を害していないのか? 怒っていないのか? と、彼らに尋ねようと再び口を開くも、バイロンが何かを思い出したように目線を上にしながら、
「そう言えば、以前に"奴"が天然かつ鈍感だと言っていたな」
と言った。奴? 奴って……誰? その口振りだと、俺のことを知っている誰かが言ったようだけど、この世界に知り合いなんていないぞ。
頭にポンと疑問符を立てながら首を傾げると、続いてルイスとセルが「ああ」と何やら納得した様子で、
「直接的に言わないと伝わらないということか」
「そのようだ」
と、それぞれ口にした。ねえ、待って。その肝心な部分を隠しながら、三人だけがわかったように話すのをやめて。余計にモヤッとするから。
そう口に出して言えばいいものを、コミュ障が災いしてサッと会話に入ることができず、ただ思っているだけで済ませてしまう。だからだろう……
「今、言うか?」
「いや、言えば変に誤解をされそうだ。今は得策ではない」
「混乱する様が容易に想像できる」
「ふむ。では、我々がすべきことは一つだな」
「ああ。このゲームなら、平等だ」
三人の中で、何かが決まったようだった。
いったい何が平等なのか。この言葉の意味と彼らの真意について、この時はまだ知る由もなかった。
「ともかく……」
言いながら、セルがようやく俺を下ろしたのを皮切りに、他の二人もしっかりと俺を見据えて断言した。
「今の我々から言えることはただ一つだよ、スグル」
「俺達はお前のことを、嫌いだと思ったことは一度もない」
六つの真っ直ぐな視線が、身体に突き刺さるようだった。なんて澄んだ目をして言うんだろう。そこには嘘なんてこれっぽっちも混じっていないように見えた。
「で、でも……」
素直に信じればいいものを、俺は彼らの言葉をすんなりとは受け入れられなかった。二十一年間で塵のように積もった自己肯定感の低さが、そうさせてくれない原因だ。
いたたまれなくなった俺は、彼らからゆっくりと視線を逸らした。
それを見て、バイロンがやや悲しそうにこちらへ尋ねた。
「信じられないか?」
「それは……だ、だって、俺達……友達でもないのに……」
「確かにな」
訥々と返すと、背後のセルがきっぱりと言い切った。うう……わかっていても、こうもはっきりと認められると虚しくなるな……。自分で言ったくせに。
けれど、セルの後に続くルイスの言葉は、予想外のものだった。
「我々は単なる友達の枠で収まりたくはないからね」
「……? どういう、こと?」
怪訝な目を向けると、背後からセルが右手で俺の腰を支え、そしてもう一方の手で俺の顎を包むようにして、自身へと振り向かせて目線を合わせた。
「友達の関係だったら、築けない繋がりもある」
「ん……んんっ……」
言いながら、セルは顎に添えた親指を俺の口元へと滑らせる。その指先が、うっすらと開いていた唇の間へと、躊躇いなく挿し込まれた。
「こちらが望むのは、"友達"にはできないことだからな」
「っ……ん……んんぅ……」
クチュ、クチュ、と粘ついた水音をわざとさせるように、セルが俺の中で指を動かす。火がついたように、カッと身体が熱くなるのを感じながら、舌の上を擽られてくぐもった声をあげた。
ゾクゾクする。それが気持ち悪くて、すぐにでも止めて欲しいのに、なぜかセルを拒めない。むしろ、舌と唇は彼の指をもっと奥へと飲み込んでいく。俺の意思とは反対に。
決して美味いわけではないし、味もあるわけではないのに、指を舐めていただけの口は次第に吸啜行為へと変わり、没頭していった。
その様子を見てか、ルイスがクスリとほくそ笑みながら、俺の太腿……その内側へと手を這わせた。
「これなら難なくクリアできるさ。ほら、もうこんなに……」
「んんっ……ひゃ、ひゃわら……んっ……ない、れ……」
触れた手は撫でるように上へと動き、いつの間にか熱を帯びて勃起する俺を包み込んだ。
嘘だろ? 何で勃ってるんだ、俺。ただ人の指を咥えているだけなのに、どうしてこんな……
というか、待って待って! まさか……まさか、もう始める気!?
「ところで、今回のゲームは、どちらか一方のルールを選ぶ際、予め宣言が必要なのか?」
心の準備がまだできていない俺は、軽くパニックになりながらも、バイロンからのその質問にはほぼ条件反射で首を横に振った。
それを見たセルが、指を動かしながら淡々と言った。
「なら、まずはスグル自身がクリアできそうな方を選び、ゲームを進めていく。途中、スグルが耐えられなくなったら、もう一方のルールへと変えていこう」
「セル。わかっているだろうが、先ほどのような真似は許さんぞ」
「許す、許さないはこちらが決めることではない。違うか?」
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だからっ……俺抜きで話を進めるのをやめてくれない!?
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