77 / 241
初☆デート!
10
しおりを挟む
旦那さまからのぞんざいな扱いにこれからの夫婦生活が不安です。
柳です。ただいま、ポップコーン待ちです。人が少ない場所を求めてとぼとぼと歩いております。
も~、酷いよね! ほっぺ抓るし。そのうち赤くなってパンパンになるぞ!
「う~……、ん?」
雑貨? ではなく、映画グッズ。それが集まるお土産コーナー。不貞腐れてると、いつの間にかそこに着いていました。
チケット売り場やフードコーナーと比べると意外と人が少ない。まだ入れ替わりの時間じゃないからかな?
わ~、キーホルダーとかポスターとか、Tシャツとか、いっぱいある~。きょろきょろと辺りを見渡しながら、僕は怒っていたことなどすっかり忘れ、惹かれるようにしてコーナー内へと入っていった。
なんかこういうのって、ついつい見ちゃうよね。買うつもりなくても、惹かれちゃうよね。欲しくなっちゃうよね。
あ、このストラップ、皮ベルトみたい。しかも誕生石がついてる。カッコいい。
「海さんって、誕生日十二月だったっけ?」
じゃあトルコ石かな? 今日のデートのお礼になるかな?
喜ぶかなぁ? こういうの、嫌いかなぁ?
まだ観てもいない映画のストラップなんて買ってどうするのって思われるかもしれないけど、映画に連れて来てくれた海さんにお礼したいし。
うぅ~ん。
――――――…
「ねぇねぇ! あの赤い人、ヤバくね?」
「モデルみたい~。はあぁ~カッコいい~」
「やっぱ彼女いんのかなぁ?」
「美形が尊いっ……! 鬼畜攻めゴチです!!」
あ、ポップコーン買えたのかな?
お土産コーナーの出口端で待っていた僕は、ざわつく方向へと視線をやる。男女問わず、皆がこちらへやってくる海さんに視線をやっていた。
本当にモテモテ。奥さま困っちゃう。
「……ってことはないんだけど」
でも、こんなに人の目を惹いちゃうのって、実際大変なんじゃないかな? 葉月や廻、真実たちの傍にいたからわかるけど、視線っていろんな人の目があって怖い。その目には、好奇だけじゃない、いろんな意味が乗ってるから。
海さんはどう感じてるんだろう? それとももう、感じないのかな?
「柳」
海さんが僕を発見。名前を呼んでくれました。僕は手を上げて返事をしようと前に一歩踏み出した。
そしたら……
ズベシャ!!
何かに躓いたのか、盛大にこけました。な、何故に?
「……ったぁ~!」
うぅ……。また……またこけた……。
眼鏡は吹っ飛ぶし。視線は痛い。
「……」
海さんの無言が聞こえる気がしました。ホントにごめんなさい。
両手を地につけて、ゆっくりと身体を起こし出す僕。
「くすくすくす」
どこからともなく聞こえる笑い声。そりゃ笑うよね。大の高校生がこけたんだもん。何もない所で。
恥ずかしいと感じながら、すぐ傍まで来てくれただろう海さんを、鼻を抑えながら見上げて謝罪を口にする。
「ごめんなさい。海さん。僕、また滑って……」
「怪我は?」
片手にポップコーンのセット、そしてもう片手に拾ってくれた眼鏡をスッと差し出されながら、怪我の有無を尋ねられる。そりゃもう静かにね。呆れてるよね? これ。呆れられちゃったよね?
「な、ないです……」
眼鏡を受け取りながら、僕は首を横に振ると、海さんは次にポップコーンのセットを僕の前に差し出した。
「柳。これを持ってもらえますか?」
「え? うん。持つよ…うおわぁ!!?」
ポップコーンのセットを両手で受け取ると同時に何かが起こった。
海さんにぐいっと肩を引き寄せられたと思った瞬間、両足が地からふわりと離れた。
なななな、なに!?
か、身体が宙に浮いて……って!!?
「な、な、な!?」
「きゃー!!!」
僕が事態を理解するよりも先に、館内の女の子たちの悲鳴が轟いた。そしていつも聞いてる低音が、耳元の近くで囁いたんだ。
「軽いですね。お前はもう少し、食事量を増やした方が良いのでは?」
「か、かかか海さん!?」
思わず、手にしてたポップコーン+ドリンクを落としそうになってしまった。そのくらい、僕はびっくりしたし、動揺した。というか、動揺してる。
な、ななな何? なんで?
なんで僕、お姫様抱っこされてるの!?
柳です。ただいま、ポップコーン待ちです。人が少ない場所を求めてとぼとぼと歩いております。
も~、酷いよね! ほっぺ抓るし。そのうち赤くなってパンパンになるぞ!
「う~……、ん?」
雑貨? ではなく、映画グッズ。それが集まるお土産コーナー。不貞腐れてると、いつの間にかそこに着いていました。
チケット売り場やフードコーナーと比べると意外と人が少ない。まだ入れ替わりの時間じゃないからかな?
わ~、キーホルダーとかポスターとか、Tシャツとか、いっぱいある~。きょろきょろと辺りを見渡しながら、僕は怒っていたことなどすっかり忘れ、惹かれるようにしてコーナー内へと入っていった。
なんかこういうのって、ついつい見ちゃうよね。買うつもりなくても、惹かれちゃうよね。欲しくなっちゃうよね。
あ、このストラップ、皮ベルトみたい。しかも誕生石がついてる。カッコいい。
「海さんって、誕生日十二月だったっけ?」
じゃあトルコ石かな? 今日のデートのお礼になるかな?
喜ぶかなぁ? こういうの、嫌いかなぁ?
まだ観てもいない映画のストラップなんて買ってどうするのって思われるかもしれないけど、映画に連れて来てくれた海さんにお礼したいし。
うぅ~ん。
――――――…
「ねぇねぇ! あの赤い人、ヤバくね?」
「モデルみたい~。はあぁ~カッコいい~」
「やっぱ彼女いんのかなぁ?」
「美形が尊いっ……! 鬼畜攻めゴチです!!」
あ、ポップコーン買えたのかな?
お土産コーナーの出口端で待っていた僕は、ざわつく方向へと視線をやる。男女問わず、皆がこちらへやってくる海さんに視線をやっていた。
本当にモテモテ。奥さま困っちゃう。
「……ってことはないんだけど」
でも、こんなに人の目を惹いちゃうのって、実際大変なんじゃないかな? 葉月や廻、真実たちの傍にいたからわかるけど、視線っていろんな人の目があって怖い。その目には、好奇だけじゃない、いろんな意味が乗ってるから。
海さんはどう感じてるんだろう? それとももう、感じないのかな?
「柳」
海さんが僕を発見。名前を呼んでくれました。僕は手を上げて返事をしようと前に一歩踏み出した。
そしたら……
ズベシャ!!
何かに躓いたのか、盛大にこけました。な、何故に?
「……ったぁ~!」
うぅ……。また……またこけた……。
眼鏡は吹っ飛ぶし。視線は痛い。
「……」
海さんの無言が聞こえる気がしました。ホントにごめんなさい。
両手を地につけて、ゆっくりと身体を起こし出す僕。
「くすくすくす」
どこからともなく聞こえる笑い声。そりゃ笑うよね。大の高校生がこけたんだもん。何もない所で。
恥ずかしいと感じながら、すぐ傍まで来てくれただろう海さんを、鼻を抑えながら見上げて謝罪を口にする。
「ごめんなさい。海さん。僕、また滑って……」
「怪我は?」
片手にポップコーンのセット、そしてもう片手に拾ってくれた眼鏡をスッと差し出されながら、怪我の有無を尋ねられる。そりゃもう静かにね。呆れてるよね? これ。呆れられちゃったよね?
「な、ないです……」
眼鏡を受け取りながら、僕は首を横に振ると、海さんは次にポップコーンのセットを僕の前に差し出した。
「柳。これを持ってもらえますか?」
「え? うん。持つよ…うおわぁ!!?」
ポップコーンのセットを両手で受け取ると同時に何かが起こった。
海さんにぐいっと肩を引き寄せられたと思った瞬間、両足が地からふわりと離れた。
なななな、なに!?
か、身体が宙に浮いて……って!!?
「な、な、な!?」
「きゃー!!!」
僕が事態を理解するよりも先に、館内の女の子たちの悲鳴が轟いた。そしていつも聞いてる低音が、耳元の近くで囁いたんだ。
「軽いですね。お前はもう少し、食事量を増やした方が良いのでは?」
「か、かかか海さん!?」
思わず、手にしてたポップコーン+ドリンクを落としそうになってしまった。そのくらい、僕はびっくりしたし、動揺した。というか、動揺してる。
な、ななな何? なんで?
なんで僕、お姫様抱っこされてるの!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
562
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる