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初☆デート!

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 でも、この人たちは僕を解放する気なんてないみたいで。

「いいじゃん。一緒に探してあげるって。オレ達、人探し得意よ?」

「言ってみ? 誰探してんの? 彼氏? 友達? 彼氏だったら超~ショックなんですけど!」

「どっちも……違います」

 旦那さまだから。

 そう心の中で答えると、この人たちは一変して、僕の手を引っ張りだした。

「じゃあさ。一緒に遊ばね?」

「暇してたんだ。ね? カラオケ行こうよ」

 な、なんで遊びに誘われるの? さっき人探しを手伝ってくれるって言ったのに。

 嫌な予感がする。それに、この人たち、たぶん僕のことを女の子と勘違いしている。

「い……結構、です」

「いいじゃん。行こうよ」

「俺、君みたいな子、結構タイプなんだよね」

「あの……僕はっ……」

「眼鏡で清楚系ってのもいいけど、外した方が可愛いんじゃね? コンタクトにしてみたら?」

「え?」

「ああ、そっちのがいいし! ちょい、外してみ?」

「ちょっ……!」

 かなり不躾なこの人たちは、いきなり僕のかけている大事な眼鏡を、いとも簡単に取り去った。

 僕にとっては、本当に大切で、大事な眼鏡を。

 けれど、そんなことはこの人たちにとってはどうでもいいことで。

「やっべ! マジ可愛い!」

「こっちのが全然いいって!」

 こっちの気も知らずに、歓喜の声を上げた。

「……っ!」

 眼鏡が外された瞬間。

 僕はなんとも言えない「恐さ」を感じた。

 僕はよく転んだりして眼鏡を飛ばすこともしょっちゅうだけど、そんなのは大して恐くない。だってそれは、自然で偶然なことだから。

 でも、これは違う。これは、故意に取られたものだ。そして彼らが見たいのは、眼鏡を外した僕の顔。

 僕は。僕が恐怖するのはそれだった。

 僕には隠したいものがある。隠しきれないけれど、できれば人に見られたくないもの。それを隠すための、大事な眼鏡。

 それでも、バイオレットの大嫌いな目の色と違って。僕はこれを受け入れた。後からできたこれは、最初はびっくりしてしまったけれど受け入れられた。

 けれど、彼らは知らない。僕の顔を見て、今は喜んでいるのかもしれないけれど、この人たちは多分、受け入れられない。

 僕のあれを見たら。

 おそらくは。

 もうすでに見てしまっている海さんのようには、僕を受け入れられない。

 そんなことも知らないで。彼らの不躾な行動はエスカレートする。僕に話しかけるだけでなく。僕の手を掴むだけでなく。眼鏡を奪い取るだけでなく。

 僕が触れられたくない、そこにまで……触れてきた。

「可愛い顔してんね~。こっち見せてみ?」

「ほら、前髪もさ。もうちょい上にあげれば……うっ!?」

 ああ、ほら。

 やっぱりだめだった。

「……もうちょい上にあげれば、なに? 見えたでしょ? 僕のおでこの縫い傷」

 おでこ……よりは、もうちょい上の生え際近くにある縫い傷なんだけどね。えっと、何針だったっけ? 忘れちゃったけど、くっきりはっきり遠目からでもわかるほど浮き出てる痛々しいやつ。もう痛くはないけど。結構派手なモノ。

 あまり人には見せたくない、僕自身も覚えのない大きな傷痕。
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