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乙女ゲームの王子様
教育的指導が必要です
しおりを挟む改めてアレクシス王子様とお逢いしたのは、屋敷の中庭にあるテーブルです。裏庭は私が薬草園にしてしまいましたからね、中庭が一番お花も綺麗なのです。
お茶とお菓子をルビィが運んでくれている間、ジッと物珍しそうにルビィを見ていましたが、王宮の方が沢山居ると思うんですよね。我が家は侍女やメイドは必要最低限しか働いて貰ってません。場所が場所ですしね。皆さん自己防衛出来ないと危険ですから。
「改めまして、辺境侯爵家長女セラフィナ・コーディエ=フローライトで御座います」
「ガーデンクォーツ国第一王子アレクシス=ガーデンクォーツです、倒れていた時はお世話になり感謝しております」
「あら、反逆罪とやらはお咎めなしで宜しいのかしら?」
お母様にお借りした扇を広げて口元に笑みを浮かべると、その言葉に心当たりがあるのかオタオタしだす王子様が面白いです。ええ、意地悪ですよ?言われっぱなしは性に合いませんので。
「え…と、倒れていた時も、その前も、色々大変お世話になり…」
「…殿下」
後頭部を掻きながらしどろもどろになる第一王子殿下に声を掛け、扇をパチンと音を立てつつテーブルに置きました。コレで側で控えていたメイドや侍女は下がっています。居るとすれば護衛のルビィだけでしょう。
「王族と在ろう方の腰が低いのは、如何なものかと思いますわ。先日のように威張り散らせとは申しませんが、もっと堂々となさいませ」
「ご、ごめんなさい…」
「直ぐに謝るのもいけません」
「は、はい!」
どうやら、フローライト領までくる旅路での恐怖や不満、強制的睡眠によって、前世の意識のほうが高いように見受けられます。それはそれで『良い人』な感じはしますけど、これではあの王宮で生き延びるのは難しいでしょうね。
「殿下」
「あの、アレクと呼んで頂けませんか?殿下は…ちょっと」
「…わかりました、私の事もセラフィナとお呼び下さい。政略とはいえ、アレク様が王宮へとお帰りになられましたら、婚約者となりますので」
「え、あの…、決定なのか!?」
「当たり前です、アレク様が『王命』だと仰ったのですよ?」
私の言葉にアレク様は顔を真っ青にされましたけど、お父様にした御自分の発言をもっとちゃんと考えて欲しいです。とりあえず言ったのかしら?それとも記憶にあったので何も考えずに言ったのかもしれない。
「そんな風に考えなしですから、当て馬王子などと呼ばれるようになるのでは?」
「いや、だって、俺は目が覚めたばっかりで…って、今、あの」
目を丸くしてジッと私を凝視してますが、それ、淑女に対して失礼ですからね?私も前世を持っている事を明かす気はありませんでしたが、この王子様の中の人、放置していたら即行で死にそうな気がします。
(乙女ゲームの展開に巻き込まれたくはありませんが、宰相の思惑に乗せられるのはムカつくんですよ)
ジークフリード家は侯爵家としては資産家で通っています、宰相の公爵家としては是非とも潰れて欲しい家です。フローライト家は存在そのものが驚異で、味方のうちはいいですが敵に回るとかなり、結構?嫌でしょうから潰したい。書き出せばこんなところですね。
にっこりと微笑みを浮かべ、ルビィに温かい紅茶をお願いし、此処からは王家・侯爵家は関係のない雑談をする事にしましょうか。
「乙女ゲーム経験者とお見受けいたしますが、前世はどちらでしょう?女性?それとも男性でしょうか」
「男だし、ゲームは妹に手伝わされてたんだ!…や、やっぱり、君も転生者なの、か?」
「転生者ではありますが、私はこの乙女ゲームには名前も出ないモブ以下。そもそも、私はゲームの世界とは関係していません」
「じゃあ、どうして?」
「巻き込まれた…と、言うべきでしょうね。ねぇ、アレク様わたくしと取引なさいませんこと?このままでは貴方、王宮に戻った時点で死にますわよ」
半信半疑で私の言葉を聞いていたアレク様でしたが、止めの言葉には顔を青褪めさせてました。まぁとても素直な方ですので、其処まで社会の波に揉まれていない年齢だと想像します。
私だって知りもしない宰相の掌で転がされるなって真っ平ごめんですからね、情報も対策もしたいので、アレク様をとりこまさせて頂こうと思います。
リアン兄様譲りの腹黒い笑みを口元に浮かべ、温かい紅茶を一口頂きました。
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