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学園編
其の八
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「レリーユエル=ヴェルヴェーヌ公爵令嬢、聞こえているのか!?」
「はい、聞こえていますわ。婚約を破棄とはどういった意味でしょう?」
「そのままの意味だ!私とローザの仲に嫉妬に狂って悪逆非道を行う等と、お前の態度には愛想が尽きた!私は…っ」
「申し訳ありませんが、それ別の公爵令嬢とお間違えではありませんの?」
何かを演説する気だった王太子殿下の言葉をぶった切り、リーユお嬢様は首を傾げて王太子殿下に尋ねます。その態度も気に入らないのか、段々怒りで顔が赤くなっていってますよ。
王太子殿下の取り巻きでもある、背後の生徒達も驚きの表情を浮かべています。
(そもそも、王太子殿下と話が噛み合ってませんね。リーユお嬢様は気付いているようですが…)
「仕方有りませんね、ヴァル」
リーユお嬢様の溜息混じりの言葉に、私は王太子殿下へと一歩近付き、丁寧なお辞儀をしてにっこりと仕事用の微笑みを浮かべます。隣に居たローザリア令嬢が何やら見ていますが気にしません。
「はい、大変申し上げ難いのですが…。まず、王太子殿下の仰っている婚約破棄ですが、王太子妃候補は一応いらっしゃいますが、まだどなたも決まっておりません。破棄も何も王太子殿下に、婚約者はいらっしゃらないのです」
「は!?」
「え?」
私の言葉に初めて知ったと驚くこの二人、本当に馬鹿だ。
「レリーユエルお嬢様はライラクス国の公爵令嬢です、アイクロメア王国の王太子殿下のお妃候補は、アイクロメア王国内より正妃となる令嬢を選ぶと、国王陛下がお決めになられた国家規約にございますが?」
「ええ!?」
「王太子殿下、国家規約をご存知ではなかったのですか?」
「兄上は八歳の頃から婚約者だと言ってましたよね?」
更に驚いている令嬢は兎も角、初耳だったのか背後の取り巻きも驚いています。お前ら確認くらいしっかりとしろよ。と言いたいですが、声に出さないのが執事です。ヴェールで顔は隠れていますが、隣にいる私にもリーユお嬢様の呆れ顔はしっかりと見えています。
しかも、段々愚か過ぎて笑えてきたようで、必死に笑いを沈めようと努力されていますね。背後からは見えていますが、そんなリーユお嬢様が我々は凄く好きです。
(そんな顔をされていても、大変可愛らしいだけなのですが)
「し、しかしローザはレリーユエルに虐められたと!!」
「私、そのローザリア嬢のお声を存じませんの。お顔は見ることが出来ませんので、執事を伴いましたが…。誰か此方の御令嬢に見覚えは?」
「有りません」
「私も、初めてお見掛けいたします」
「知らない」
「僕は学園に来るのが初めてです!」
一番多く学園へのお供をしている私がローザリア嬢を見た事が無いのなら、他の執事が知っている事は殆どありません。背後でも呆然とした顔のご子息達は、何を考えているのやら。リーユお嬢様が加護の力を無意味に使わないようにヴェールをしているというのは、アイクロメアの宰相子息なら知ってるでしょう。
(旦那様と手紙のやり取りをしているし、何度か顔も合わせているのに忘れるとか)
呆れて物も言えないとは、この事ですね。
「はい、聞こえていますわ。婚約を破棄とはどういった意味でしょう?」
「そのままの意味だ!私とローザの仲に嫉妬に狂って悪逆非道を行う等と、お前の態度には愛想が尽きた!私は…っ」
「申し訳ありませんが、それ別の公爵令嬢とお間違えではありませんの?」
何かを演説する気だった王太子殿下の言葉をぶった切り、リーユお嬢様は首を傾げて王太子殿下に尋ねます。その態度も気に入らないのか、段々怒りで顔が赤くなっていってますよ。
王太子殿下の取り巻きでもある、背後の生徒達も驚きの表情を浮かべています。
(そもそも、王太子殿下と話が噛み合ってませんね。リーユお嬢様は気付いているようですが…)
「仕方有りませんね、ヴァル」
リーユお嬢様の溜息混じりの言葉に、私は王太子殿下へと一歩近付き、丁寧なお辞儀をしてにっこりと仕事用の微笑みを浮かべます。隣に居たローザリア令嬢が何やら見ていますが気にしません。
「はい、大変申し上げ難いのですが…。まず、王太子殿下の仰っている婚約破棄ですが、王太子妃候補は一応いらっしゃいますが、まだどなたも決まっておりません。破棄も何も王太子殿下に、婚約者はいらっしゃらないのです」
「は!?」
「え?」
私の言葉に初めて知ったと驚くこの二人、本当に馬鹿だ。
「レリーユエルお嬢様はライラクス国の公爵令嬢です、アイクロメア王国の王太子殿下のお妃候補は、アイクロメア王国内より正妃となる令嬢を選ぶと、国王陛下がお決めになられた国家規約にございますが?」
「ええ!?」
「王太子殿下、国家規約をご存知ではなかったのですか?」
「兄上は八歳の頃から婚約者だと言ってましたよね?」
更に驚いている令嬢は兎も角、初耳だったのか背後の取り巻きも驚いています。お前ら確認くらいしっかりとしろよ。と言いたいですが、声に出さないのが執事です。ヴェールで顔は隠れていますが、隣にいる私にもリーユお嬢様の呆れ顔はしっかりと見えています。
しかも、段々愚か過ぎて笑えてきたようで、必死に笑いを沈めようと努力されていますね。背後からは見えていますが、そんなリーユお嬢様が我々は凄く好きです。
(そんな顔をされていても、大変可愛らしいだけなのですが)
「し、しかしローザはレリーユエルに虐められたと!!」
「私、そのローザリア嬢のお声を存じませんの。お顔は見ることが出来ませんので、執事を伴いましたが…。誰か此方の御令嬢に見覚えは?」
「有りません」
「私も、初めてお見掛けいたします」
「知らない」
「僕は学園に来るのが初めてです!」
一番多く学園へのお供をしている私がローザリア嬢を見た事が無いのなら、他の執事が知っている事は殆どありません。背後でも呆然とした顔のご子息達は、何を考えているのやら。リーユお嬢様が加護の力を無意味に使わないようにヴェールをしているというのは、アイクロメアの宰相子息なら知ってるでしょう。
(旦那様と手紙のやり取りをしているし、何度か顔も合わせているのに忘れるとか)
呆れて物も言えないとは、この事ですね。
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