7 / 32
学園編
其の七
しおりを挟む
「レリーユエル=ヴェルヴェーヌ公爵令嬢!やっときたか!」
傲慢な声が高らかに中庭へと響いていく、今日はまだ氷の月なのですが、又薄着ですねこの王太子殿下。寒さを感じないのでしょうか?やはり馬鹿なのですね。そしてそんな王太子殿下の側にいらっしゃるのが、ローザリア=ボールド男爵令嬢のようです。此方はしっかりとコートを着込んでいらっしゃるようですね。
仁王立ちで中庭に居ましたが、やっときたのではなく、中庭はリーユお嬢様が特別クラスへ行く為の道です。通らないと特別クラスに行けませんよ。そんな事も知らないらしい。
「……ああ、そのお声は王太子殿下でしたか。おはようございます、授業の時間には十分間に合うと存じますが?」
優雅に一礼をするリーユお嬢様の顔には、朝に私がお付けしたヴェールが掛かっています。周りが見えないので、人の判断は声でされていますが、それはいつもの事です。
「手紙を出しただろう!?」
「あら、私もう授業内容は終わっておりますの。後は卒業を待つだけですので、登校を免除されてましてよ?本日郵送されましたあの手紙通り、とりあえず学園には参りましたが」
「私は七日も前に机に置かせただろう!?」
(ああ、お嬢様の顔が『そんなの知りません』と言ってますね。勿論、王太子にリーユお嬢様の表情は見えておりません。そもそもこの王太子殿下は、叫ばないと話せないのでしょうか?煩いですね)
「ヴァル、お手紙をお返しして?」
「はい、リーユお嬢様。王太子殿下ご確認ください、本日郵送にて届きました。消印と王太子殿下の署名筆跡です。お嬢様は学園で学ばれる全ての授業を終えて卒業を待つばかりですので、ご登校は本来でしたらありません。本日もわざわざ、王太子のご要望にてお越しくださりました」
「こんなものいらぬ!」
自分の書いた手紙は興味ないとばかりに、叩き落されました。私が念押しした言葉も聞いてませんね。勝ち誇った顔で男爵令嬢の腰を引寄せ、リーユお嬢様に近付いていきます。それ以上近付くようでしたら、ルファの出番になるので、止まって欲しいものです。
「レリーユエル=ヴェルヴェーヌ公爵令嬢!私はお前との婚約を破棄して、此方のローザリア=ボールド男爵令嬢を妃にする!」
大きな声で宣言された言葉、人の行き交う中庭で行われた突然の出来事に、次々と生徒達が足を止めて此方を見ています。気持ちは分からなくも無いのですが、王太子の背後にも何人かの生徒が新しく現れました。
「リーユお嬢様、王太子殿下の右側に、おそらくローザリア嬢。下がって左端より第二王子マンティス様、アイクロメア宰相子息ルイズ様、アイクロメア騎士団長子息アルフォード様、アイクロメア魔術師団長子息ウィンド様がいらっしゃいます」
「学園の学生会を担ってらっしゃる方々ね、ルイズ様以外はお声が分からないわ」
「僕がご説明させて頂きます」
「お願いするわね、ルファ」
他の人間が増えても動揺もしないリーユお嬢様に苛立ったのか、王太子殿下の顔が険しくなっていきます。そもそもリーユお嬢様は常にヴェールをされているのに、人数を集めて何がしたいのか全く理解したくないですけどね。
傲慢な声が高らかに中庭へと響いていく、今日はまだ氷の月なのですが、又薄着ですねこの王太子殿下。寒さを感じないのでしょうか?やはり馬鹿なのですね。そしてそんな王太子殿下の側にいらっしゃるのが、ローザリア=ボールド男爵令嬢のようです。此方はしっかりとコートを着込んでいらっしゃるようですね。
仁王立ちで中庭に居ましたが、やっときたのではなく、中庭はリーユお嬢様が特別クラスへ行く為の道です。通らないと特別クラスに行けませんよ。そんな事も知らないらしい。
「……ああ、そのお声は王太子殿下でしたか。おはようございます、授業の時間には十分間に合うと存じますが?」
優雅に一礼をするリーユお嬢様の顔には、朝に私がお付けしたヴェールが掛かっています。周りが見えないので、人の判断は声でされていますが、それはいつもの事です。
「手紙を出しただろう!?」
「あら、私もう授業内容は終わっておりますの。後は卒業を待つだけですので、登校を免除されてましてよ?本日郵送されましたあの手紙通り、とりあえず学園には参りましたが」
「私は七日も前に机に置かせただろう!?」
(ああ、お嬢様の顔が『そんなの知りません』と言ってますね。勿論、王太子にリーユお嬢様の表情は見えておりません。そもそもこの王太子殿下は、叫ばないと話せないのでしょうか?煩いですね)
「ヴァル、お手紙をお返しして?」
「はい、リーユお嬢様。王太子殿下ご確認ください、本日郵送にて届きました。消印と王太子殿下の署名筆跡です。お嬢様は学園で学ばれる全ての授業を終えて卒業を待つばかりですので、ご登校は本来でしたらありません。本日もわざわざ、王太子のご要望にてお越しくださりました」
「こんなものいらぬ!」
自分の書いた手紙は興味ないとばかりに、叩き落されました。私が念押しした言葉も聞いてませんね。勝ち誇った顔で男爵令嬢の腰を引寄せ、リーユお嬢様に近付いていきます。それ以上近付くようでしたら、ルファの出番になるので、止まって欲しいものです。
「レリーユエル=ヴェルヴェーヌ公爵令嬢!私はお前との婚約を破棄して、此方のローザリア=ボールド男爵令嬢を妃にする!」
大きな声で宣言された言葉、人の行き交う中庭で行われた突然の出来事に、次々と生徒達が足を止めて此方を見ています。気持ちは分からなくも無いのですが、王太子の背後にも何人かの生徒が新しく現れました。
「リーユお嬢様、王太子殿下の右側に、おそらくローザリア嬢。下がって左端より第二王子マンティス様、アイクロメア宰相子息ルイズ様、アイクロメア騎士団長子息アルフォード様、アイクロメア魔術師団長子息ウィンド様がいらっしゃいます」
「学園の学生会を担ってらっしゃる方々ね、ルイズ様以外はお声が分からないわ」
「僕がご説明させて頂きます」
「お願いするわね、ルファ」
他の人間が増えても動揺もしないリーユお嬢様に苛立ったのか、王太子殿下の顔が険しくなっていきます。そもそもリーユお嬢様は常にヴェールをされているのに、人数を集めて何がしたいのか全く理解したくないですけどね。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる