悪役執事

梛桜

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学園編

其の十一

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 私達は身分は執事といえど、リーユお嬢様だけが主です。一応王太子はこの国の王子ですから、リーユお嬢様の許可を待って居ましたが、たかが男爵令嬢に許可など求めません。

「エアレズ王太子殿下、そちらのお嬢様は殿下の恋人ということですよね?」
「そうだ、ローザに無礼な口の利き方は…っ」
「でしたら、先程からのローザリア男爵令嬢様の暴言。国交問題と取って宜しいのですね?レリーユエルお嬢様はライラクス国の公爵令嬢ですよ?先程の言葉は、両国の親交を破棄するおつもりで発言されたと取らせて頂きます」

 ローザリア男爵令嬢はこの馬鹿王太子の恋人らしいので、一応確認だけはさせて頂きましたが、上から目線の偉そうな話が続きそうになったので、ぶった切りました。はい、それはもう軽く無視しました。背後で呆然としている子息達は、何でまだ居るんでしょうね?役にもたたないのに。
 私の言葉に今更意味が分かったのか、宰相子息が目を丸くして顔を青ざめさせています。アイクロメアの宰相ってあの侯爵様ですよね?どういう教育されていたんですか?

「ま、待て!何も国交問題までとは…っ」
「私は、王太子殿下にご確認を取らせて頂きました。宰相子息様が御止めにならずとも、ご本人より肯定を確かに」
「私が言ったのは、ローザが私の恋人だと!」
「はい、確かに。其の方のご発言ですので、そう取らせて頂きました。先程からお忘れですか?レリーユエルお嬢様はライラクス国の公爵令嬢だという事を」

 私の言葉と同時に、ゼルクが腰に佩いていた剣を抜きイスラがお嬢様を更に背後へと守ります。ルファエルは既に、男爵令嬢を捕らえたようですね。男爵令嬢の喉元には、ルファエルの特製ナイフが当てられていました。

「きゃああ!?」
「我が主への数々の暴言、しかとこの耳に」
「な、何だお前は!?」
「僕の事は、この女のほうが知ってるんじゃない?」

 ルファエルの言葉使いが変わってますね、彼がリーユ様に助けられる前の事を、此方の令嬢は何故か知っていたようですので、昔の彼に変わってしまうのも仕方無いことです。いつもなら、ゼルクが動いてルファエルを止めますが、今日は止める気が無いようです。
 いつも優しげに細められ、黒縁の眼鏡で隠された素のままのエメラルドグリーンの瞳が、今は赤味を帯びて残酷なくらいに輝いています。

「ひ…っ、た、助けてください!王太子様!こ、ころさ、れ…!」
「殺す?やだな…本当に僕を知ってるなら、こんな人前でやるわけないじゃない」
「ろ、ローザリアを離せ!命令だ!」
「僕の主はお前じゃない」

 暴言ばかりの男爵令嬢が漸く静かになったと思ったのに、今度は煩い馬鹿王太子が騒ぎ出しましたね。ルファエルはお嬢様に手を差し出される前は、暗殺者として闇の世界で働いていました。リーユお嬢様がお持ちの『神の加護』内容は違いますが、それをルファエルも持っているのです。
 ルファエルの『神の加護』は鑑定・調査・探索を得意とする『盗賊』そして、闇の世界では最も重宝される『暗殺』コレはルファエルの場合は毒に特化していたようです。そんなルファエルを闇の世界から救ったのは六歳になったばかりのリーユお嬢様です。

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