悪役執事

梛桜

文字の大きさ
13 / 32
学園編

其の十三

しおりを挟む
 呆れた顔をしている学園長だけならまだしも、此処には王太子殿下の保護者でもある国王陛下もいらっしゃいます。中庭での高らかな宣言に、リーユお嬢様のご指摘と私からの補足も、しっかりと旦那様を始め多くの貴族の皆様にお聞きいただけたでしょう。

「どういう事か、聞かせてもらおうか」
「いや、あの…っ」

 アイクロメアの国王陛下は威圧感皆無な方ですが、ヴェルヴェーヌ公爵様は悪役顔ですからね。というか、顔だけは怖いんですよ。旦那様って。中身はリーユお嬢様溺愛の、使用人にもとても優しいお方です。
 そして、ライラクス国の王弟で公爵の地位を頂いておりますが、宰相には任せられない王族としての仕事を、国王陛下に代わって引き受ける事もある、とても多忙なお方です。

(旦那様、リーユお嬢様が生まれた時に、顔が奥様そっくりで泣いて喜んだって聞きましたが、絶対本当の話だと思うんですよね。奥様が大笑いで教えてくれた事なので、嘘とは思ってもいませんが、結びつかない…)

「ヴァル」
「はい、旦那様。王太子殿下の宣言は、されてもいないリーユお嬢様との婚約破棄だそうです。お隣のローザリア=ボールド男爵令嬢は、王太子殿下の恋人だそうで、リーユお嬢様が此方のボールド男爵令嬢を酷く虐めていたらしいと仰っております。その後も何か続けようとされておりましたが、それがアイクロメア王国追放だとしても、リーユお嬢様には関係の無い事です」
「どれもボールド男爵令嬢の証言のみで、目撃者はいません。あと、リーユ様はその証言の時期は全て、アイクロメア王国でお借りしている、スティヒ様の別邸で私共とご一緒でした」
「氷の月はあまり外出しないようにと、確かに私が言い聞かせていたからな。リーユが私の言葉を無視するはずがない」

 スラスラと告げられる私とルファの言葉に、王太子とその隣にいるボールド男爵令嬢の顔色が青くなっていく。大きな溜息が聞こえてきたのは、国王陛下のものでしょうか?王太子の背後の役立たずには、宰相様が睨みを利かせています。

(宰相子息様、逃げられませんね)

「リーユお嬢様はお出掛けの際、いつもエアヴァル様がお付けするヴェールを着用されております。国王陛下」
「学園に通うにあたっての、お約束はきちんと守られてますよ。視界が利かないので、僕達が常に付き添ってます!」
「イスラ、言葉遣い」
「あ、ごめんなさい…」

 陛下の背後でゼルクとイスラが補足を付け足すと、陛下の顔色も悪くなっていく。当然ですよね、陛下はヴェルヴェーヌ公爵様苦手ですからね。昔の自分を見ているようで、王太子殿下に視線も合わせようとしません。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

処理中です...