悪役執事

梛桜

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学園編

其の十四

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「やはり、お前の子だなギルバート。アイクロメア学園の教育方針が間違っているとは、到底思えないのだが…。王宮の教育者は今だ変わっていないのか?」

 溜息交じりの旦那様の言葉に、国王陛下がビクッと肩を揺らし旦那様に視線を向けました。真っ直ぐに悪役顔に睨まれるのは怖いかもしれませんが、旦那様それが通常ですからね?いい加減慣れてもいいと思うんですよ。国同士での国交は国王陛下全然してなかったんでしたっけ?

「教育係は、流石に歳だからな」
「その息子が代わったとかいう話ではないだろうな?」
「…っ」
「何にせよ、周りが見えていない王太子など、国の役にも立たん。いっそのこと第二王子を王太子とすれば良いのではないか?そうか、捜すか?元王妃との子である、行方不明のセレスティンを」
「それは…」
「側妃がさせぬだろうがな」

 すかさず言った言葉が図星のようで、国王陛下なのに挙動不審とか止めて下さいよ。一緒にいらしていたスティヒ宰相様だって『だから何度も言っていたのに』って顔してますよ?学園長ですら、呆れて溜息を零していらっしゃいます。
 アイクロメア王国の国王陛下と、宰相様、そして学園長は同級生です。そして、旦那様はライラクスからアイクロメアへ留学され、年齢は一つ上でしたが、共に特別クラスで学んだ仲だとお聞きしております。

(まぁもっとも、陛下に至っては特別クラスではなく、貴族科でしたけどね。宰相様と学園長と旦那様と、奥様が特別クラスです)

「いっそのこと、そちらの男爵令嬢とやらと婚約を認めてやればいいのでは?スティヒ殿、悩ませていた問題が片付いたではないか」
「ご冗談を、あのまま男爵令嬢を側妃にしたが為に、このような王太子が出来上がったのですから。王妃教育も存分に受けれないような令嬢は、もう結構です」
「なっ!?スティヒ宰相、貴様!父上にも母上にも無礼だろう!」
「陛下がそうお考えになるのでしたら、我がスティヒ家にも考えがございます。ああ、それと愚息はこのまま廃嫡いたします」
「父上!?」
「お前には失望した」

 居た堪れなくなり俯いたままの国王陛下を放置して、旦那様とスティヒ宰相様は淡々と会話を続けられています。周りにも聞かせるほどの音量ですので、周りの学生達の哀れそうな瞳が印象的です。こんな会話を繰り広げられている学園長は、苦虫を噛み潰したような顔ですね。心中お察し致します。
 一方廃嫡を宣言されてしまった宰相子息様、失礼、元宰相子息様でしたね。ルイズ殿はがっくりと項垂れてしまい、周りのご子息様に慰めて貰っているようですが、ボールド男爵令嬢は興味無いと視線を向けようともしません。

(まずは一人ですか、纏めて片付けないと意味がありませんね。こんな無能な国王陛下なら難しい案件でしたか)

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