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学園編
其の十六
しおりを挟むにっこりと微笑みを浮かべられたリーユお嬢様は、天使のような見た目や微笑みとは違い、礼儀には容赦のない方です。公爵令嬢として育てられたリーユお嬢様だからかもしれませんが。
「それは、貴女が受けるべき罰ではなくて?」
「な…っ」
「ヴァルご説明してあげなさい」
「はい。公爵令嬢への礼を欠いた突然の呼び出しや、不当な言いがかり。有りもしない罪状、全て企んでいたのはボールド男爵令嬢だと調べはついております。それに、身分が遥かに上のヴェルヴェーヌ公爵令嬢に対して、あまりにも失礼な態度は、それ相応の罰を受けてしかるべきかと」
言いたい事が解っているのかいないのか、私の言葉を唖然として聞いていたボールド男爵令嬢でしたが、我に返ったのか勝ち誇ったような笑みを口元に浮かべています。
「其れがなんだって言うのよ、コレは私の為に用意された世界なのよ!だから私は王太子様の恋人にもなったし、沢山の取り巻きもいるわ。まぁ、使えない連中もいますけど」
「ですから、其れがなにか?現に、貴女が今断罪されておりますのよ?それに、私クラスの方々にご相談を受けました。あまりにもご心痛でしたから協力する事に致しましたの。ルファ」
「はい、リーユ様」
パチンッと扇を閉じ、にっこりと微笑みを浮かべるとルファエルを呼び、側へと付かせる。こういう調査関係はルファが得意とすることなので、私達には出番はない。ただし、ルファエルではリーユお嬢様を守る事が出来ないので、そのへんはゼルクとイスラが補佐をしています。
(ルファエルの最大の防御は攻撃・暗殺ですからね)
「ツィンク侯爵令嬢、カーラ伯爵令嬢、アモル伯爵令嬢から婚約者に近付く不届きな男爵令嬢がいるとのご相談ですが、同一人物。つまり、ボールド男爵令嬢です」
「婚約者がいる男性ばかりを狙ってお声をかけるなんて、はしたない以前の問題ですわよ?ボールド男爵令嬢」
「違う、それは全部攻略対象だったから!」
「リーユ様。王太子殿下以外にも、第二王子の正妃候補となっているルオマール公爵家からも旦那様宛てにお手紙でご相談が届いておりました。意図して高位貴族ばかりを狙っているとしか思えません」
「まぁ、国を滅ぼしたいのかしら?」
リーユお嬢様の言葉に、国王陛下だけでなくエアレズ殿の瞳が見開かれた。どうして其処まで考えが働かないのか多いに疑問だが、この国の政務はスティヒ宰相が方々を駆けずり回り、ライラクス国と交友を温め連絡を取り合う事で平和を築いている。
騎士団長も魔術師団長も、この場には呼べないほどに地方を駆け回っていると言うのを、子息なら勿論知っている事です。しかも、この務めは代々引き継がれていきますので、その様に嫡男は教育されているのです。
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