悪役執事

梛桜

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花の朔祭編

其の五

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 微笑みを浮かべるルファエルに、リーユお嬢様のヴェールを被せ顔を近づけて話を続けていると、イスラが帰ってきました。ゼルクの腕に抱き上げられたままのリーユお嬢様は、まだ飴細工に夢中のようですね。もしかしたら何本か細工を頼んでいるのかもしれませんが。

「買い忘れはもう御座いませんね?リーユお嬢様」
「ええ、もう大丈夫よ」
「馬車に全て積んで着ました、後は宿の方に連絡をすれば大丈夫です」
「そうですね、多少の予定変更はありますが…。リーユお嬢様?」

 イスラに荷物の確認をして、探索の網に引っ掛かった敵が動いたとの合図をルファエルが出しました。離れた場所でリーユお嬢様の相手をしているゼルクに視線を向けると、こっちを向き頷くのを確認。

「少し、疲れたみたい」
「いけませんね、私がお連れ致しましょう」
「僕がいきましょうか?」
「イスラには仕事をお願いします、私達とゼルクへ魔法防御結界を」
「はい」

 イスラの『神の加護』それは絶対的な『補助魔法の使い手』だという事。その能力のお陰で、魔道具を使ったと思われる、ボールド男爵令嬢から逃げられたのだと言ってもいいでしょう。イスラ本人はきっと顔なども覚えていないのでしょうが、予測をすればそうなります。

(つまり、イスラを実験台にしたとしか思えないんですよね)

 ボールド男爵令嬢は昨日の今日で、未だ王城に拘束されているでしょう。魔道具は確かに出てきたとルファエルからの報告にありましたから、抜け出す事が出来るほど、王宮の警備が穴だらけだとは思いたくはないですが…。
 問題だらけの廃嫡された王太子を思うと、安心出来ないのがどうかと思います。そもそも民が安心出来ない王国など潰れてしまえばいいのにと思います。

(掛かるなら、馬鹿かそれとも…)

 リーユお嬢様に扮したルファエルの手を取ると同時に、近くで騒ぎが起き始める。見なくてもゼルクなら、しっかりと腕に抱えたリーユお嬢様を守っているだろう。イスラは神経を集中しているのか、顔が険しくなっている。

「エアヴァル様、何者かが此方に来ます!」
「イスラはリーユお嬢様を御守りするように」

 手を取った『令嬢』の身体を引寄せ、走り出す。ドレスに足を絡ませて戸惑っている振りの上手いルファエルに笑みを見せ、横抱きに抱えると不満そうな顔をされてしまいました。心外ですよね。リーユお嬢様を御守りするなら、これくらい軽いですよ。

「追って来る気配は三つ、男」
「覚えがあると言ってましたね、何処の馬鹿でしょう?」
「昨日の気配は確かに」

 昨日リーユお嬢様に変な言い掛かりをつけてきた馬鹿達を思い出し、王宮や貴族の家の穴の開いた警備に頭が痛くなりました。
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