鬼の時

またたび

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1章 青き光

青鬼

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雑居ビルの階段、血の付いた白いエナメル靴、階段を登って行く足音。屋上の扉を開ける。パンと、乾いた銃声、日本刀を突き立て腹を押さえる一人のヤクザ、「痛て~」。
「落とし前付けに来たぜ。」「そこの金髪退け!」刀を振り上げた男に、玉切れの拳銃を投げつける男、「わかった、お前の兄貴にはすまない、だがこの世界に生きるためには。わかってくれ、」「あぁ、お前うちの組に来ないか?お前程の男なら。」
「アホぬかせ、」と振り上げた刀を眉間にピタリと止め、歩を進めながら横の金髪を睨む、「この組も終いや、母ちゃんのとこ帰れ!」
一歩また一歩、追い詰められ、踵が屋上の縁にかかり、命乞いをする男。
「兄貴に謝ってこい!」と刀を振り上げる男。
のけ反る様に落ちる男。「なんで?」言い残し堕ちて行った。
「バケモノかよ?腹に食らってるのに?」グシャグシャに泣きながらチビって話す金髪。
「今時のヤクザは頭も良くないと」「防弾ベストじゃ」「今どきはオークションで買える時代なんじゃ。」と金髪を睨む。
この男、誠龍会組長、青山誠、幼い頃に交通事故で両親を亡くし、親戚をたらい回しにされ、高校入学と同時に一人暮らし、自力で大学まで卒業したが、不景気のせいか、今は極道者。高校、大学と剣道をしていた、剣道4段。
大学では、大規模農業の土壌改良の論文で博士号を受ける等の変わり種エリートヤクザである。
親の愛情が幼い頃に断ち切られ、親戚を転々として生きた子供の時、愛情に飢えて、何かを探していた。
大人になっても不遇は続き、不景気でリストラされた、アパートの家賃も払えず、追い出され行く宛もなく、さ迷っていたときに転がり込んだ元彼女のアパート。
しかし、彼女のお兄さんはヤクザだった。半殺しになりかけたが、彼女がかばってくれた、彼女と彼女の兄、こんな暮らしの中、家族の暖かさを久しぶりに感じた、時には親父、本当の兄の様にいろんなこと、誠を大人にしてくれた。楽しかった、いつまでもこのままで、居たかった。
妹の病気の為にどんな嫌な仕事もして、組を分けてもらい組長になった兄。
しかし、程なくして妹は旅立った。「いつかはお前の組になるからな」って、俺の名前入れてくれた兄。
「兄貴の仇取ったよ」と誠。
涙が屋上から、落ちた。
落ちた男を見下ろす誠、後ろから、ドン!と押された。「金髪?」落ちながら、兄貴と彼女の顔を思い出す、ドスンと地面に叩きつけられ、息が出来ない、「俺もそっちに逝くね」って。「あいつと兄貴は、どの星かなぁ」と呟きこんなに星が綺麗だったなんて。と思いながら静かに目を閉じた。
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