BL団地妻on vacation

夕凪

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 ビーチ脇の木陰で、いやらしい水着姿の青年が、パーカーを脱ぎ落した。
 赤いビキニサスペンダーが、卑猥に皮膚に食い込んでいる。
 
 青空に向かって伸びる背の高いヤシの木の幹に、彼は背を預けて立っていた。
 
 ビーチから見えにくい場所ではあったが、完全な死角というわけでもない。
 砂浜に置かれているリクライニングチェアの位置によっては、見られる可能性は充分にあった。
 
 そんな際どい場所で、羞恥に頬を染めながらも彼は、全裸に近い恰好を晒しているのだ。

「すげぇ恰好だね、お兄さん」

 春日は揶揄いの言葉を口にしたが、興奮に声が少し上擦ってしまった。
 見れば岡本も彼の全身に視線を走らせ、捕食者の目つきをしている。

「なんでそんな恰好してんの?」

 春日が手を伸ばし、人差し指で肩先の紐に触れた。
 そのままゆっくりと赤色を辿ってゆくと、指はぷくりと膨らむ突起に行きついた。
 サスペンダーの幅では隠し切れない、大き目の乳輪。乳首には触らずに、その乳輪部分をカリカリと引っ掻く。
 ひくん、と彼の体が揺れた。

「答えて。なんで、こんないやらしい紐だけの恰好してんの?」

 重ねて問えば、彼の唇が喘ぐように開かれた。

「……お、夫の、言いつけで……」

 消え入りそうなその声を拾って、春日は岡本と目を見交わした。
 
 夫、ということは既婚者か……。

 同性婚はもはや珍しいものでもない。
 どこかの自治体には、同性婚専用の団地も存在するぐらいだ。
 もしかしたらこの彼も、その団地の住人かもしれない。つまり、団地妻だ。

 団地妻、という響きには、古今東西なんだか淫靡な空気が内包されている。


 岡本が、春日が触れているのとは反対の、右側のサスペンダーを弄りながら、尋ねる。

「へぇ……じゃあ、旦那さんの言いつけで、奥さんはこんな変態な恰好してるの?」
「は、はい……」

 奥さんがこくりと頷いた。
 長めの前髪がはらりと流れ、それをまた耳にかける仕草にも色気がある。

「じゃあさ」

 岡本がにやりと笑って、下腹部の方へと手を這わせた。
 丸見えのパイパン部分を触ろうとしたのではない。

 右の……奥さんからは左側になるが……サスペンダーの股間近くには、四角いモノが挟まれていて。
 岡本がそれを紐から抜き出し、奥さんの目の前で広げてみせた。

 個包装された薄いパッケージが、縦に二列、横に五つ連なっている。
 中身が円形の盛り上がりを見せるそれは、コンドームであった。

 ペリ……とひとつを切り離しながら、岡本が粘っこい口調で問いかけた。

「コレも使って来いって、旦那さんの言いつけなわけ?」
  
 コレ、とコンドームをひらつかせた岡本が、春日の分も切り離し、手渡してくれた。残りの八つは、再び奥さんのサスペンダーに挟む。

 奥さんが忙しない瞬きをし、顔を俯けるようにして頷いた。

「は、はい……」

 恥じらいながらも、そう答えて。
 奥さんが体を捻って春日たちに背を向ける。
 その、バックスタイルもすごかった。

 赤いサスペンダーは尻たぶに食い込み、そこからVの字で上へと伸びている。

 ただの紐なので、タマも丸見えになっている。
 
 同じ男のはずなのに、奥さんの体はいやらしかった。
 尻の肉づきも、むっちりとしている。
 
 奥さんは右手を尻に掛けて、そこをむにっと外側へ開いた。

 赤い紐の向こうに、慎ましやかな孔が見える。
 奥さんのそこは……濡れていた。

「そ、それを使って……オレのここに挿れてください……」

 
 ヤシの葉の隙間から差し込む木漏れ日が、奥さんの孔に仕込まれたローションを、淫猥にぬらりとテカらせた……。

 



 
 
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