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テオバルドの奮闘
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ハイマンがこちらを振り返った。
テオバルドは足を止め、潜めた声で尋ねた。
「状況は?」
「リヒト様はひとりで屋敷から出てこられた。俺とザックは門で待機していたが、扉の音がしたから見に行ってみたら、リヒト様がふらふらと歩いてこられていた。因みに玄関からここまでですでに三回転んでいる」
淡々としたハイマンの報告に、テオバルドはヒェッと悲鳴を上げた。
この別宮は元々、何代か前の国王が娘のために建てたものらしい。
長らく使われていなかったここを、ユリウスが実に五年もの年月をかけて改装したと聞いている。
目の悪いリヒトでも安全に移動できるよう、段差をなくし、至るところに手すりを設置した。二人で使う寝室やその周囲は特に熱心に検討に検討を重ねて、快適に過ごせるよう、移動の手間がないよう、手を入れまくったらしい。
そのユリウスの配慮は、門から玄関まで続くこの通りにも如実に表れている。
平らに均された道には小石などが入り込まぬよういつもきれいに保たれていたし、道の端には手すりがつけられていた。リヒト自身が外に出る機会は乏しかったが、いつ出てもいいように、環境面は常にきちんと整備されている。
しかし、いまリヒトが歩いているのは通りの真ん中あたりだ。もっと左か右に寄ってくれれば手すりを伝って歩けるのに、夜の闇に手すりが溶け込んでしまい、その存在自体に気がついていない。
玄関前ぎりぎりまで馬車がつけられるよう設計された道幅は、広い。そこをよたよたと歩く白い影に、テオバルドは頭を抱えたくなった。
「怪我は?」
「恐らく擦り傷程度だと思うが……お支えした方が良かったか?」
「いや、正直どっちに対して怒られるのかまったくわからないからなんとも言えない」
リヒトに怪我をさせてしまうことと、リヒトをユリウス以外のアルファに触らせること、どちらがよりユリウスの逆鱗に触れるのか、テオバルドには想像もつかなかった。
だがこれ以上転ばせるわけにはいかない。リヒトに触れることのできなかったアルファのハイマンはともかく、テオバルドの見ている前で転倒でもさせようものなら、ユリウスにどんな叱責を受けることか。
リヒトが転ぶのがわからなかったのか、それとも見えていなかったのか、ずいぶんと立派な目を持っているんだな、テオは。
想像の中のユリウスが冷たい声で舌鋒鋭く囁いてくる。
テオバルドは震えあがりながら、とにかくリヒトを呼び止めようと手を伸ばしかけて……ふと躊躇した。
こんな夜中に、リヒトはどこに、なにをしに行こうとしているのか。
デァモント教団に居た頃の記憶が戻っているかもしれないリヒト。
断食をして、日々祈りを捧げていたリヒト。
彼がデァモントの間者かもしれない、という疑惑は微塵もない。
五感の弱いリヒトにそんな大役が務まるとも思えなかったし、十二年という年月をユリウスと過ごして、身分を偽り続けるなんて真似は到底不可能だろう。
五感が弱い、というのも演技ではない確信があった。
彼が演技をしていただけならば、きっとユリウスに早々に看破されていただろうし、そもそもこんな平坦な道で三度も躓いたりしないだろう。
ただ、リヒトがなにをしようとしているのか、それをつきとめないことには、いま屋敷に連れ戻すことができたとしても、またこんなふうに抜け出さないとも限らない。
けれどこの不思議ちゃんを呼び止めて、それをストレートに尋ねても、素直に答えてくれるとはテオバルドには思えなかった。
というのもリヒトはなんというか……遠慮のかたまりのようなところがあって、いつも言葉を飲み込んでしまうからだ。
テオバルドが「どうされました、どこに行かれるんですか」と訊いたところで、金色の大きな瞳を瞬かせて、「いえ……」と小さな声で返してくるだけだろうと、安易に予想がついた。
これがユリウスだったなら、リヒトも素直に希望を口にするだろうに。
基本的にユリウスにしか慣れていないこの子を、仕事とはいえひとり残していったユリウスを恨む気持ちが沸々と湧いてきたが、いまさらそれを言っても事態は改善しない。
テオバルドが躊躇している間にも、リヒトはふらつきながら歩いている。
このままいけばまた転んでしまうだろう。
そう思った矢先、リヒトの体が前につんのめった。なぜだ。なぜなにもないところで転ぶんだ。
テオバルドは咄嗟に彼の前に回り込み、両手で細い体をキャッチした。
リヒトは不思議そうにまばたきを二回して、それから両手をテオバルドの方へと伸ばしてきた。
「だ、誰か、居ますか?」
頼りない声が小さな唇から漏れる。
そうか、暗いから人影も見ることができないのか。
そう察知したテオバルドは、リヒトの姿勢をきちんと戻してから手を離し、外套のフードを手繰り寄せて深く被った。リヒトのすぐ後ろにハイマンが居るので、彼の持つランタンで己の髪の色などがリヒトに見えないように、念のための用心だ。
おのれの顔と髪を隠しながら、テオバルドは息を吸い込んだ。
リヒトが『ユリウスの屋敷の従者』に遠慮があるとするなら、『通りすがりの知らないひと』を装えば彼がどこに行こうとしているのか探ることができるかもしれない。
別人になりきれ。
ユリウスの侍従・テオバルドではなく、まったくの別人に……。
「あ、あらあら大丈夫? ひとりぼっちでこんなところに居るなんて、どうしたのかしら」
テオバルドの喉から、裏声が飛び出した。
ハイマンがぎょっとした顔でこちらを見ている。おまえそっちの気があったのか、というような顔つきだ。
違う。断じて違う。これは演技だ。
目でそう訴えてから、テオバルドはリヒトの反応を伺った。
リヒトは金の瞳を真ん丸にして、こちらを見つめてくる。テオバルドだとバレいるのだろうか。冬の寒さだけでない悪寒が背中を駆け抜けた。
テオバルドだと見抜かれたとしたら、自分は完全に痛いひとだ。
しかしリヒトの弱い五感は、テオバルドに味方した。
リヒトは小首を傾げ、
「どなたでしょうか。お屋敷のひとですか?」
と困惑したように尋ねてくる。
テオバルドはそれに、渾身の裏声で答えた。
「いいえ。通りすがりのただの女ですわ」
テオバルドは足を止め、潜めた声で尋ねた。
「状況は?」
「リヒト様はひとりで屋敷から出てこられた。俺とザックは門で待機していたが、扉の音がしたから見に行ってみたら、リヒト様がふらふらと歩いてこられていた。因みに玄関からここまでですでに三回転んでいる」
淡々としたハイマンの報告に、テオバルドはヒェッと悲鳴を上げた。
この別宮は元々、何代か前の国王が娘のために建てたものらしい。
長らく使われていなかったここを、ユリウスが実に五年もの年月をかけて改装したと聞いている。
目の悪いリヒトでも安全に移動できるよう、段差をなくし、至るところに手すりを設置した。二人で使う寝室やその周囲は特に熱心に検討に検討を重ねて、快適に過ごせるよう、移動の手間がないよう、手を入れまくったらしい。
そのユリウスの配慮は、門から玄関まで続くこの通りにも如実に表れている。
平らに均された道には小石などが入り込まぬよういつもきれいに保たれていたし、道の端には手すりがつけられていた。リヒト自身が外に出る機会は乏しかったが、いつ出てもいいように、環境面は常にきちんと整備されている。
しかし、いまリヒトが歩いているのは通りの真ん中あたりだ。もっと左か右に寄ってくれれば手すりを伝って歩けるのに、夜の闇に手すりが溶け込んでしまい、その存在自体に気がついていない。
玄関前ぎりぎりまで馬車がつけられるよう設計された道幅は、広い。そこをよたよたと歩く白い影に、テオバルドは頭を抱えたくなった。
「怪我は?」
「恐らく擦り傷程度だと思うが……お支えした方が良かったか?」
「いや、正直どっちに対して怒られるのかまったくわからないからなんとも言えない」
リヒトに怪我をさせてしまうことと、リヒトをユリウス以外のアルファに触らせること、どちらがよりユリウスの逆鱗に触れるのか、テオバルドには想像もつかなかった。
だがこれ以上転ばせるわけにはいかない。リヒトに触れることのできなかったアルファのハイマンはともかく、テオバルドの見ている前で転倒でもさせようものなら、ユリウスにどんな叱責を受けることか。
リヒトが転ぶのがわからなかったのか、それとも見えていなかったのか、ずいぶんと立派な目を持っているんだな、テオは。
想像の中のユリウスが冷たい声で舌鋒鋭く囁いてくる。
テオバルドは震えあがりながら、とにかくリヒトを呼び止めようと手を伸ばしかけて……ふと躊躇した。
こんな夜中に、リヒトはどこに、なにをしに行こうとしているのか。
デァモント教団に居た頃の記憶が戻っているかもしれないリヒト。
断食をして、日々祈りを捧げていたリヒト。
彼がデァモントの間者かもしれない、という疑惑は微塵もない。
五感の弱いリヒトにそんな大役が務まるとも思えなかったし、十二年という年月をユリウスと過ごして、身分を偽り続けるなんて真似は到底不可能だろう。
五感が弱い、というのも演技ではない確信があった。
彼が演技をしていただけならば、きっとユリウスに早々に看破されていただろうし、そもそもこんな平坦な道で三度も躓いたりしないだろう。
ただ、リヒトがなにをしようとしているのか、それをつきとめないことには、いま屋敷に連れ戻すことができたとしても、またこんなふうに抜け出さないとも限らない。
けれどこの不思議ちゃんを呼び止めて、それをストレートに尋ねても、素直に答えてくれるとはテオバルドには思えなかった。
というのもリヒトはなんというか……遠慮のかたまりのようなところがあって、いつも言葉を飲み込んでしまうからだ。
テオバルドが「どうされました、どこに行かれるんですか」と訊いたところで、金色の大きな瞳を瞬かせて、「いえ……」と小さな声で返してくるだけだろうと、安易に予想がついた。
これがユリウスだったなら、リヒトも素直に希望を口にするだろうに。
基本的にユリウスにしか慣れていないこの子を、仕事とはいえひとり残していったユリウスを恨む気持ちが沸々と湧いてきたが、いまさらそれを言っても事態は改善しない。
テオバルドが躊躇している間にも、リヒトはふらつきながら歩いている。
このままいけばまた転んでしまうだろう。
そう思った矢先、リヒトの体が前につんのめった。なぜだ。なぜなにもないところで転ぶんだ。
テオバルドは咄嗟に彼の前に回り込み、両手で細い体をキャッチした。
リヒトは不思議そうにまばたきを二回して、それから両手をテオバルドの方へと伸ばしてきた。
「だ、誰か、居ますか?」
頼りない声が小さな唇から漏れる。
そうか、暗いから人影も見ることができないのか。
そう察知したテオバルドは、リヒトの姿勢をきちんと戻してから手を離し、外套のフードを手繰り寄せて深く被った。リヒトのすぐ後ろにハイマンが居るので、彼の持つランタンで己の髪の色などがリヒトに見えないように、念のための用心だ。
おのれの顔と髪を隠しながら、テオバルドは息を吸い込んだ。
リヒトが『ユリウスの屋敷の従者』に遠慮があるとするなら、『通りすがりの知らないひと』を装えば彼がどこに行こうとしているのか探ることができるかもしれない。
別人になりきれ。
ユリウスの侍従・テオバルドではなく、まったくの別人に……。
「あ、あらあら大丈夫? ひとりぼっちでこんなところに居るなんて、どうしたのかしら」
テオバルドの喉から、裏声が飛び出した。
ハイマンがぎょっとした顔でこちらを見ている。おまえそっちの気があったのか、というような顔つきだ。
違う。断じて違う。これは演技だ。
目でそう訴えてから、テオバルドはリヒトの反応を伺った。
リヒトは金の瞳を真ん丸にして、こちらを見つめてくる。テオバルドだとバレいるのだろうか。冬の寒さだけでない悪寒が背中を駆け抜けた。
テオバルドだと見抜かれたとしたら、自分は完全に痛いひとだ。
しかしリヒトの弱い五感は、テオバルドに味方した。
リヒトは小首を傾げ、
「どなたでしょうか。お屋敷のひとですか?」
と困惑したように尋ねてくる。
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