溺愛アルファの完璧なる巣作り

夕凪

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ふたつの体

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「病気じゃないよ。むしろ健康な証拠だ」

 ユリウスはリヒトのそこを指先でそっとつついた。
 孕む性とも言われるオメガの男性器は、雄々しく発達することは少ない。アルファに比べるとささやかなほどの大きさだ。
 リヒトの場合はそれに加え、下生えもなく形も子どものままで、欲望の対象にすることにひどい背徳感を覚えさせた。しかしリヒトの匂いはとろりと甘くユリウスを誘っている。そのアンバランスさがたまらない。

「リヒト、触るよ」

 予告してから指で性器に触れる。
 リヒトは不思議そうにその動きを目で追っていた。

 ユリウスがリヒトのここに触るのは、珍しいことではない。お風呂のときはユリウス手ずから洗ってあげていたし、昔はおむつも変えていた。
 だからリヒトも触られることに抵抗を覚えた様子もない。

 けれど、これまでと違うのはユリウスの手が、快感を与えるという明確な意図を持って触れたことだった。

 始めはただじっと受け入れていたリヒトが、次第に腰をもぞもぞと動かし、ユリウスが可愛らしい雄蕊の先端を指の腹でぷちゅっとくじる段になると、
「い、いやです、いや、ゆぅりさまっ」
 と両手でそこをガードしようとしてきた。

「リヒト、大丈夫。気持ちいいことしかしてないよ」
「でも、あっ、あぅ……あっ、だめ、だめです」

 リヒトのそこが先ほどよりも膨らんでいる。
 硬くなった欲望は、リヒトが間違いなく快感を得ている証だ。

 ユリウスは指をそこに巻き付け、やわらかく上下に動かした。割れ目から透明な液体がこぼれ始めている。それが幹を伝い落ちてきて、ユリウスの手を湿らせた。

「ひゃっ、あ、ゆ、ゆぅりさま、手を、」

 止めて、と訴える途中、リヒトが腹部を波打たせて身を捩った。
 闇雲に伸ばした手が、シーツをぎゅっと掴んでいる。
 リヒトが見せるどの仕草も、ユリウスの劣情をこれ以上ないほどに煽ってきた。

 ああ、可愛い。
 可愛くて可愛くて、可愛い。

 ユリウスはおのれの体の位置を下げ、リヒトの股間へと顔を近づけた。
 リヒトの目が見開かれている。
 唇が開いた。そこから制止の言葉が飛び出る前に、ユリウスはリヒトの性器を口に含んだ。

「ひぃあっ、あ、た、食べないでくださいぃ」

 まさか本当に食べられるとでも思ったのだろうか。あまりに可愛いセリフにユリウスは喉奥で笑いながら、リヒトのそれに舌を這わせた。

 ずっと舐めていたい。そう思えるほどに咥え心地がいい。
 リヒトの性器は小さいから、すべてを口に収めても全然余裕がある。だから思う存分舌を使うことができた。

 びくっ、びくっ、と痙攣するようにリヒトの腰が跳ねあがった。
 まるでユリウスの口を犯すかのような動きだ。牡の本能を感じさせる動作に、リヒトもやっぱり男の子なんだなぁと思った。

「ああ~っ、あっ、ゆぅ、り、さまっ、はな、はなして、はなしてっ」

 リヒトがユリウスの髪を掴んで引っ張った。
 ふだんのリヒトであれば、こんな無遠慮な真似は絶対にしない。それほどに余裕を失っている。
 けれどユリウスの口淫に翻弄されているから、頭皮がわずかに引きつれた程度で、力はほとんど入っていなかった。

 性的な刺激に耐性がないリヒトは、ユリウスの口であっという間に高みに追い詰められたようだった。

「ゆぅりさまっ、あっ、ああっ、も、もれちゃいます、あっ、あっ、あっ、あっ」

 切れ切れの嬌声を上げたリヒトが、シーツを蹴った。
 必死に逃げようとする腰をがっしりと掴んで、ユリウスはそれを吸った。

「ひっ……あ、あ、あ、~~~~っっっ!」

 声もなく、リヒトが逐情した。
 ユリウスの口腔内に、少量の精液がぴゅっと吐き出された。

 リヒトの初めての射精だ。

 年齢を考えれば当然なのだが、精通していたことにユリウスは安堵するような感動するような気分を味わった。

 口の中の液体を、ごくりと飲み下す。
 美味しいわけがないそれが、おのれのオメガのものだと思うだけで甘露以上の味わいとなっていた。

 ようやく口から解放した性器は、くたりと垂れて縮んでいる。
 可愛い。リヒトは本当にどこもかしこも可愛い。
 ユリウスは力を失ったそれを舐めて清めた。

 ひく、ひく、と初めての絶頂に身を震わせていたリヒトは、しばらく呆然と虚空を見つめていたが、ユリウスが頬を撫でて、
「大丈夫?」
 と囁くと、ハッとしたようにまばたきをして、それから「うぇぇ」と泣き出した。

「ゆ、ユーリ様、ごめんなさい、僕、漏らしちゃってごめんなさい。ぼ、僕のおしっこが、ゆぅりさまのお口に入ってしまいました……」

 裸体は隠さないくせに、お漏らしが恥ずかしかったのか両手で顔を隠して涙を流すリヒトのひたいにキスをして、ユリウスは笑いをこらえながら話しかけた。

「違う違う。リヒト、お漏らしじゃないよ。いまのは射精って言うんだ」
「……しゃせい?」
「おしっこが出たんじゃなくて、精液が出たんだよ」
「……せいえきってなんですか」
「う~ん……」

 ユリウスは眉をしかめてどう説明したものか頭を悩ませた。

 リヒトが純真すぎてもはや恐ろしい。
 けれど、そう育てたのは僕なんだ、と思うと優越感とも達成感とも言えぬ、どう表現していいかわからない感情が湧き上がってくる。

「精液は、リヒトが大人の男になったっていうしるしだよ」

 ユリウスの説明に、リヒトが顔からそろりと手を外して、可愛い両目を覗かせた。

「大人のしるし、ですか?」
「そう」
「じゃあ、ユーリ様も出ますか?」

 長い睫毛をそよがせて、リヒトが問いかけてくる。

「……出るよ。僕も大人だからね」
「本当ですか?」
「なんで疑うの」

 ユリウスが笑うと、リヒトがじっとこちらを見つめ、それから驚くことにユリウスの下腹部へと手を伸ばしてきた。

「うわっ」

 思わずリヒトから体を離したユリウスを追って、リヒトが仰向けになっていた体を起こす。

「僕も、ユーリ様に触りたいです。ユーリ様と同じようにすればいいですか?」
「リヒト、リヒト、ストップ。僕のはいいから」

 じり……と後退したユリウスの下半身は、まだズボンを履いたままだ。寝間着は伸縮性のあるゆったりとやわらかな生地でできているから、股間の膨らみは辛うじて隠せているけれど、触られるとさすがに平然としてられない。

 しかしリヒトは謎の積極性を発揮して、
「でも僕も、ユーリ様のを舐めたいです」
 と訴えてきた。
 性的な知識がない分、ユリウスがリヒトへした行為がそのまま躊躇なく吸収されているようだ。

 けれどユリウスがリヒトのそれを口淫することと、リヒトがユリウスのものを咥えることは、難易度がまったく違う。ユリウスの男根はアルファらしく雄々しくみなぎっており、リヒトの性器とは大きさも形も違うのだ。

「リヒト、今日のところは……」 

 おのれのオメガを愛撫してふだんよりなお硬く太くなっているユリウスのそこを見たら、リヒトは怯えてしまうのではないか、という心配から、ユリウスはリヒトの申し出をやんわり断ろうとしたのだが……。

 シーツから腰を上げかけたリヒトが不意にまた「うぇぇ」と泣き出したから驚いた。
「リヒト?」

「ユーリ様は、嘘つきです」
「ええ?」
「お漏らしじゃないって言ったのに、お尻が濡れてます」

 べそべそと目をこすったリヒトが、座っていた場所からお尻を上げた。

 リヒトの申告通り、シーツには染みができている。
 その濡れた部分からリヒトの臀部まで、ぬちゅ……と糸を引いて粘ったそれは、オメガの淫液であった。
 

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