【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

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第7話

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「ひっ! ひんっ!」

 腰を持ち上げられて、指でその場所を執拗に突かれ、押し潰され、擦り上げられ……いつの間にか垂らされた香油でぐちょぐちょと音を立てる。
 口から涎が垂れた。
 膝立ちにされた事で、俯くと自分の立ち上がった性器が見える。
 こちらも先走りを垂らしてすっかり悦んでしまっていた。
 指だけで——……指でこんなに、気持ちいいのなら……。

「あっ! んぁあぁ!」

 頭が真っ白になる。
 腹の下がぎっ、と熱くなり、解放感と息苦しさが同時に襲ってきた。
 達したのだろう。
 その瞬間を待ち望んでいたように、指は引き抜かれた。
 キュッ、と自分でも尻穴が締まったのを感じる。

「っはぁ、はぁ、はぁっ、はぁっ」
「達する時は『イク』と言えと教えていただろうに……」
「あ……す、すみませ……」
「もう一回だな」
「え! あ、ひぃ!」

 再び中に指が三本……同時に入ってきた。
 その衝撃。
 目がチカチカと点滅する。
 中を引き摺り出しそうなほどの勢いで出し入れされると、香油の香りと淫靡な水音が意識を持っていく。

「ああ、そうだな。確かに、挿入れたら気持ちがいいだろう、俺も貴殿も。分かるか? 指を挿入れた途端、ぎゅうぎゅうと指を喰らうように締めつける。内壁がうねり、奥へ奥へと誘おうとするのだ。なんと浅ましい事だろうな? 貴殿のここは」
「っ~~~!」
「ん、今日は石床だからな……特別に俺の脚に乗せてやろう。打身などの怪我でもされて、痕になっては敵わん」
「!?」
「存分に感じろ」

 グッと肩を掴まれ、持ち上げられた。
 指は入ったまま。
 黒曜帝の逞しい腕で、その膝の上に乗せられた。
 自重により、三本の指がより深いところへと入り込んでいく。
 その場所はまだ、黒曜帝の指でも到達した事のない場所。
 未知の領域だ。
 あまりにも、あまりにも深い。
 そこまで奥は初めてだ。

「っあ……」
「ヒオリよ、なあ、分かるか? 俺の一物を貴殿のここに挿入れてしまえば、ここよりもっと奥を穿ち、抉る事になる。指でさえ苦しいだろう?」
「…………」

 涙がつぅ、と流れていく。
 言われる通り、まだ未開の場所に指が入り込むととても苦しい。
 辛うじて「は、い」と答えると、薄っすら見える笑みは深くなった。

「貴殿の身はまだ幼い。そして、まだ未開の地なのだ。……ユイエンの領主、貴殿の父には恩がある。である以上、迂闊に傷つけたくはないのだ」

 髪に唇が落ちてくる。
 馴染ませるように、奥に入り込んだ指が少しずつ中を拡げているく。
 それは、まだこの行為が始まったばかりの頃の動きと似ていた。
 つまり、ヒオリの体にはまだ開発の余地がある。
 それが終わらなければ、黒曜帝の逞しいモノに貫いてもらう事は……出来ない。

「んっ、うっ、ん……くっぅ」
「だが、そうだな……貴殿が、俺をそうも望んでやまないというのなら……張り型を贈ってやろう。それで存分に己を開発し、俺を受け入れる準備を自らで進めてみよ。言っておくが、世話係の者に調教師を雇ってはどうか、などと言われても頷くなよ。貴殿自身で、貴殿自身を拡げていくんだ」
「……な、なぜ、ですか?」

 調教師というのは今日読んだ物語に出てきた。
 あの奴隷の娘と、主人の男の淫らな物語。
 そこで、主人以外の男として登場したのが調教師だ。
 奴隷の娘をより淫らに貶めるため、あの手この手で娘を辱しめていた。
 だが、描かれた手腕はどれも効果的なものばかりだったように思う。
 物語なのだから、都合よくいくのは当たり前なのかもしれないが……中にはヒオリも試してみたいと思う内容もいくつかあった。
 効果があるのなら、きっと気持ちいい、と。
 現実にも……この国にも奴隷はいる。
 負けた国の貴族や王族、それに準じた者たち。
 彼らは見せしめとして奴隷に身を落として、平民に使われる立場となっていた。
 無論、むやみやたらに傷つけたり殺したりは黒曜帝の敷いた法により許されない。
 しかし、女の奴隷は性玩具として、娼婦の代わりにより酷い扱いをされていると故郷にいた頃の噂で耳にした。
 幼いながらに可哀想だ、と感じたのを覚えている。
 そして父は、そういう噂があったから時の皇帝と交渉したのだ。
 今はどうなのかまでは、分からないけれど。
 奴隷が存在するのなら調教師も存在するのだろう。
 なにより、世話係たちや現に皇帝さえもその存在を口にしている。
 頼れ、頼るな。
 言っている事は正反対だが。

「それは………、………迂闊に他者に任せて傷つけられては困るからだ。貴殿はユイエン氏からの預かりものなのだからな。俺の見ていないところで、貴殿になにがあったら申し訳が立たん」
「…………」
「返事は?」
「あ、は、はい」

 この話になると、どうもいつも、引っかかりを覚える。
 父と縁が深いのは前皇帝のはず。
 確かに現皇帝、このお方もまたヒオリの父とは親交があり、恩があると……こう、事あるごとに言うのだが……。

(お父様は、陛下に一体どんな事をしたのだろう? 恩とは一体……)

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