【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

文字の大きさ
15 / 38

第15話

しおりを挟む

ぐるぐる回る頭の中。
快楽と異物への拒否感。
交互に、しかし次第に勝るのは快楽のようだ。
こんな事は一人で張り型と格闘していた時には感情もなかった。

(あ——……へ、陛下、の、やっぱり、気持ち、いい……陛下、陛下のが……)

黒曜帝という、この人からの愛撫が堪らないのだ。
自分ではダメ。
この人でなければ、自分は気持ちよくなれないのだと……そう、その身に叩き込むかのような激しい動き。
突き入れられる度に増す快感。
もっと奥へ、と思うあの欲望がまた膨らんできた。

「手が止まっているぞ」

指摘されて、ゆるゆる指を動かす。
喘ぎながら、下の衝撃を耐えながら、必死に胸の突起を苛め抜く。
指でつまんで引っ張ったり、こねたり。

「んあぁぁ、ああっ、あっ、アアッ……ぁ! あぁー、あっ、も、お、あ! ん、あっ、い、や、ぁ、イクぅ!」

ずるり。
引き抜かれて、愕然とする。
まだ、あと少しだったのに。
半開きの口から垂れる唾液、吐息。
責めるように見上げていただろうに、黒曜帝の口許には相変わらず笑みが浮かんでいた。
それどころか、袖から取り出されたのは細い張り型。
上の方が細く、下の方が太い。
玉でも中に入っているのか、丸が連なっていた。
素材はもらった張り型と同じ、粘り気を含む植物を乾燥させたものの茎だろう。
潤滑油はヒオリの尻の中にたっぷり注がれている。
肩で息をしながら、その異様な形の張り型を見上げた。

「は、はあ、はあ……そ、れ、は……」
「土産だ。この一週間、随分と頑張っていたらしいからな……」
「っ……」
「これで貴殿の奥を開拓してやろう。なに、痛くはない。今のも随分よがっていたではないか。……これに慣れれば、俺のを挿れても……」
「へ、陛下の……」

目線を落とす。
服の隙間から見える凶悪な男根。
それを見た瞬間、背骨を駆けていくような痺れ。
腿を合わせて、もじもじと揺らす。
それを見た黒曜帝は笑みを深くした。

「この体勢のままその腿を味わってもよいが、今日はこの張り型で貴殿の奥を慣らさねばならん。四つん這いになれ」
「……、は、い」

上半身を起こして、膝を立てる。
その間も体の熱は下がる気配がない。
むしろ、待ち望む。
早く、早くと、先程黒曜帝が訪れるのを待つ時間のように。
腿に挟まる熱い肉の塊。
俯いて見れば、いつものようにヒオリの腿の間に黒曜帝の一物が挟まり、その先端が見えた。
じくじく胸が焦がれる。
あれが勢いよく動き出した時、先程の新しい張り型がヒオリの尻穴を犯す。
刺激としては足りないかもしれないが、そんなのは関係ない。

(陛下に……陛下……っ、陛下の……)

尻にゆっくり差し込まれる感覚。
ズプ、ズプ、ゆっくり。
玉が一つ一つ、ヒオリの尻の中に入ってきた。

「んっう……!」

思っていたよりも柔らいが、圧迫感がある。
やはり指よりも太いからだろう。
最初の数個は気にならなかったが、六つほど入ると玉そのものの大きさが増すため腹が痛みと苦しさを訴えた。

「絶景絶景」
「っ!」
「ゆくぞ」

はい、と返事をするよりも早く張り型と黒曜帝の一物が同時に動き始める。
それは、衝撃に近かった。
下半身の中も外も同時に犯される。
玉袋が逞しい一物に押し上げられ、腿を擦られどんどん滑りが良くなっていく。
尻と腿を後ろから激しく叩かれるように、黒曜帝の腰がぶつかってくるのだ。
その刺激だけでも、ヒオリはいつも達しそうになる。
それなのに、今日はそれに加えて尻の穴を球が連なったような張り型が犯す。
中のヌルヌルとした感触は、ヒオリの知らない快感を巻き起こした。
前と後ろと中。
全部が同時に襲いかかってきて、前後不覚になる。
口は開きっぱなし、声は抑えられない。
涙が溢れ、目の前はずっとチカチカしている。
黒曜帝が尻の張り型を扱う反対の手でヒオリの腰を掴み、逃してくれない。
どこへも逃げ場がなく、初めての膨大な快楽に呑まれていった。

「ひっ! い! いや、ぁあ、ダメ、いく、イク、イッちゃ……ヒッ! いっあぁぁあぁあ!」

あっという間だ。
一気に達して、体が熱で朱に染まる。
しかし行為は終わらない。
ヒオリが達しても、黒曜帝が達しなければこの行為は終わる事はないのだ。
いつもの通りに腿に挟んだ黒曜帝の一物が射精するまで、ヒオリは一人よがり狂う。
しかも、今日は尻の穴まで犯されたままなのだ。
指とはまた違う快感。

「あ、あぁ、なんでぇ、いつもより、いつもより、こんなに気持ちいいのおぉっ!」

そして、充足感。
満たされていくのだ。
涙が溢れるほど幸せで、嬉しい。
これはなんだろう。
幼いヒオリには、その充足感の意味が分からない。

「よいか? 俺もよい。いつもより……いや、久方ぶりだからか……!」
「ふぐぅ!」

ぐちゅ。
勢いよく張り型が引き抜かれる。
その排泄に似た感覚は、しかしほとんど同時に一物を突き入れられて目の前が真っ白に染まった。
連続でこんなに達したのは初めてかもしれない。
それなのに、心はまだ、もっとと訴える。
先程感じた充足感では足りないと。

「その身は余程寂しかったと見える」
「うっ、がっ! あっ、はあっ、あ、さ、寂し……?」

 寂しかった?
 寂しかったか、と聞かれれば寂しかった。
 毎晩会っていた黒曜帝に会えなくなって、寂しがった……ああ、そうか、自分は寂しかったのか。
 充足感の正体が寂しさからくるものだと、ようやく理解した。
 いや、正しくは、理解させられた。

「ふぅっ! んぅっ! あ、ああ! だ、ダメダメダメ……! また、イッちゃ、から、あっあああっ!」
「そうかそうかっ、そんなに、イイか」

 あの異物感が気持ちいい。
 腹の中をかき混ぜられる感覚が、どんどん快感にすり替わっていくのが分かる。
 自分の体の感覚が作り変えられるという事。

「そのまま感じるがいい。俺を受け入れられるように、変われ、ヒオリ」
「っうううああぁぁっ!」
「くっ」

 頭が真っ白になる。
 張り型と太腿に出し入れされただけでこんなに気持ちがいいなら、やはり——。

(へ、陛下の……挿れてもらえたら……ぼく……どうなってしまうんだろう……)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...