【R18】黒曜帝の甘い檻

古森きり

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第37話

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 再びゆっくり引き抜き、前立腺を巻き込みながら奥を穿たれる。
 チカチカとする視界。
 そして、今度はすぐにまた引き抜かれ、突かれる。
 連続した刺激。
 喉も背も仰け反った。
 声は、快感が強すぎて出ない。

「っううぅ!」
「くっ、締まりが……」

 涙が溢れる。
 体の芯がどこかへ消えてしまったかのようだった。
 ばちゅん、ばちゅんとクォドとルゥイギーが行為を楽しんでいた時に聞いた音が聞こえる。
 尻をぶたれるように打ちつけられるスェラドの腰。
 彼らの性行為よりは穏やかな動きなのに、ヒオリは全身を震わせて快感を逃がそうと必死になった。
 意識はすでに、数回飛んだ。
 元々非常に感じやすく躾られていた体の、一番感じるところを刺激されているのだから無理もない。
 性奴隷が受けるような調教をたっぷりと一年かけて受けたヒオリは、後宮で媚薬を使った姫よりも、娼館の娼婦よりも敏感だった。

「あっう……!」

 五回ほど飛んだ意識を、突かれると取り戻す。
 上手く呼吸が出来なくなり、くちが開いたままになった。
 スェラドが一度腰を止めると、涙がぽろぽろと溢れる。

「あ……あっ……う……」

 全身が桃色に染まるほど、感じた。
 これがスェラドのものなのだと全身で覚えようとして、しかしその押し寄せた快感に本気で溺れ死にそうになったのだ。
 これは胸まで触れば気絶するだろう。
 それほどまでにこの快感は暴力だった。
 一度止まり、ヒオリの体を気遣ってくれるスェラドに胸の奥がキュウ、と切なくなる。
 しかしとても、とても嬉しい。
 気がつくと外れていた手を必死に伸ばして、しがみつこうとする。
 それを察してかスェラドが前屈みになってくれた。

「あ……う……!」

 中のものがごりり、と動く。
 内壁を抉り、より奥の方へと進んだ。
 体が痙攣して達してしまう。

(あ……ああ……む、むり……こんなの……もう……)

 どうしたらいいのか分からない。
 あまりにも快感が凄まじくて受け止めきれなかった。
 ルゥイギーはこれほどの快楽をどうしてあんな風に笑いながら甘受出来たのだろう。
 あの余裕……愉しみ、相手を翻弄する余裕が羨ましい。
 ヒオリにはまた動かれればそんな事を考える余裕もなく達してしまう自信がある。

「ああ、腹がベトベトだな」

 笑うスェラドに言われて自分の腹が自分の出した精液で、ぐしゃぐしゃなのだと教えられた。
 しかし仕方ない。
 達した記憶も曖昧だ。
 荒い息をなんとか整えて、スェラドを見上げる。

「……スェ、ラド様、に、も……」
「ん?」
「僕の中で……イって欲しい……から……」

 続けて。
 今度はスェラド様がイくまで。
 そう、息も絶え絶えになりながら告げる。

「あ、ぼ、僕が……気絶しても……続けて、ください……そして、どうか……中に……」

 自分は間違いなくこのままされれば気絶する。
 意識を保っていられない。
 その自覚があるので、そう頼んだ。
 鼻先をくっつけ、細まる瞳を覗きながら。

「…………愛い事ばかり言う。だが、それでは意味がない。仕方ない、抱き潰すのは帝都に戻ってからだ」
「!?」
「ようやく繋がったのだ、意識を飛ばした貴殿に出しても無意味だろう。しっかりこの腹で、俺に種つけされる快感を覚えろ」
「……え、あ……そっ、そんな……あ! ひ、ひぃっ!」

 ズン……。
 腹の奥を突かれる。
 しかし、さっきほどの勢いや速さはない。

「あ、あっ、あ……ひぃ、あ……あっ、んっあ……!」

 ゆっくり、ヒオリの意識が飛ばない速度と勢いを調節しつつ前立腺にはギリギリ触れずに奥を穿つ。
 ヒオリの顔を覗き込み、反応を見ながらずん、ずん、と。

(あ、ああ……ふ、深い……!)

 自分でも知らぬところまで亀頭が貫き、押し広げていく。
 恐ろしくもあり、気持ちが悪いのに、熱くて蕩けそうで、気持ちがいい。
 しかしじわじわ意識は白い快感に浸食されて溶けていった。
 今すぐにでも達してしまいそうな、しかし、その瞬間引き抜かれたり、腰が止められたりして引きずり戻される。
 それを何度も繰り返す。
 体は汗でドロドロだ。

「あ、あっ、あ、うっ……あっ、ああ、あっ、あぁっ!」

 どれほどの時間を費やされ、体を高められているのかヒオリには分からない。
 ただただ優しく丁寧に愛せれている。
 ヒオリが気絶しないように様子を見ながら、スェラド自身も気持ちよくなるように何度も何度も。
 そのゆっくりとした行為に快感の逃し方などないのだと知った。
 これは、慣れるしかないのだ。
 受け止めきれない快感は、慣れて、覚えるしかない。
 頭の中が痺れてとろけてドロドロに消え果てる。
 涙が止めどなく流れて落ちても、愛する人から施されるものなら発狂せずに受け止められるのだと。

(スェラドさま、スェラドさま……スェラドさま)

 その名前だけを繰り返す。
 時折声にも出して、この快感の海原に落とし込む男の名前を呼ぶ。
 こりり、と奥を突かれると体がびくびく震えるようになった。

「奥で感じるのを覚えてきたか。まったく、覚えのよい体よ」
「っあ……あ、き、きもち、いいですぅ……スェラドさまぁ……! もっと、深いところを……突いてくださいぃっ」
「…………慣れてきたか?」


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