30 / 42
第30話ですわ!
しおりを挟むと、いうわけで!
冒険者装備のわたくし再びですわ!
「……ええと……まずはハイル様たちを探さなくてはいけませんわね」
エレメアン王国、城下町『メアン』。
プレイヤーさんが買い物したり、装備を整えたり、生産したりする場所ですわ。
他にも町はありますし、最初のシナリオ後、他国へ亡命した後はあまり栄えていない町である程度の生産スキル熟練度を得ればお店を開く事もできますわ!
生産系スキルも種類があります。
武器屋、防具屋、はたまた武具屋。
もしくは道具屋、薬屋、服屋(アバター屋さんですわね!)、雑貨屋。
お酒屋さんや宿屋さん、レストランにカフェなんかも開けちゃったりしますわよ!
けれど、少なくともこの王都城下町は他の町よりお店を持つ難易度が高いので、プレイヤーのお店は限られております。
敷金と建物代、リフォーム代とか超お高いんですわ。
まあ、それは良いとして……わたくし城下町は初めて来ましたから迷いそうですわ。
早くハイル様たちを探さなければ。
なんとかしてハイル様とエルミーさんを二人きりにして……デート……は、無理でもそれっぽい感じにしなければなりませんわ!
二人きりにすればデートイベント完了って事になったりなんかしませんかしら!
「そういえば、ハイル様たちは例のプレイヤーたちを探しているはずですのよね?」
という事は彼らがいそうなところを探せばハイル様たちの事も見つけられるかもしれません。
プレイヤーの溜まり場といえばギルドか酒場か武器屋、防具屋、食材屋、道具屋……。
ギルドや酒場は真っ先に探しているはずですから、あえて別な場所から探しましょう。
うーん、プレイヤーが行く場所……。
「…………懸賞屋!」
懸賞屋とは懸賞金のかかった盗賊NPCやプレイヤーを狩った時に賞金をもらえる場所ですわ。
彼らは『カルマ値』の高いプレイヤーでしたから、もしかしたら懸賞金がかけられているかもしれません。
例えかけられていなくとも、王立貴族学院の生徒NPCを殺したのが彼らで間違いなければ自動的に『カルマ値』が跳ね上がり、犠牲になった女生徒の親から懸賞金がかけられている(設定の)はずですわ。
彼らがそうなっている事を知っているかは分かりませんが、賞金首になった瞬間から懸賞屋では『おおよその居場所』が賞金稼ぎプレイヤーに情報として提供されるようになるのです。
「…………」
それにしても、女生徒のNPCを惨殺するなんて一体何を考えているのでしょうか。
NPCに危害を加えれば『カルマ値』が上がり制限が増える。
自由度が売りの一つであるこのゲームで制限を増やす事になんの意味が?
NPCは……殺しても修復が可能です。
わたくしのように『死の役割』がある場合は別でしょうけれど……そんなわたくしでさえ新しいプレイヤーをお迎えする時には恐らく復活するでしょう。
あまり考えたくはありませんが、そんなNPC相手だからこそ…………殺した……?
「っ」
いえ、決めつけるのは良くありません。
けれど、ではなぜ?
なぜそんな事を?
他のNPCたちが怯えるほどに酷い壊し方をして、なにがしたいのでしょう。
見つけたら問いたださねばいけませんわね。
「あら?」
「え? キャロラインさん!? どうしてここに!」
懸賞屋を見つけて入ると、入り口の掲示板にエイラン様がおられましたわ。
まあ、偶然!
……な、はずはありませんから、エイラン様もわたくしと同じ事を考えたと見て間違いないでしょう。
「ふふ、わたくしはもちろんハイル様とエルミーさんのデートイベント達成させるべく監視に来たのですわ!」
「あ、ああ、なるほど……びっくりした。……学院に行って事情を聞いて犯人探し始めたとかではないんだ?」
「それも兼ねております」
「やっぱり? ダメだよ、危ない」
「分かっておりますわ。ですが、あの女生徒はわたくしの友人の一人でしたの。理由も分からず友人が殺されたら、貴方はなにもせず大人しくしていられまして?」
「う……」
そうですわ。
あの子はわたくしの友人……取り巻きNPCの一人でしたの。
その子が……見てはいませんが無残に壊された。
いくら直るとはいえ許せません。
「ゲームの中だから……。NPCだから……。そんな理由で壊されるなんてたまったものではございませんわ。いくら命のないわたくしたちでも、怒りは感じます! ……あの方々が犯人なら一言言ってやらなくては気が済みませんわ! よくもこのゲームの最初のシナリオで『カルマ』を背負っておきながら、また『罪』を重ねるよな真似をなさいますわね! って!」
「…………」
『カルマ』とは業の事です。
これは運命付けられた罪の形。
ですが、それ以降の『カルマ』はプレイヤー本人の意思で重ねていく『罪』です。
『カルマ値』という形で合算されていきますが、正しい行いを心掛ければ減っていくものです。
なのに、それをわざわざ増やす行い。
まさしく『罪』そのものですわ!
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
コワモテの悪役令嬢に転生した ~ざまあ回避のため、今後は奉仕の精神で生きて参ります~
千堂みくま
恋愛
婚約を6回も断られ、侍女に八つ当たりしてからフテ寝した侯爵令嬢ルシーフェルは、不思議な夢で前世の自分が日本人だったと思い出す。ここ、ゲームの世界だ! しかもコワモテの悪役令嬢って最悪! 見た目の悪さゆえに性格が捻じ曲がったルシーはヒロインに嫌がらせをし、最後に処刑され侯爵家も没落してしまう運命で――よし、今から家族のためにいい子になろう。徳を積んで体から後光が溢れるまで、世のため人のために尽くす所存です! 目指すはざまあ回避。ヒロインと攻略対象は勝手に恋愛するがいい。私は知らん。しかしコワモテを改善しようとするうちに、現実は思わぬ方向へ進みだす。公爵家の次男と知り合いになったり、王太子にからまれたり。ルシーは果たして、平穏な学園生活を送れるのか!?――という、ほとんどギャグのお話です。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる