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決着です!
しおりを挟む「……すみませーん、物足りませんのでケーキを追加でお願いしますわー」
「そろそろそう言うと思いましたわ!」
「さすがフィリーですわー!」
どーん、と空になったパフェのグラスを回収されたスペースに、フィリーがホールケーキを置いてくれました。
これはアレです、ミリアムの手作りケーキです!
すでにカットされているので、それを食べかけのパフェに、どーん! と投入ですわ!
「「ひっ……」」
まあ、お父様とお姉様ったらなんて顔でなんと言う声を出されるのかしら?
失礼してしまいますわ。
「ま、まあ! なんて大胆なのかしら!」
「おお、あの食べ物はあんな食べ方もあるのか……」
「可愛らしいわ」
「わたくしもケーキが載っているものが食べたいわ」
「わたくしも」
お客様には好評ですわね。
でもこれだけではございませんのよ。
「フィリー、ジェーン様、お願いしますわ」
「ええ、こちらも」
「お任せください!」
フィリーがチョコレートパフェにクッキーを刺してゆく。
その隣でジェーン様はコロコロ丸く固めた、色とりどりのアイスキャンディーをフルーツパフェに添える。
わあ、とお客様から声が上がります。
「かわいい……」
「アレもアイスなのか」
「アイスっていろんなタイプがあるのね」
「青や赤や緑……フルーツの果汁を固めたのか?」
「すごいな……」
カレーハンバーグのおかげでまだまだいけますわ!
ああ、肉汁が口の中に広がる……甘く冷たくなった口の中が肉の脂に包み込まれるようですわ……!
カレーのピリリとした辛さが加わり、口の中もポカポカリセット。
「美味しいですわ~」
二十個。二十一個目……。
「ギブアップ……」
お義兄様陥落完了。
まあ、もうほとんど食べておられませんでしたものね。
お父様もスプーンを置かれてしまいました。
「ギブアップだ……」
「お父様っ!」
「もう無理だよメアリ姉さん……それに、僕たちは本当にただの添え物だ。気づいてるんだろう?」
「っ!」
申し訳ないですがお兄様の言う通り……この場は元々わたくしの独壇場ですの。
色々な食べ方をお客様に提示して、余興として楽しんで頂きながら『アイス』や『氷』をプレゼンする場なのですわ。
わたくしもお腹いっぱいになりますし、一石三鳥。
そこにお姉様たちとの『決闘』を添えただけですの。
お姉様がわたくしに勝てれば、わたくしの養子縁組の話も『勝利報酬』として取り消す事も出来たかもしれませんけれど……。
「これ以上は恥の上塗りだ。諦めて……」
「諦めないわ」
「ね、姉さん! いい加減にしなよ……! 平民の子どもだからってずっと虐めて、しかもクリスティアが学園に入ってからも人を使って嫌がらせしてたんだろ? 僕の耳にも入ってるんだよ!?」
「っ、うるさいわね! わたくしは、平民の娘になんか負けないのよ!」
お姉様はそう叫ぶと食べ始めました。
一つ、二つ、と……パフェの器を空にしていきます。
まあ、お姉様すごい!
普通の方なら二つで限界ですわよ。お姉様、三つ目に突入です! すごいです、素晴らしいです!
でも無理してはいけませんわ。
わたくしのドレスと違って、お姉様のドレスにはバッチリ普通のコルセットが——。
「うっ!」
「あ」
「おおぇぇっ!」
「きゃーーーーっ!」
お母様が叫んで立ち上がる。
ああ、お姉様ったらなんてもったいない。だから言ったのに……。
すぐに兵士の皆さんがお姉様とお姉様がリバースしてしまったものを布で隠してくださいます。
なんとなくこんな事になる気はしていたので大変素早い対応でした。
おそらく周りにいた方もまともに瞬間は見ておられないでしょう。
そのまま布に隠されて別室へ連行されてゆくお姉様。
さて、そのままでは場の空気が微妙になります。
そこをすかさずフィリーが手を掲げて宣言してくれました。
「ああ、あまりにも相手にならなくて忘れておりましたわ! 決闘の大食い勝負はクリスティア様の勝利です! 皆様、どうぞ勝者クリスティア様に祝福の拍手を!」
わあ、と拍手が巻き起こりました。
わたくし立ち上がって四方へお辞儀を繰り返します。
その間にお父様たちも兵士たちにより別室へ促される。
後片付けはお城の使用人の皆さんが、職人技で行ってくださいますの。
「まだまだ食べ足りないところですが、美味しいものは独り占めしてはいけませんわ。皆様にも試食品を用意してございます。どうぞご試食くださいませ。我が国の今後の特産品となる——アイスと氷を使った美味なるお菓子ですわ!」
わたくしが降りた可動式ステージはそそくさと撤収されていきます。
うふふ、誰か無茶してリバースなさるとは思いましたが、やっぱり可動式ステージにしておいて正解でしたわ~。
同じように事前に準備されていた別の可動式ステージが会場の端に運ばれる。
その上にはわたくしたちが使ったものより大きなテーブルがあり、テーブルの上には今食べていたパフェの他にアイスケーキやソフトクリームなども用意されております。
ジェーン様が用意してくださった解説役が近くにいるので、食べ方の提示もばっちりですわ。
「お疲れ様でしたわ、クリスティア様!」
「では、あとはお願い致しますわ」
「ええ、行ってらっしゃい」
フィリーとジェーン様にお願いして、わたくしはルイナとわたくし用の控え室に戻ります。
ここでお着替え致しますの!
なんだかんだたくさん食べたので……その、お腹がとても苦しくて動きづらいのですわ……。
「アーク様はこうなる事を読んでおられたのでしょうか?」
「なんかそんな気がしますわね……」
そう言いながらルイナに着替えを手伝ってもらう。
青のドレスは……お腹周りが大きめに作られていたのです。
わたくしがいっぱい食べられますように、と……そんな優しい声が聞こえるようでした。
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