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迎えた朝
しおりを挟む元の場所に戻ってからも、休むことなく騎士様は私の上で腰を振り続けた。
果てて気を失うと聖水を口に含ませられ、また激しく交わる。
その繰り返しだった。
焚き火はすっかりくすぶり、煙が細く立ち上っている。
遺跡に差し込む日差しも気がつけば、真上を過ぎ、また傾こうとしていた。
「騎士、さま……もう、今日は戻らないと……あンッ」
「はぁ、は……っ」
組み敷いた私の上で、騎士様は激しく腰を律動させた。
そして汗を滴らせた顔を、私の肩に埋め、
「イク、イクよ、また中に……!」
「……ぅ、ンぁ、ああんっ」
ぐっと深く腰が突き入れられ、私も上擦った嬌声をあげた。
その刹那、白濁した体液がビュ、ビューッと奥に注がれていく。
この飛沫の感覚を、もう幾度となく、ぬかるみの最奥で受け止め、感じされられていた。
絞り出された最後の一雫を受け止めると、騎士様の腰に絡ませていた私の足も、脱力して地面に崩れ落ちた。
騎士様はチュッと強く首筋に吸い付き、
「ハァ、ハァ……エマの中、気持ちよすぎて、もう頭がどうかなりそうだ」
「ん、はぁ……騎士さま、ん……」
「乙女たちの蕾はね、花弁から蜜を滴らせて、蜂を中へと誘い込むのだと……だから、優しくしないと、果てた蜂はそのまま蜜に溺れてしまうから気を付けろと、そう習うんだよ。本当だね」
「ン……ッ……」
荒い息のまま互いに貪るように口付けをかわすと、ようやく芯を失ったものがズルリと引きぬかれた。
柔らかな髪を私の胸元にうずめ、騎士様は吐息をつく。
「……帰りたくない。エマとずっと二人で、ここで愛し合っていたい。外は怖いんだ……また君と離れて夢でしか会えないなんて、たった一日でもつらいんだよ」
「でも、みなさん心配しますよ。それに、あの子にも水と食事をあげないと」
やわやわと胸を揉み、頂にいやらしく舌を這わせていた騎士様は、はたとして行為を止めた。
「それは確かにそうだな。泉に行ってくるよ」
すぐさま立ち上がり、物干しにかけていた下着や下穿きを、そしてシャツを慣れた動作で袖を通していく。
(ご、強引なところがあるけど、馬を大切にしてるのは本当ね。騎士様は動物が好きみたい)
イヤと言えば更に快楽の底に引き摺り込まれ、願いは何一つ騎士様に届かなかった。
それでも《愛している》と言って掻き抱く彼からは、それが本心だと伝わってきてしまう……。
(でもやっと終わったんだわ。これで神殿に留め置かれに済むのね)
騎士様の体液や口付けにまみれた体を見て、静かに息をついた。
「そう長くはかからないで戻るよ」
あっという間に身支度を整え、馬に何やら話かけ手綱をとった。
「では、私も向こうの泉に行って身支度を整えてきますね」
「ああ、そうか。なら先に君を送り届けましょう」
「い、いえ! 大丈夫です、聖水のおかげか、今度はちゃんと歩けるので」
私も乾いた制服を手に取り、今更だけど胸元を隠して笑う。
(ついてこられては、また交わりを求められるかもしれないもの。本当にもう寮に戻らなきゃ)
騎士様は戻ってきて私の額に軽く口付けを落とし、
「じゃあ気をつけて行ってくるんだよ」
「はい。騎士様も行ってらっしゃいませ」
「……うん」
寝癖で乱れた髪を照れくさそうにかき上げ、出口に向かう。
頑丈そうな石板の扉は騎士様が触れると、不思議な波紋を広げ、一人でに開いていく。
(魔法とは違うのかしら。帝都にはいろんなものがあるのね)
想像したよりも、出口は遠いものではなかった。
隙を見て、すぐに逃げ出していたら——と。
そんな事も考えてしまう。
自分の無力さに打ちひしがれ、申し訳ない気持ちと後悔だけがいつまでも消えずに心に影を落とした。
それでも騎士様の姿が見えなくなると、すぐに探し物をはじめた。
苔の中に埋もれ、踏まれた靴あとですっかり汚れたてしまった物。
「ごめんなさい……」
私はやっと見つけたリボンを胸に抱き、静かに涙をこぼした。
「約束を、守れなくて……本当にごめんなさい。あなたを好きだと、もう、伝えられなくなってしまいましたね」
溢れた涙が、リボンを濡らしていく。
《エマのはじめてを、俺に下さい》
そう、切実に伝えてくれた彼を思い出し、私も同じ気持ちだったのだと、何度も心の中で繰り返した。
「名前も知らない、あなたが今も好きです。私のはじめてを、私も、あなたに、あなただけに……そうできたらと……ううっ」
一人きりになった聖なる遺跡に、悲しい嗚咽が響いていた。
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